一番身近な「当たり前」こそ当たり前じゃない! 日本のスウェットはストリートの世界遺産だ!
もはやスウェットはジーンズと並ぶ日本人の制服。ですが、この究極の当たり前服のなかには、マッドなまでにこだわる日本の職人技がギュッと濃縮されてるんです。世界に冠たるジャパニーズスウェットの精鋭たちを知れば、日本人であることを誇りたくなりますよ!
旧式吊り編み機でサラリを究めた“吊りインレイ”
LOOP WHEELER[ループウィラー:和歌山]
吊りインレイ クルーネックスウェット
“世界一正統なスウェット”を標榜し、古きよき吊り編みスウェットの魅力を再認識させてくれた同社。旧式吊り編み機で編まれた同社の“吊り裏毛”生地は、糸に余計な負担がかからないからコシがあるのにふっくら♪
ですが、この“吊りインレイ”は、定番の裏毛が3本の糸を使うのに対して2本の糸で構成するため、心地よさはキープしたままよりライトな生地感に。
さらにハリがあるのに地厚じゃなく、サラリとした着心地だから年中着られちゃうんです。本作は表地に入る目が特徴的で、育てる楽しみも! 1万8000円。(ループウィラー千駄ヶ谷)
希少な旧式吊り編み機で新たな生地を開発
表地に走る独特の目が“吊りインレイ”の特徴
程よいハリがもたらすリラックス感がいい感じ
1967年に生まれた“グレー杢”の起源
mocT[モクティ:岐阜]
ハーフジップパーカ
モクティを展開する紡績メーカー、新内外綿の創業はなんと1887年! その歴史の深さも驚きですが、1967年に日本で初めて“グレー杢”を生み出し、それが業界の色基準になった!という功績にもビックリ。
当時の職員が米国で黒人男性のTシャツ姿に目を奪われ、その風合いを再現すべく4年の歳月をかけて完成させた……なんて日本の職人の辛抱強さが窺えるエピソードにも萌えますよね。
黒く染めた綿を混ぜてまだらにした“トップ系”で編み上げた歴史的な生地は、そこらのグレー杢よりも本物の風格にあふれています。1万4000円。(新内外綿)
糸自体をまだらにするのが味のある霜降りの決め手
元祖国産グレー杢は優し〜い濃淡が趣深し
淡い杢柄とルーズなシルエットが好バランス
超低速で編む世界でひとつの“パイル起毛”
Yetina[イエティナ:兵庫]
クルーネックスウェット
かの冒険家・植村直己氏の登山用靴下も製作していたニット製品メーカーが手掛けるイエティナ。その生地の魅力は図抜けた保温性にあります。
一般的にパイル生地を起毛させる場合、裏地のループは破壊されてしまうところ、同社はループを壊さず上部だけを起毛させることに成功。起毛とループの双方に空気を溜めることでフリース並みの保温性を実現してるんです。
ただ独自にカスタマイズした旧式丸編み機を使って超低速で編まれるため、1日に完成するのは1台わずか8着分のみ。これはまさしく世界遺産ばりに希少でしょ! 1万8000円。(ワシオ)
独自にカスタマイズしたオンリーワンの丸編み機
ふっかふかの肌触りとフリースばりの保温性を兼備
適度に細身だから厳寒期のインナーとしても優秀
無二の褪せ感を生み出す“濃淡グラデ加工”
REMI RELIEF[レミ レリーフ:岡山]
T/C裏起毛 スウェットパーカ
リアルな加工で服好きの度肝を抜いたレミが初めて手掛けた、綿×ポリエステルの混紡スウェット。綿100%に比べて速乾・保温・耐久性に優れるものの質感がチープになる(萎)。というのが綿ポリスウェットの利点と弱点でしたが、今作は50:50の比率で混紡しつつ、特殊な染色工程を経ることで、前述の利点は残したままヴィンテージばりの味わい深~い表情も完コピ!
染色段階で綿とポリに微妙な濃淡差を生じさせつつ、得意の褪色加工で自然な色落ちも表現した、まさに職人技の粋が結集された工芸品なんです。1万8800円。(ユナイト ナイン)
染色を知り尽くした職人の技を注入!
ヴィンテージと見紛うナチュラルな褪色感
ただ着るだけ〜♪でこなれる自然な色落ち
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。