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パラブーツイメージ

パラブーツは長~く愛せる! そのワケは…

「高級靴=繊細」ってイメージ、ありますよね? パラブーツもそんな靴を作ってた時期もありましたが、やがてワーク靴や登山靴のディテールや製法を取り込み、高級感と堅牢性を併せ持つ独自ポジションに転生。

「高級靴=繊細」なるパラダイム(常識)をシフトしてしまった稀有なブランドなんです! ゆえに末長~く履けるのは、パラブーツの虜になったファッション界の重鎮たちが証言しているとおり。

というわけで、ここでは同ブランドを象徴するチロリアン「ミカエル」を解剖&検証し「高級なのに堅牢」のワケを探ります。

 

創業当初はふつうの高級靴メーカーでした……

現在のブランドイメージとは違い、創業後しばらくは上流階級に向け、上のようにドレッシーな靴を生産していた。

 

パラブーツを大解剖!
高級靴なのに超頑丈! な3つの理由

パラブーツ構造画像

 

1.登山靴みたいに堅牢な
ノルヴェイジャン製法

パラブーツの制作光景画像

ノルヴェステッチ(すくい縫いの一種)という“ひと手間”を加えることで、グッドイヤー製法以上の堅牢性を可能にするこの製法は、元来が山岳靴用の伝統的底付け法。それを街履き靴にまで広めたのがパラブーツだ。

しかも、そのステッチにストームウェルトなるレザーテープを組み合わせることで、防水性を高めてもいるのだ。
 

すくい縫いとウェルトで堅牢性、防水性をUP

パラブーツ構造図

ミカエルを輪切りにした図。アッパーとL字状に当てられたウェルトをすくい縫いが貫通し、本底を付ける出し縫いとともにステッチが2本走る。堅牢性や防水性が向上する。

 

2.味が出るのに雨に強い
リス・レザー

雨天時のパラブーツ画像

高級カーフにオイルアップを施して仕上げるリス(lisse=フランス語で「スム-ス」の意味)・レザーは雨などの水気にすこぶる強く、なおかつ堅牢。

しかも履き込むほどにしなやかになり、色が深まるエイジングレザーでもある。ちなみに、新品時、表面が白みを帯びていることがあるのは、それだけ革の繊維内にオイルが深く浸透している証だ。

 

高級カーフで作られるオリジナル堅牢レザー

パラブーツのリス・レザー画像

ファクトリー内に保管されたリス・レザー。これらを職人が繊維の方向などを見つつ、最良の部分を選んで使用している。

 

3.擦り減りにくい
ラテックスソール

パラブーツの靴裏画像

高級革靴メーカーでは世界で唯一、ラバーソールを自社生産できるパラブーツ。それらは独自のレシピのもと、生ラテックスを型に入れ、加圧熱で焼き上げたもので、反発性に富み、堅牢で摩耗しにくいといった特性を持つ。

しかも、タイプごとにその焼き方などを微妙に変えることで、使用目的に最適な硬度に調整されているのだ。
 

基本のソールを覚えとこう!

パラブーツのソール、ギャラクシー画像

無骨でも、履き心地は超コンフォタブル!
「ギャラクシー」

薄くてラグが低いため、見た目スマートで返りは上々。「ポー」などのドレスラインに採用。

 
パラブーツのソール、パラテックス画像

エアクッション入りのヒールで履き心地上々
「パラテックス」

ソールにエアクッション入りのヒールを装着し、履き心地◎。「シャンボード」などに採用

 
パラブーツのソール、マルシェⅡ画像

靴をスマートに見せるドレスライン向け
「マルシェⅡ」

「ミカエル」などに採用される、現行最古の定番ソール。耐久性&グリップ力がバツグン。

 

まだある超頑丈な理由

パラブーツの分解図拡大

A.ソール内部にコルクを用いず、波状になったフィンを採用し、クッション性UP!

B.トウやヒールカップに仕込まれた硬いコットン芯。歩行安定性や堅牢性がUP!

 

通になるためのワンポイント講座

パラブーツ'40~ʼ50年代の広告画像
’40~ʼ50年代の広告。街でもアウトドアでも防水性発揮!

ドレス靴と本気ワーク&アウトドア靴作りを両立する孤高の存在

パラブーツが他の高級靴メーカーと一線を画すワケは、本気ワークやアウトドア靴の分野に進出した点にある。

事実、’60~’70年代までは上のビジュアルのようなアウトドアマンやワーカー向けの靴がメイン。’80年代後半にドレス靴主体に舵を切るわけだが、頑丈さ第一の製法や素材が根づいているからこそ唯一無二の個性が生まれるのだ。
 

パラブーツ'60~ʼ70年代の広告画像
’60~ʼ70年代の広告。警官も郵便局員も市場の労働者も!

 


[ビギン2018年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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