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日本全国、焼き物の産地で開催されている陶器市。人気商品の販売のほか、お値打ち品から市場に出回らない実験作まで、マニアでなくても参加してみたくなる、焼き物のお祭りです。そんな陶器市、今、オンライン上で楽しめるってご存じですか?

地域共創型オンラインストア・エンニチが開催中の「オンライン陶器市 2020秋」。単品買いより20%前後お得になる「5000円セット市」や、期間限定の割引商品を取り揃えた「今週の目玉商品」など、エンニチだけの企画が盛りだくさん! 今回は、有田焼・波佐見焼・美濃焼・小石原焼を取り揃え、通常では一度に回ることのできない4大産地の焼き物を、まとめてチェックできるのです。

ただ……膨大な商品の中から好みのモノを探すのは、焼き物ビギナーにはヤヤ難しそう。
というワケで、ビギンが取材し、【欲しい器】をセレクトしました!  窯元から商社まで、全7社をピックアップ。“作り手から直接買える”という陶器市ならではの醍醐味を、ココではしっかりお届けします。日本全国、みんなの毎日が“笑ん日”になりますように。

今回は記念すべき第1回!
一度は消えた、“幻の白い磁器”を復刻、そしてアップデートさせた有田焼の窯元をクローズアップ!

【有田焼】やま平窯

代表取締役 山本博文

私たちが最初に訪れたのは、創業48年を迎える有田焼の窯元「やま平窯」。2017年にオープンしたばかりという、美しくお洒落なギャラリー兼ショップがまず目に入りました。ちなみにこちらの建物、奥に進むと工房に。「ウチは若い窯ですから」と、2代目当主の山本さんが出迎えてくれました。

100字でわかる【有田焼】

400年前から、佐賀県有田町を中心に製造されている磁器。朝鮮人陶工・初代金ヶ江三兵衛(李参平)らが、白磁の原料となる陶石を発見したのが始まりと言われている。“日本磁器発祥の地として、現在約100の窯元が点在。

1972年創業。北海道や東北など旅館で使用される食器の生産を中心に事業を展開してきた「やま平窯」。2011年には自社ブランドをスタート。行き届いた製品管理のもと作られる食器は、国内はもちろん、世界中から注目を集めています。この窯元の特徴は、有田焼では珍しい一貫生産。デザインから製造に至るまで、その工程のすべてを職人達が担っています。現場、在籍している職人は約10人。山本さんも経営の仕事の合間に、現場に立っています。「ずっと焼き物が側にある環境で育ちました。工房が遊び場でしたね」

作業風景を特別にチラ見せ♪

伝家の宝刀“エッグシェル”


やま平窯を語るうえで外せないのが、この“エッグシェル”。「夜、暗い工房内で一人で作業していたときに、フッとイメージが湧いてきたんです」と山本さんが語る、同社を代表するシリーズ商品です。参考にしたのは、江戸時代後期に輸出用として生み出された磁器「卵殻手」。卵の殻のように薄いのに丈夫であることが特徴です。しかし、時代の変化の中で生産は一度ストップ。山本さんの挑戦は、その卵殻手を復刻するところから始まりました。

卵の殻を繭玉へ昇華


「通常、滅多にそういうことはないんですけどね。初めての試作はイメージ通りのモノができたんです。しかし、それを商品展開するまでには、約1年半かかりました」

思い描いたのは繭玉の表面感。ツルリとした特徴はキープしつつ柔らかさをプラスする、そこまでの製作は順調に進みましたが、強度と生産性の確保に難航。釉薬の塗り具合や焼成温度など、細やかな部分の調整に時間が必要となったのです。しかし、そんな繊細な技術を必要とする唯一無二のエッグシェルシリーズは、海外の展示会でも軒並み高評価。ちょうど取材日前日もニューヨークのバイヤーと商談をしていたという山本さん。

最後にこれからのやま平窯の展望を尋ねると、エッグシェルを見つめながら、「時代においていかれないよう、有田焼のよさを伝える新しい可能性を探っています。昔ながらの素材や製法にリスペクトを持ちつつ、その素晴らしさをもっと広めていきたいですね」と熱く語ってくれました。

Begin’s Select①
エッグシェル Kaori M/L


「これ、本当に磁器?」と疑ってしまうほど薄くて軽いのが特徴。磁器は、通常4~5mmで薄いとされるが、こちらはなんと1mm。コップの内側だけに釉薬がかかっており、外面には特別配合の化粧土を塗布。それによりマットな質感と強度をプラスしている。

“指が透けて見える”って凄くない?

【選定理由】“いつもの”を“特別な”に変えてくれる!

冷蔵庫にしまわれた缶ビール。いつもの晩酌を特別なものに変えてくれるのが、このグラスです。トクトクトクとグラスにビールを注ぐと、あら不思議。まるでビールが雪化粧したかのように見えるのです。口当たりも滑らかで、ス〜ッとしみる飲み心地。うっかり飲みすぎてしまわぬよう注意されたし。Mサイズ(税込3025円/φ60×H65mm/130㏄)、 Lサイズ(税込3850円/φ80×H82mm/300cc)

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Begin’s Select②
硯石 プレートセット

天然石から模様を拝借


天然の硯石から写し取った表面の模様が特徴。一見扱いにくそうな平面プレートだが、縁から高台にかけての形状に工夫が施されているため片手でのサーブも可能。カトラリーレストは、現代の食生活を考慮しフォークやスプーンを一緒に並べて置ける長さに調整されている。

【選定理由】マットな質感で刺身との相性が良さそう

山本さんに食器を選ぶときのポイントをうかがうと、「マットな質感のもの」との答え。そのほうが、料理の鮮度を引き立たせてくれるのだとか。それならばとピックアップしたのがこちらのプレート。天然石から写し取った模様が、磁器特有のひんやり感とうまく調和。佐賀名物、呼子の新鮮なイカ刺しをのせれば、うっすら透き通って料理映え間違いなし。(通常価格から27%OFF/税込5000円/硯石長角プレート:H130×W250×D12mm、カトラリーレスト2個:H20×W100×D10mm)

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編集後記


山本さんから有田町ならではなのエピソードを入手。地元の小・中学校では、授業の一環として焼き物づくりの体験が行われていて、山本さんは時々、講師として招かれているそう。生徒たちが焼き物を完成させた後、歴史の勉強を兼ねて、当時、陶器を伊万里港まで運んていたコースを歩いて(車で30分!)辿る、追体験学習を行っているそう。有田焼への理解を深め、ふるさとに対しての誇りの気持ちを養う。こうした学びのおかげで、有田焼は400年以上も続いてきたのだな、と感慨深くなりました。


写真/松山タカヨシ 文/妹尾龍都

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