特集・連載
触手のように這い出る玉ねぎなハヤシライス~【インスタなえ旨メシ】vol.23
インスタ萎え旨メシ 「インスタ萎え」という言葉があるとか。要するにインスタ映えしないモノ、場所をそう言うらしい。でもね、インスタ映え重視ばっかりってオカシイと思いません? とくにメシについては。本来メシって味が一番重要でしょ! ということで、インスタ映えはしないけど、とにかく本当においしいモノを発掘していこうと思っとるワケです! その地味ながらも圧倒的なウマさにみなさんもハマること間違いなし!!……かもね!? この記事は特集・連載「インスタ萎え旨メシ」#22です。
五反田「グリルエフ」のハヤシライス
1300円(税込み)
正統派洋食店の裏メニューはまさかの牛丼⁉︎
器から触手のように這い出る玉ねぎ、その勢いで転げ落ちまいとするグリーンピース、我関せずとばかりに悠々と構える牛肉。五反田で半世紀以上続く洋食店「グリルエフ」にはトリオ芸人みたいな裏メニュー、ハヤシライスがあります。年季が入りつつも油曇りなく磨き上げられたキッチンで、無駄のない動きを見せるシェフたちは、「ザ・洋食」という名のロングラン公演を誠実に演じるベテラン俳優のよう。どのメニューを頼んでも洋食のレシピ本に出てきそうな清く美しい盛り付けなのに、なぜかハヤシライスだけはわちゃわちゃした見た目に加え、らっきょう・福神漬け・紅しょうがの付け合わせもあってか、牛丼感が否めない。
でもその親しみやすさが、ちょっと贅沢なお昼&晩ごはんとして愛されている模様。特にディナータイムは「今日一日がんばった自分へのご褒美!」とばかりに、味しみしみのハヤシライスを全身全霊でかき込むお一人様の多いこと。そんな姿を見ると、お腹いっぱいでもついシメに頼みたくなってしまうのです。
リポート/間中美希子