ローファーの歴史を変えた二大巨頭「G.H.バス」と「オールデン」を知る

【ローファーの歴史を変えた二大巨頭を知っておく】
今や老若男女に当たり前に着用されているローファーですが、一般化したのはこの100年以内の出来事。その歴史を語る上では、やはりこの2ブランドが欠かせないでしょう。
“ローファー”のご本尊たる
G.H.バス

G.H.BASS[ジーエイチバス]
11035H ローガン
ローファーの元祖として知られる「ウィージャンズ」の血を引くコインローファー。クッション性を従来よりも大幅に向上させており、伝統的なルックスと履き心地が融合した逸品だ。ハイシャインレザーは艶やかな光沢感とケアの手軽さが魅力。やや厚めのレザーソールで、幅広い服装に馴染む。3万9600円(ジーエイチバス 東京)
すっきりとした印象のシャープシルエット


G.H.BASS[ジーエイチバス]
1876年にメイン州で創業。創業当初は地元の労働者向けのブーツやモカシンを製造していたが、北欧のロガーが履いていた靴から着想を得て、1936年に「ウィージャンズ」を発売。後にローファーと呼ばれ、ブランドを確固たる地位へと導いた。超が付く老舗ながらも、現在もグッドプライスを維持しているのは拍手もの。
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時代のアイコンたちもゾッコンだった
1950年代にはアイビーリーガーたちの必須アイテムとなったローファー。その元祖であるGHバスのウィージャンズは、誰もが知る歴史的人物たちもこぞって愛用していた。
第35代大統領のジョン・F・ケネディは、休日のヨットクルージングやケープコッドでの休暇時に愛用。大統領という堅い立場にありながら、オフタイムに素足で履く姿は、アメリカファッションの新しいスタンダードを示した。
20世紀最大のポップスター、マイケル・ジャクソンは、「スリラー」や「ビリー・ジーン」のミュージックビデオにおいて着用。白いソックスと黒のローファーの組み合わせは、ムーンウォークと共に世界中の若者を魅了した。
時代の寵児たちに愛された
マイケル・ジャクソン(左)/ジョン・F・ケネディ(右)
“タッセルローファー”の生みの親
オールデン

Alden[オールデン]
664 タッセルモカシン
多くのフォロワーを生んだ、世界初のタッセルモカシンの末裔がコレ。多種多様なラストを取り揃えるオールデンにおいて、もっとも細身でシャープなノーズを持つドレスラスト「アバディーン」を採用。品よくオンタイムにもマッチする。素材はもはや言わずもがな、ホーウィン社のブラックシェルコードバン。21万7800円(ラコタ)
オールデン最細の“アバディーンラスト”
現在に至るまでUSAの職人が製造



Alden[オールデン]
1884年、マサチューセッツ州ミドルボロウで創業。医療用矯正靴が評価され、アメトラで必要不可欠な革靴メーカーに。整形外科的な知識を基にした快適な履き心地と、日々酷使してもビクともしない堅牢な作りは、まさに一生モノと呼ぶにふさわしい。特に、コードバンを使用した革靴作りにおいては右に出る者がいない。
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誕生のきっかけは大御所の無茶ブリ
タッセル誕生は1948年。発端はオスカー俳優のポール・ルーカスとされている。一説によると彼は英国で房飾り付きの靴を購入し、米国に帰国後、多くの靴店に“もっとカッコよく、シンプルにして!”とオーダーしていたそう。

しかし完成品に満足できなかった彼が諦めきれずに依頼を繰り返した結果、頼まれたニューヨークとロサンゼルスの2店が“ココなら作れるはず!”と偶然にも両者オールデンに泣きついたんだとか。

同社は依頼に応えるため、アバディーンラストを採用し、タッセルモカシンを考案。ポール氏も大層気に入ったんだそう。じきに同社はブルックス ブラザーズのOEMも請け負うこととなり、アメトラを象徴する一足となっていった。

※表示価格は税込み
[ビギン2026年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
