string(38) "https://www.e-begin.jp/article/364362/"
int(1)
int(1)
  

まだ理解されないテスラの凄みとは

モデルS 100D
モデルS 100D

年明け早々、創業者かつCEOであるイーロン・マスクが、”次の月曜からモデルS&Xの受注受付を止めちゃうから、まだの人は土曜の夜までによろしくね”的なツイートをして、今年もお騒がせのテスラ。正確には「モデルS」と「モデルX」のバッテリー容量75kWhバージョンのみ受注を停止したものの、より大きなキャパを持つ100kWhバージョンの両モデルは今もラインナップされ、その気になればオンラインで早々にオーダーできます。要はグレードをひとつ減らしただけであの騒ぎですから、ネット民のテスラへの注目度の高さがうかがえるでしょう。

世間的によくEVがカン違いされやすいポイントですが、バッテリー容量は、従来の内燃機関のクルマでいう燃料タンク容量的なスペックではなく、エンジンパワーに相当します。エネルギーの出し入れは、狙った出力や電力消費、充電効率に応じてコントロールするもので、当然、発熱や抵抗で失われるロスもあります。その辺りのサジ加減の巧さが、テスラってやっぱり凄いんです。日産リーフのような普及EVはおろか後発の欧州製EVも、6年も前に発売されたモデルSやそれをベースにしたモデルXにまだ追いつけてないところが、多々あります。

今回はあえてバッテリー容量の違う2台のテスラ、受注を終えた「モデルX 75D」と、まだラインナップされ続ける「モデルS 100D」を試乗に連れ出してみました。

街中と首都高速道路で150km少々ほど乗った限りは、モデルXの75kWhのバッテリー残は47%、モデルSの100kWhの残は60%ほどでした。エアコンを使いつつ、ストップ&ゴーで加速を繰り返したりした割には、よくもったもので、この調子で乗り続けても300~450kmは走れるはず。駆動方式はモデルXもモデルSも、前後をモーター駆動する4WDです。

ところでテスラの本領は、充電時、バッテリーにあります。じつは昨年11月初めまでに新車購入されたモデルSとモデルXには、テスラ謹製のスーパーチャージャーと呼ばれる専用ステーションで急速充電の無料クレジットが付いているんです。燃料付きでクルマが売られているようなもので、スーパーチャージャーは近頃、高速道路や一部のコインパーキングにも設営され、30~40分も充電すればバッテリー容量の8割以上は復活します。EVの充電が通常の給油より時間がかかることは確かですが、30分なんてメールを返信したり渋滞情報を見たり、あるいはトイレに行って飲み物休憩したり、子供のおむつでも替えようものなら、あっという間に過ぎていきます。もちろん、家庭でじっくり8時間以上かけて満充電することも可能ですが、バッテリー保護の関係で推奨は80%充電なんだそうです。

ちなみにバッテリーのセルは積層のラミネート状ではなく円筒型で、バッテリーの劣化を遅らせるための温度管理、それこそがテスラのノウハウと技術です。そして、それがEVの完成度を飛躍的に高めたというのが最大のポイントといえます。アメリカでは、25万km以上を走ってもテスラ・モデルSのバッテリーが7%ほどしか劣化していなかった、という報道もありました。

とどのつまり、賛否両論あるテスラですが、真新しい存在というより普及期に入りつつありますし、EVという新しい風が新鮮なうちに、浴びるんなら今!ってことです。


文/南陽一浩

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ