コンバース


「倫理性」、「持続可能性」という意味を持ち、地球環境&生態系の破壊を減らそうとする「エシカル」や「サスティナビリティ」というコンセプトは、今やファッションの世界でもっとも注目されているキーワードです。そんななか、岡山県倉敷市に拠点を置く国産デニムブランド「JAPAN BLUE JEANS」が目指すのは「世界一エシカルなデニム」。水なし加工にコートジボワール綿、果てはリンゴの”皮”パッチ!? そんな誰も挑戦したことないデニムの生産現場を取材しました。水への取り組み(前編)素材への挑戦(中編)に続き、最後は「人」です。

Mission.3 人

“エシカル=正義”ではなく“エシカル=関わる人が楽しい”


排水を抑え、環境負荷に配慮した素材を積極的に取り入れるなど、従来のデニム作りの常識を覆そうと奮闘するJAPAN BLUE JEANS。そこには多くの協業先の惜しみない協力がありました。どうしてそれほど多くの人を巻き込めたのか? エシカルシリーズを指揮する岸本裕樹さんの言葉からその答えが見えてきました。

編集部 今回は、なかなか足を踏み入れることのできない排水設備まで見せていただき、ありがとうございました。

岸本(以下敬称略) こちらこそ! 構想に2年もの歳月を費やし、やっとのことで世に送り出すことができたエシカルシリーズ。まだまだ商品数はわずかですが、私たちの想いが伝わるデニムに仕上がったと思います。

編集部 構想2年!? もっと以前からではないのですか? 水の削減にしても5年以上前から動き出してますし、コートジボワールコットンの取り組みも2016年からでしたよね?

岸本 もちろん、それ以前から環境に配慮し、負荷をできるだけかけないものづくりをしてきたつもりです。ですが、今のままではジーンズを作れなくなる日がきてしまうのではないか、という危機感を感じたんです。ヨーロッパでは環境負荷の大きいものはどんどん排除されています。

編集部 それってまさか「デニム禁止条例」みたいなことですか!?

岸本 さすがにそこまでの話はまだないですが(笑)、今後もジーンズを作り続けるためには「デニムは(環境にとって)汚いビジネス」というイメージを払拭していかなければならない。そのフラッグシップとしてエシカルシリーズを立ち上げることを決めたのが2年前なんです。

編集部 排水の削減量には驚かされました!

岸本 「デニムは汚いビジネス」と揶揄される最大の理由は水の大量使用なんです。だから、まず着手したのが排水を減らす試みでした。

編集部 結果的に日本国内では最高水準の80%削減を実現したわけですね。

岸本 それも協力してくれる企業や工場があってこそ。エシカルな取り組みに対して、日本は欧州に比べ、遅れているとよく言われますが、実際にそうなんです。設備にしても、技術にしても、初めてのことばかり。だからなかなかうまくいかない。でも取り組み先と何度も議論を重ね、ときにはぶつかり合い、トライ&エラーを繰り返すうちに一体感が生まれました。「エシカルと謳えるデニムを作る」のではなく「本当にエシカルなデニムを作る」という共通の意識が、関わる人みんなに浸透していったというか。

編集部 確かに、JAPAN BLUE JEANS以外にもたくさんの人が関わっているプロジェクトなんだなと感じました。

岸本 そうなんです。おかげさまで、ウチだけの技術や知識、パワーだけでは到底辿り着けない新たなステージに手を掛けることができました。これはもしかしたらデニム産業全体が変わっていく端緒なのかもしれません。

編集部 日本のデニム作りそのものが新たな次元に到達したと?

岸本 そう。研究や開発を進め新たな技術が生まれることで、その技術を持つファクトリーは別の方面からも引き合いがきたりして。それってエシカルな考えが自然と業界に浸透するってことですから。そして何より、「デニム」という完成されたプロダクトの製造プロセスをスクラップ&ビルドしていく過程は、とてつもなく新鮮な体験で単純に楽しい。半世紀前、デニムがファッションアイテムとしてグングン成長していたときも、きっとこんな感じだったんじゃないかなと。もちろんその分、労力も半端ないんですけど。

編集部 新たなデニム作りの先駆者となるわけですもんね!

岸本 そうなればいいな、と願ってはいますが、もちろん私たちのやっていることが「正しい」とは限らない。重要なのは続けること。目の前の課題に一つ一つ向き合いながら、信念をもってそれにチャレンジし続ける。それが、我々が今やるべきことだと思っています。

編集部 ありがとうございました!

ジャパンブルージーンズ・エシカルシリーズに関わる人々

多くの協力者を得て、ジャパンブルージーンズ・エシカルシリーズはこの春、スタートを切りました。そんな立役者の皆さんを最後に少しだけご紹介。

 

JAPAN BLUE JEANS
Ethical Productシリーズ

Ethical Product –Jeans-
JAPAN BLUE JEANSが定番として展開しているCIRCLE(サークル)シリーズをベースにクラシック、ストレート、テーパードの3タイプを展開。太ももから裾にかけてゆるやかにテーパードしたストレート(上写真)は、オーセンティックでありながら、足元をすっきり見せることができる。すべてのシルエットで、コートジボワールコットン製のオリジナルデニムを使用し、セルビッジの一方にはその証としてコートジボワールを象徴するオレンジ×グリーンが。ちなみにもう一方は日本をイメージした赤×白。製品が役目を終え、リサイクルされるときのことも考えてリベットも省略されている。ワンウォッシュは洗いに使用する水を80%削減、加工はオゾン加工により水の使用量を3分の1に抑えている。パッチはリンゴの皮製。ワンウォッシュ1万6000円。加工2万2000円。

Ethical Product –Denim Jacket-
2ndタイプのデザインをベースに、13.5オンスのコートジボワールコットンデニムを採用。前立ての裏側にセルビッジを配置し、デニムと同様、コートジボワールをイメージしたオレンジ×グリーンがチラリ。ほんのり赤みがかったインディゴデニムは、原種に近いコットン製ならではの素朴な風合い、ヴィンテージのような自然な色落ちが楽しめる。もちろんデニムと同様に水の使用量を大幅に削減して生産されている。こちらのパッチも革パッチならぬ、リンゴの皮パッチだ。ワンウォッシュ2万2000円。オゾン加工2万8000円。

Ethical Product –T-Shirt-
セットインスリーブのオーセンティックなTシャツも、コートジボワールコットン100%生地を使用。ベンガラ(オレンジ&レッド)や桑(ライトグリーン)、インド藍(サックス)やザクロ(ベージュ)など、草木染めの優しい色みに好感がもてる。右裾にはコートジボワール100%の証であるタグが備わり、エシカルな心意気を密かに主張。全5色展開。各8000円。

問い合わせ先/
ジャパンブルー
☎086-486-0002
https://www.denimlabo.com/japanbluejeans-about/

 

前編「デニム1本を作るのに消費する水は数千ℓ!?」はこちら
中編「コートジボワールコットンはデニムの原点!?」はこちら

※表示価格は税抜き


写真/中島真美 文/編集部

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