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「倫理性」、「持続可能性」という意味を持ち、地球環境&生態系の破壊を減らそうとする「エシカル」や「サスティナビリティ」というコンセプトは、今やファッションの世界でもっとも注目されているキーワードです。そんななか、岡山県倉敷市に拠点を置く国産デニムブランド「JAPAN BLUE JEANS」が目指すのは「世界一エシカルなデニム」。水なし加工にコートジボワール綿、果てはリンゴの”皮”パッチ!? そんな誰も挑戦したことないデニムの生産現場を取材しました。水への取り組みを紹介した前編に続き、中編は「素材」への取り組みに迫ります。(【後編】はこちらから)

Mission.2 素材

コートジボワールコットンはデニムの原点であり、未来でもある


JAPAN BLUE JEANSが取り組んでいるのは水だけではありません。デニム生地の元となるコットンでも取り組みを進めています。「エシカル」を標榜するからには、使用するコットンもフェアでエコフレンドリーなものでなくてはなりません。ただ、単に環境負荷の少ないコットンを卸売業者から買って使えばそれでよいのか。目指しているエシカルなデニムの”スタートライン”をどうすべきか――と自問を繰り返していると、同社の欧州市場の拠点としているフランスオフィスの担当者から思わぬ打診を受けます。

世界一エシカルなコットンはどこにも売っていない

「コートジボワールコットンの生産を支援してくれないか?」
聞けば、コートジボワールでは、綿花の栽培が産業として発展途上であり、今なお原始的な環境で栽培され、手摘みで収穫されいる。しかも品種改良もされてこなかったため、もっとも原種に近いコットンである、と。今世界で使われているコットンの多くは、より白く、繊維長をより長く、よりしなやかに、かつ大量生産が可能なように、と品種改良が繰り返されてきたもの。しかし19世紀後半にワークウェアとして誕生したデニムには、そんなコットンは使われていなかったはず。コートジボワールコットンを使うことは、デニムの原点に立ち返れることでもある。そんなところまで思いは至り、JAPAN BLUE JEANSは2016年、コートジボワールコットンの生産を支援することをはじめたんです。

2020年現在、JAPAN BLUE JEANS全体の30%にコートジボワールコットンが使われています。同国の国旗のカラーリングをイメージしたセルビッチはその証。もっとも原種に近いコットンを栽培の現場から支援し、そのコットンを使って旧式のシャトル力織機で織る。そうすることで、「エシカル」の純度が高く、風合い豊かでどこかノスタルジックな生地が生まれてるんです。

バナナでできたデニム、リンゴでできたパッチ

また、JAPAN BLUE JEANSの弛まぬチャレンジ精神は、新たな原料の模索にも表れています。たとえばバナナ。タイで収穫後のバナナの木が大量捨てられていると聞けば、その茎の繊維を使ったデニム生地を研究。長年の取り組み先である老舗の織屋さん「シンヤ」さんとタッグを組み、順調にいけば、2020年秋には、バナナ繊維×コートジボワールコットンのハイブリッドデニムが完成するそう。


廃棄されるリンゴの皮と芯を再利用できないかと聞けば、それを使ったパッチを開発。こちらは今回のエシカルシリーズ第一弾から搭載されています。エシカルな材料を買ってきて使うのではなく、目の前にある課題に行動できるか。そんな視点でJAPAN BLUE JEANSはエシカルなチャレンジを続けているのです。

後編「ジャパンブルーが考えるエシカルの原動力」に続く

JAPAN BLUE JEANS
Ethical Productシリーズ

Ethical Product –Jeans-
JAPAN BLUE JEANSが定番として展開しているCIRCLE(サークル)シリーズをベースにクラシック、ストレート、テーパードの3タイプを展開。太ももから裾にかけてゆるやかにテーパードしたストレート(上写真)は、オーセンティックでありながら、足元をすっきり見せることができる。すべてのシルエットで、コートジボワールコットン製のオリジナルデニムを使用し、セルビッジの一方にはその証としてコートジボワールを象徴するオレンジ×グリーンが。ちなみにもう一方は日本をイメージした赤×白。製品が役目を終え、リサイクルされるときのことも考えてリベットも省略されている。ワンウォッシュは洗いに使用する水を80%削減、加工はオゾン加工により水の使用量を3分の1に抑えている。パッチはリンゴの皮製。ワンウォッシュ1万6000円。加工2万2000円。

Ethical Product –Denim Jacket-
2ndタイプのデザインをベースに、13.5オンスのコートジボワールコットンデニムを採用。前立ての裏側にセルビッジを配置し、デニムと同様、コートジボワールをイメージしたオレンジ×グリーンがチラリ。ほんのり赤みがかったインディゴデニムは、原種に近いコットン製ならではの素朴な風合い、ヴィンテージのような自然な色落ちが楽しめる。もちろんデニムと同様に水の使用量を大幅に削減して生産されている。こちらのパッチも革パッチならぬ、リンゴの皮パッチだ。ワンウォッシュ2万2000円。オゾン加工2万8000円。

Ethical Product –T-Shirt-
セットインスリーブのオーセンティックなTシャツも、コートジボワールコットン100%生地を使用。ベンガラ(オレンジ&レッド)や桑(ライトグリーン)、インド藍(サックス)やザクロ(ベージュ)など、草木染めの優しい色みに好感がもてる。右裾にはコートジボワール100%の証であるタグが備わり、エシカルな心意気を密かに主張。全5色展開。各8000円。

問い合わせ先/
ジャパンブルー
☎086-486-0002
https://www.denimlabo.com/japanbluejeans-about/

 

前編「デニム1本を作るのに消費する水は数千ℓ!?」はこちら
後編「ジャパンブルーが考えるエシカルの原動力」はこちら

※表示価格は税抜き


写真/中島真美 文/編集部

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