特集・連載
ドレス界の重鎮に学ぶ! 男なら一度は試すべき世の洒落者に愛されてきたクラシックな夏生地。
休日のTイチ&ビジネススタイル着こなしテクニック 暑い夏にマストなTイチスタイルは、ともすると凡庸になってしまいがち。一方、ビジネススタイルもカジュアル化が加速中とあって品と洒落感の両立が難しい…。こんなときお洒落玄人たちはどうしてるの?ってことで、手軽なテクやワンアイテムで着こなしが見違えるワザを伝授してもらいました。 この記事は特集・連載「休日のTイチ&ビジネススタイル着こなしテクニック」#07です。
ドレスの重鎮に直撃!
更新されるオーセンティック 夏生地進化論
世の洒落者に愛されてきたクラシックな夏生地。男なら一度は試すべきですが、あまり懐古趣味が強いとコスプレ風に……。
その点ドレス界の重鎮はさすが! 皆さん、伝統の風合いはそのまま、楽チンかつ今どきに進化した“改”古な生地をご愛用。その魅力と着こなしのツボについて語っていただきました!
「シアサッカーをジャージーで表現しました」―ブルックス ブラザーズ 大平さん
Brooks Brothers[ブルックス ブラザーズ]
コットンジャージージャケット
ソフトなタッチのコットン100%ジャージーとアンコン仕立てによって超快適な着心地を叶えつつ、テーラードの顔つきをしっかりキープ。タイドアップも綺麗にキマります! 8万9000円。(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
伊の名門、dondi jersey社が手掛けた最高級のジャージーを使用。フィットは細身&短め丈の「ミラノ」だ。
ブルックス ブラザーズ青山本店 ブランドアンバサダー
大平洋一さん
勤続30年を超えるブランドの生き字引的存在。その豊富な経験と知識が評価され、2018年より新設された現職に就任。ブランドのPRイベントや取材、特別な顧客対応なども任される。
「遠目にはシアサッカーですが、じつはこのジャケットの生地は伸縮性に富むジャージー。それでいて表面にシアサッカーを模したシボを作り、ドライな着心地はそのままという非常にテクニカルな一着です。
シアサッカー定番の青白ストライプですから、インは白オックスBD+ニットタイという王道トラッドも似合いますが、私のようにあえて綺麗な色を用いたコーデも粋。
こうするとプレッピーやIVY気分が高まり、ファッションに対する造詣の深さをさりげなくアピールできますよ」(大平さん)
「クールMAX混のハイテク素材です」―青山商事TSC事業本部 藤長さん
UNIVERSAL LANGUAGE[ユニバーサルランゲージ]
チェック柄シアサッカージャケット
シンプルな合わせでも洒落感が出るマドラス柄のシアサッカージャケット。生地が薄手なのに加え超軽量仕立てのため、シャツ感覚でも羽織れる。汚れたら自宅洗濯も可能だ。2万3000円。(ユニバーサルランゲージ 渋谷店)
コットン100番手双糸にクールMAXと伸縮素材をミックスし、シアサッカー組織で織り上げた国産生地を使用。
青山商事TSC事業本部 TSC商品部
副部長 兼 メンズ商品企画グループ長
藤長 淳さん
某大手アパレルのチーフデザイナーを経て、2011年入社。ザ・スーツカンパニーのバイヤー兼企画として辣腕を振るい、兄弟ブランド、ユニバーサルランゲージの商品も監修。
「こういうダークマドラス柄のシアサッカーって、ありそうでなかったんじゃないでしょうか。
しかも生地には、吸湿速乾性が高く接触冷感性にも優れるクールMAXをブレンド。普通のシアサッカー以上に涼やかで軽快に仕上がっています。
柄がトラッドですからチノパンなどを合わせてもいいと思いますが、本日の私は白のニットポロにミリタリー調のオリーブパンツ、そして足元は白スニーカーをセレクト。こんなスポーティなこなしもクラシックな夏生地をイマ風に見せるコツです」(藤長さん)
「ウール混だからよりドレッシーに」―バーニーズ ニューヨーク 竹原さん
BARNEYS NEW YORK[バーニーズ ニューヨーク]
ウール混シアサッカージャケット
ウール37%+ポリエステル61%+ポリウレタン2%。人気のトラベルシリーズに属し、伸縮性やシワ回復性も抜群だ。パンツ2種(各2万1000円)とベスト(2万円)も。5万円。(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター)
シワになりにくい特性を生かし、付属のポーチに折り畳んで携行可能。ちなみに水洗いもできる優れモノ。
バーニーズ ニューヨーク バイヤー
竹原宏平さん
勤続15年。2017年からメンズのオリジナルコレクションと商品企画を任され、市場の需要に自身の「欲しい」を反映したアイテムで、ヒットを連発。野球とお酒をこよなく愛する。
「近年いろんな高機能生地が出ていますが、涼しさや肌離れのよさではいまだシアサッカーに敵うものはないと思うんです。ただ定番のコットン素材の場合、どうしてもカジュアルなイメージになってしまうので、今作はあえてウール混で作ってみました。
じつはこちら、共地のベストとパンツもあって3ピースでの着用が可能。白青のシアサッカーで3ピースだとかなりコスプレ感が出ますが(笑)、ネイビー無地なのでシック。
シワになりにくくストレッチ性もあり、出張にも重宝しています」(竹原さん)
「淡色コードレーンならグレーパンツ感覚で穿けます」―シップス 秋山さん
SHIPS[シップス]
コットンコードレーンパンツ
正統派のコードレーンと同様コットンをメイン素材に使用しながら、ポリウレタンをわずかに混紡したことでストレッチ性も満点。テーパードの利いたシルエットも今っぽく穿けるポイントに。1万5700円。(シップス 渋谷店)
玉縁仕上げの腰ポケットや細いベルトループなど、仕立てはクラシック。フロントにはコインポケットも装備する。
シップス メンズドレス MD
秋山智春さん
2005年よりドレスバイヤーを務め、現在はバイヤーとMDを兼任。祖父はテーラーで、ご両親もメンズショップを経営していたという、まさに生粋のお洒落ジェントルマンだ。
「コードレーンは夏パンツの定番素材ですが、あまりコード(縞)がくっきりしているとトラッド感が過剰になり、ビジネスで穿きづらいと感じる人もいるでしょう。
その点このパンツはコードが淡いグレーのため、全体としてライトグレー的な見映え。生地も通常のコードレーンより柔らかな肌触りのものにしました。
もちろんコードレーン特有の清涼感はスポイルしていないので、盛夏にとても重宝するパンツとなっています。ネイビーのアイテムと合わせればより爽やかにまとまりますよ」(秋山さん)
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年9月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。