特集・連載
人気の理由は職人の技術があればこそ。日本の町工場から生まれたこだわりのキッチングッズ
最小投資のハッピーライフ実例 世の中今や、右も左も“安くていいモノ”ばっかり。モノ好きにとっては嬉しい時代になったもんですが、反面、欲しいモノがありすぎちゃってつい無駄買い→全然使ってない…(涙) な~んて思い当たる節、誰しもあるでしょ? そんな時代に“安くていいモノ”暮らしを実例を交えてあらためて考え直します。 この記事は特集・連載「最小投資のハッピーライフ実例」#13です。
極限の“薄吹き”がビールの味を変える!
一日の終わりにキュッとやる一杯、至福ですよね。そのひと口のために、並々ならぬこだわりが注がれた「うすはり」。
マシーンでは到底及ばない薄さにガラスを手吹きする技術は、前身である電球用ガラスの生産工場時代から継承したものです。電球が機械生産になった今もなお、光の透過率を高めるための伝統技法を繊細なグラス作りに応用。
お酒の味や香りをダイレクトに感じられる繊細な口当たりは、日々の晩酌をも名店の味に変えてくれるのです。
松徳硝子
うすはりSHIWAタンブラー
職人が一点一点手吹きによって仕上げる薄作りの江戸硝子。「はり」はガラスを意味する玻璃から取られ、平成元年の誕生以降多くの名店で重用されている。一点モノのくぼみは、美しさと持ちやすさを両立。(右)1900円(中)1700円(左)1500円。(松徳硝子)
創業:1922年
所在地:東京都墨田区
美しいアールを守り抜いたザ・弁当箱
軽量で割れにくく、油やニオイは落ちやすく、アルマイト加工による被膜で腐食にも強い。弁当箱に求められる性質を備えたアルミは、人気根強い素材です。
大一アルミニウム製作所の先代がキッチン雑貨の工場を始めた頃、アルミ製の弁当箱はありふれたものだったとか。
しかし時代とともにその数は減少。そんななか命ともいえる金型を手放すことなく、頑なに生産を続けたのが同社だったんです。
貫き通した伝統は、継ぎ目のないアールに現れています。
大一アルミニウム製作所
アルミ弁当箱(小判型L)
シンプルな造形ながら、深絞りと呼ばれるプレスによって角のない美しいアールを再現。表面にはアルマイト加工が施され、油やニオイも付着しにくく衛生面も安心。W162×H115×D38mm。1400円。(大一アルミニウム製作所)
創業:1951年
所在地:東京都葛飾区
三条で生まれた世界初の発明品は一生現役!
時は1950年代前半、新潟県三条市で画期的な発明品が生まれました。それがこの缶切り。
てこ式を採用した缶切りは、それまで錐などで強引に開けていた缶詰が簡単に開けられる!と爆発的に認知を広げ、記録が残っている昭和40年以降でも5500万個を売り上げているんです。
この缶切りとともにスタートしたプリンス工業は、今や国内トップメーカーのパーツ生産を請け負うまでに成長。誕生当時と変わらぬ姿で、今なお同社の顔を張っています。
プリンス工業
Z缶切
プリンス工業の大定番を、山谷産業がプロデュースする金物ブランド「村の鍛冶屋」がリブランディング。レトロさを打ち出したパッケージやポップなカラバリは、国内外問わず、旅行者のお土産としても人気。500円。(山谷産業)
創業:1964年
所在地:新潟県三条市
手作業で鍛えた鋼が生む抜群の切れ味
波状の刃が一般的なパン切り包丁ですが、タダフサのそれは違います。
先端だけに波刃使い、残りはストレートな刃を採用。切れ目のきっかけを波刃で作り、スッと引くだけで、パンを潰すことなく、断面も滑らかになるんです。
秘密は刃の素材にも。SLD鋼をステンレスでサンドした3構造は、刃の薄さと高い硬度を両層立。鋼を薄く仕上げられるのも、職人の技術があればこそ。
ひと味違った切れ味は、今までの常識を気持ちよく裏切ってくれるはずです。
タダフサ
パン切り
先端の一部だけを波刃に、残りの大部分は通常のまっすぐな刃にすることで、パンを潰さずに切れるパン切りナイフ。抗菌炭化加工を施した栗木製のハンドルは持ちやすく、温もりも感じられる。9500円。(庖丁工房タダフサ)
創業:1948年
所在地:新潟県三条市
※表示価格は税抜き
[ビギン2019年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。