人気再燃中の「ロープロスニーカー」、ヒットの理由とは?

【BESTスニーカー会議 2026】
多様化が叫ばれるこのご時世、スニーカートレンドも例外にあらず。かつてのような一強トレンドは鳴りを潜め、ジャンルをまたいで多種多様なトレンドが乱立する、いわば“スニーカー大洪水時代”を迎えています。そこで今回のビギンは「BESTスニーカー会議2026」と題して、各界からスニーカー有識者を召喚。スニーカー愛あふれるアツい会議を通じて、間違いのないBESTスニーカーを導き出します!
Y2Kの反動で人気再燃!!
ロープロスニーカー 実態報告
注目度の上昇率でいうとY2Kをも凌ぐ「ロープロ」。ロー=低い(薄い)、プロファイル=横顔という通り、ほんとにソールついてんの!? と疑わしくなるくらい薄底の名靴たちは、なぜ今もてはやされてるの? 理由と特徴を語り尽くしていただきます!
スニーカー界のレジェンドと博識ライターが紐解きます!

ミタスニーカーズ ディレクター 国井栄之さん(写真右) ご存知、日本が世界に誇るスニーカーペディア。明文化するのが難しいジャンルも的確に言語化してくれる、AIも真っ青のご意見番。
ライター 黒澤正人さん(写真左) 脳の処理速度と一緒でスニーカーの好みもローテク。最近家族に省スペースを迫られ、某フリマアプリで約50足を泣く泣く出品(涙)。
“薄い” + “α”が令和のロープロファイル
黒澤 どれもこれも本当に薄い! ソールはもちろんなんですけど、アッパーが華奢なこともあって全体がミニマルな雰囲気。マジでY2Kとは180度反対の印象です。
国井 それもそのはず、Y2Kであれだけデコラティブなフォルムが流行ったカウンターとして台頭してきた感がありますからね。
「ムダを削ぎ落としたミニマルデザインがY2Kのカウンターとして台頭しています」

黒澤 たしかに厚い→薄いというトレンドの変遷は当然の流れかも。
国井 ただロープロって言葉自体は最近注目されたものですけど、薄底の靴はこれまでに何度も流行を繰り返してきました。70年代のランニングシューズなんかも、ロープロと言えばロープロですし。でも“薄い”という共通要素はあるけど、Y2Kと同じで各メーカーが独自のアレンジを利かせているのが、今流行しているロープロの特徴かもしれません。例えばプーマの「H ストリート OG」。
黒澤 90年代後半に登場したランニングスパイク「ハランビー」のライフスタイル版として、2003年に発売された「H ストリート」の復刻版ですね。プーマのロープロといえばモータースポーツ由来の「スピードキャット」なんかの印象が強いんですけど、考えてみれば陸上競技も得意なフィールド。自社のアーカイブの中からロープロを引っ張り出してるわけですね。
国井 最近は温暖化の影響が深刻。だからこそ陸上のために生まれたこの軽さと通気性は現代にマッチしてます。やっぱり単なるファッションじゃなく、実用的であることもスニーカーの外せないアイデンティティ。履いてて心地いいからこそヒットしてると思います。
黒澤 ヒットするって点ではアディダス オリジナルスの「ジャパン」も売れそう。2026年はちょうどワールドカップイヤーですし。
国井 2025年末に新しい日本代表のユニフォームが発表されたんですけど、それとリンクしたデザインに仕立てられてます。ベースは1964年に東京で開催された某世界的スポーツイベントに向けて開発されたトレーニングシューズ。
黒澤 薄型のラバーアウトソールも当時の象徴的意匠ですよね。トレンドに当てるために開発した色物ではなく、うちにはしっかりロープロの背景もあるんですって無言で主張してる気がします(笑)。
国井 一方新しいロープロ像を築きあげようとしてるのがニューバランス.のトーキョーデザインスタジオが手がけた「MT10T」。2011年に登場したミニマスコレクションの「MT10」をベースに、バレエコア的要素も取り入れながら、ミニマル化を加速させています。
黒澤 そういえば10年代はベアフットランが流行ってましたよね! ちょっと前のことなのに凄く昔のジャンルに感じます。この独特な突起形状のビブラム社製アウトソールとか、当時の趣があっていいなぁ。でもしっかり鮮度もあるし、不思議な魅力があります。
国井 バレエコア的要素と、古きを新しく見せるというアプローチが共通しているのが、オニツカタイガーの「プラバラ」。
黒澤 ほんとだ! 代表作の「メキシコ 66」がベースになってるのに、バレエシューズチックな佇まいになってて、よりロープロ色が強まってる。軽いし屈曲性も抜群。履き口のギャザーも愛らしいアクセントになってて、これは夏場もめちゃくちゃ重宝しそうです。

PUMA[プーマ]
H ストリート OG
陸上のトラック競技用スパイクをルーツとする細身フォルムはそのままに、足の形状に沿って立体的に作られた成型フットベッドに変更し、履き心地の良さを大幅にアップデート。各1万2100円(プーマ お客様サービス)
大部分がメッシュ地だから軽くて蒸れ知らず
フィジーグリーン × シルバーのオリジナルカラーもエモいい
ロープロファイルの名門らしい完成度の高さ

adidas originals[アディダス オリジナルス]
ジャパン
薄型のラバーアウトソールだけではなく、トウ部分に補強パーツを重ね合わせた“Tトゥ”も、ロープロの象徴的意匠のひとつ。日本代表と言えばなサムライブルーカラーは汎用性高し。1万9800円(ミタスニーカーズ)
JAPANの金文字も誇らしげに鎮座
日本代表カラーはファッションとしても取り入れやすい

New Balance[ニューバランス]
Tokyo Design Studio MT10T
アンライニングのヌバックアッパーとラバーマットガードも、ミニマル化を促進している要因のひとつ。つま先部分が広がったオブリーク形状のラストが自然な足指の広がりと動きを実現している。2万2000円(ミタスニーカーズ)
名作トレランシューズ「MT10」がベース ※参考商品
“N”のロゴは驚くほど控えめに
グリップ力&耐久性◎のビブラム社製アウトソール
独自のロープロ像を築き上げようという意志を感じます

Onitsuka Tiger[オニツカタイガー]
プラバラ
1961年登場の「リンバーアップ」と1966年発売の「リンバー」をミックスして作られた「メキシコ 66」。ロープロ史に残るこの名靴に今のトレンドを絶妙なバランスで取り入れた意欲作。2万5300円(オニツカタイガージャパン)
履き口は伸縮するから着脱もイージー♪
ここの顔的名品にバレエコア的要素も混ぜて再構築してる
※表示価格は税込み
[ビギン2026年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
