【いまさら聞けないアメトラ】一着目で迷わない、ブレザーの基礎知識と定番カタログ

英国生まれの愛されモノ ブレザーの知られざる過去
アメトラの象徴でもあるブレザーですが、その生まれはイギリスだとはご存じですか!? 体型も性別も問わずに愛されるワケを深掘りしたら、細かな工夫が出てくる出てくる!

Q1.ブレザーってナニ?
A. まず「ジャケット」とは、ラペル(下衿)を持つことを最大の特徴とした、テーラード仕立ての前開きの上着のこと。その起源は中世ヨーロッパで農民たちが作業時に着ていた短い上衣といわれる。
ただし、現代のような形態のものが成立するのは1848年頃。イギリスの上流階級の男たちが息抜きのために集ったラウンジ・ルームで、堅苦しいイブニング・コートに代わる寛ぎ着として着用したラウンジ・ジャケットがルーツといわれる。“ネイビージャケット”とカテゴライズされるほどジャケットにネイビーが多い理由は、次のQ&Aをご覧あれ。
そして「ブレザー」とはジャケットの中でも“制服”としての意味合いが強いもののこと。メタルボタンなどを特徴とし、その始まりは1877年頃、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学の定期対抗ボートレースが開催された際、ケンブリッジの代表選手が揃って深紅のジャケット姿で登場! その様子がまるで炎=Blazeのようだったのを見て、観衆から「おお! ブレザー!」と歓声が上がったことが由来とされる。
優勝者に贈られる炎のようなブレザー

ブレザーという言葉にはじつは「炎のように赤い」という意味が隠れている。欧州大陸で最古のゴルフトーナメントといわれている「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」では、優勝者に文字通りの“真っ赤な”ブレザーが贈呈される。
Q2.ブレザーにはどうして紺が多いの?
A. 伝統として、支持政党や宗教の違いを含め、英国人は自分がどのグループの一員であるかを示したがる。服も帰属を表すアイテムだったため、奇抜な色は避けられ、自然と多くの人に受け入れられる色柄が選ばれることに。だからジャケットには無地の紺が多いのだ。
Q3.袖口のボタンの数が違うのはなぜ?
A. シングルの場合、フロントボタンと袖口のボタンの数を足して5個か6個にするのが決まりだとか、袖口のボタンの数はフロントボタンの数+1個が基本だとか、諸説あるようだが、袖口のボタン数について現在、これじゃなきゃ駄目! という絶対ルールは存在しない。
ちなみに、袖口のボタンはおおよそ飾りでしかないが、なかには実際に開閉できるものがある。「本切羽(ほんせっぱ)」と呼ばれ、Yシャツ=下着、とされジャケットを脱ぐことが許されず、腕をまくるしかなかった時代に生まれた極めて合理的なディテールだ。
Q4.ブレザーを買うとき、まず見るべきポイントは?
A. 素材、シルエット、縫製と、ジャケットは見るべきポイントが多すぎて目が回るほど。それでも絶対に見逃しちゃいけないのがラペル(下衿)。ジャケットの印象を決定づける、いわば顔だから。
ラペル幅が広ければクラシックに見えるし、狭ければモダンに見える。最近ではスタンダードなノッチトラペルが多く見られるけど、じつは10種類を超えるバリエが存在。各々与える印象が違う。
加えてもう1点、チェックしておきたいのが肩パッドと芯地。まずは、羽織った状態で前身頃の肩線下を横につまんでみる。ここがつまめないとかなり窮屈に感じるはず。さらに胸の膨らみを確認。立体的な丸みが出ていれば作りは確かといえる。ただアンコンジャケットはこの限りではない。
ノッチトラペル

シングルジャケットでは最もポピュラーな衿型といわれるノッチトラペル。V字形に刻み(ノッチ)が入った菱形の衿型で、ビジネスを含め、幅広いシーンに対応できる。
Q5.ポッチャリ体型が着るべきブレザーってなに?
A. ボリューミーなお腹を抱えたポッチャリ男子が着るべきブレザーの条件とは? それは体型を上手にカバーしてくれること。これに尽きる。
鉄板はアメリカの正統派スタイル、ボックス型シルエットのジャケット。そもそもアメリカはどこよりも早く既製服が普及した国。1890年には既製服の比率が早くも5割を超えていたほど。しかもアメリカは人種のるつぼ。さまざまな人間がいて背丈も体格もバラバラ。細かな対応は既製服には無理な相談。むしろ、ひとつのスタイルで多くの体型を網羅できるような工夫が求められた。
かくして誕生したのが、ボックス型のシルエットというわけだ。痩せて見えるわけではない。でもポッチャリさんをそれなりにカッコよく見せてくれるのは、今の経緯が証明している!
[アメリカ]ボックス

ナチュラルショルダーやシングル3つボタン段返りなど、イギリス由来のスタイルをアメリカ流にアレンジ。なかでもアメリカのジャケットを最も特徴づけているのがボックス型シルエット。既製服の先進国アメリカが生んだ合理的な仕様である。
[欧州]ウエストシェイプ

欧州各国でスタイルは異なるものの共通点も多い。シャープなカッティングや曲線を多用したシルエットなど、テーラー仕立てに由来する特徴がソレ。仕立屋の大反対で欧州では既製服の普及が遅れた。その影響がこうした特徴に表れているといわれる。
ノッポにもポッチャリにも対応できるカバー力

より多くの体型を網羅できる最大公約数的なスタイルとしてアメリカで愛されたシルエット。同時期のイギリスでのトレンドが、Vゾーンが狭く身幅もタイトなモッズであったことを考えれば、その特異性がわかるだろう。
もっと知っ得コラム
覚えておいて損のないブレザーの“作法”
ラフに着崩すのが醍醐味でもあるが、本来の“型”を知ると知らぬじゃ大違い。いずれも非常に基本的なルールだが、ここで念の為に確認しておこう。

❶一番下のボタンは留めない
げっ!やってる~てな人も多いのでは? 一番下のボタンは留めないのがルール。シングル2つボタンなら上1つ掛け。3つボタンなら中1つ掛けか、上2つ掛けが基本だ。

❷フラップポケットは外では出し中ではしまう
今でこそすっかり形骸化しちゃってますが、もともとは雨の浸入を防ぐためのもの。屋外では外側に出し、室内では内側にしまうのが、じつは正式なドレスコードなんです。

❸ラペルに合わせてネクタイを選ぶ
トラッド好きには常識でしょうが、ラペル幅とネクタイ幅は合わせてナンボの世界です。ラペル幅が広ければネクタイ幅も広く、狭ければ狭く、が王道。覚えておきましょう!
教科書に載せるべき定番ブレザーカタログ
そう何着も買い替えないからこそ、ブレザー迷子はこの世に多し……。ここではオンオフ着られるごくごくベージックなデザインに絞り、名門の名作をズラっとご紹介します!

すれ違っただけで良いモノだと分かる

Brooks Brothers[ブルックス ブラザーズ]
段返り3釦 ブレザー
ゴールデン フリースマーク入りのゴールドメタルボタンを使用。通常のウールよりも繊度が細く稀少性の高いミラクルクリンプウールを用い、高密度で織り上げているため、見目麗しきツヤと弾力が生まれている。8万6900円(ブルックス ブラザーズ ジャパン)
太すぎず細すぎずの絶妙ボックスシルエット

POLO RALPH LAUREN[ポロ ラルフ ローレン]
ポロ クラシック ギャバジン ブレザー
今もシルエットを随時アップデートしており、本作ではやり過ぎない“上品なボックスシルエット”を実現。ウエストのシェイプが絶妙も、360°どこから見ても立ち姿が美しい。生地には同社のために作られたウール混紡ギャバジンを使用。9万200円(ラルフ ローレン)
アメトラ好きは黙って“メイドインUSA”

Southwick[サウスウィック]
ケンブリッジ
人気ブランドがこぞって発注をかけている大御所ファクトリーブランドの代表作。生地はアメリカン ウーレン カンパニー、メタルボタンはウォーターバリー社のものを使用するなど、今なお生粋のMade inUSAを貫いている。16万5000円(エム・エス・ティー)
実力派ならではの病み付きフィット♪

Kingswood[キングスウッド]
ネイビーブレザー
1950年代から、本ページ掲載の名ブランドたちのOEMを担っていた老舗ファクトリーブランド。基本に忠実なボックスシルエット、しなやかなナチュラルショルダーなど、熟練職人による立体縫製のおかげで快適なフィット感を味わえる。5万9400円(メイン)
遊びゴコロを効かせた米 × 伊ミックス

Tommy Hilfiger[トミー ヒルフィガー]
THヘリテージネイビーアンコンブレザー
ブレザーにイタリアの風が吹くとどうなる? と同社がラルディーニに制作を依頼した別注品。段返り3つボタンやセンターフックベントなど米国式に敬意を払いつつ、サイドベンツを採用するなどイタリアンクラシコなムードも纏う。6万4900円(トミー ヒルフィガー)
アイビーリーガーからセレブリティにまで愛される

Paul Stuart[ポール・スチュアート]
イギリスの仕立て技術とアメリカの感覚を融合させた“コンテンポラリー・クラシック”を掲げ、政財界のVIPやセレブリティからも支持の厚い老舗ブランド。新素材の採用にも熱心で、ホップサックやジャージーなど軽やかな一着は春夏にピッタリだと評判だ。
アメリカへの敬意と使い勝手を両立

BEAMS PLUS[ビームス プラス]
3B ブレザー コンバット ウール
1960年代のスポーツコートをベースに、フィッティングを現代風にアップデート。生地にも、ウールにコーデュラナイロンを混紡し耐摩耗性を高めたものを採用するなど、ロマンと汎用性のイイとこ取りを高次元で叶えている。4万4000円(ビームス プラス 原宿)
“アメトラ”を根付かせた由緒正しき一着

VAN[ヴァン]
段返りメタルボタンブレザー
1960年代に日本でアメトラを浸透させた重鎮。当時はフランネルが主流だったが、同社は汎用性を理由にオリジナルの滑らかなサージ生地を採用。他にも1/4インチのウェルトシーム、フックベントなどの意匠は今も継承されている。7万7000円(ヴァンヂャケット)
ミリタリズム香るエイジングするブレザー

D.C.WHITE[D.C.ホワイト]
ウエスト ポイント ブレザー
米陸軍士官学校の制服にも用いられたウエポンクロスを、日本が誇る緻密なテーラリング技術を用いて仕立てた一着。高密度に織られた綾織によるハリ感と優れた耐久性が特長で、ブレザーながら深い経年変化が楽しめる。5万5000円(ディーシーホワイト デスク)
※表示価格は税込み
[ビギン2026年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
