【英国ニット】ジョン スメドレーなど、モダナイズされた最新アイテム5選

【英国ニット 400年超のルーツを辿る】
荒涼とした島国で、羊から始まった英国ニットの物語。労働着として鍛えられ、戦後はファッションとして開花。現在は、上質で気楽な英国モノ「マイルドワラント」へ進化中。その400年の旅路をざっくり辿ってみよう!
【1950年以降】戦争を経て人気爆発!
ファッションとしての英国ニット
機械編みのニットが増えても、戦争中は物資不足で手編みニットの需要も高く、凍える戦場では兵士を、日常では家族を守る防寒具として重宝された。
戦後は、イギリスらしいファッションとして注目度がアップ。ファッションデザイナーがコレクションに取り入れたり、スタイルの一部としてアレンジしたりする動きも。
フェアアイルセーターの幾何学模様やアランセーターの編み柄などが脚光を浴び、個性豊かなニットブランドも次々登場した。ここでは定番からちょっとツウなブランドまで5つご紹介!
創業200年以上 王室が愛する
ジョン スメドレー

1784年創業。いち早くハイゲージニットを手がけたパイオニア。エシカルで上質なシーアイランドコットンやメリノウールなどを使い、伝統の職人技で編み上げる、軽く繊細なニットが魅力。産業革命の舞台、世界遺産ダーウェント峡谷の工場から、英国王室にも愛される本物を今も発信している。
一族経営で伝統を守る
ペレグリン

ニットメーカーとして1796年にスタートした、220年以上の歴史を持つブランド。現在は創業一族の8代目であるトム・グローバーがオーナーを務め、伝統的だったデザインをモダンにアップデートする。マンチェスターの自社工場で、糸を紡ぐところから仕上げまで100%英国製にこだわっている。
チームを組んでものづくり
オールドダービー・ニットウェア

イギリス国内の様々なニット工場と組んで柔軟にものづくりを行う、創業100年以上のファクトリーブランド。ローゲージニット工場や、レアな丸胴編み機をもつ工場など、職人の得意技を結集する。英国羊毛組合認定のブリティッシュウールを使用し、モダンなニットに編み上げる手腕が見事。
希少な原毛からニットを作る
ブラックシープ

1966年、牧草地の芝刈り機代わりに羊6頭を飼ったのが始まり。この羊こそ英国唯一の黒毛種ブラック・ウェルシュ・マウンテン・シープで、柔らかく丈夫であったかいところに魅了され、ニットづくりをスタート。他国に生産拠点を移すメーカーも多いなか、今も変わらず英国製を貫いている。
漁師のニットを今に伝える
ガンジーウーレンズ

ガンジー島で生まれた漁師の作業着、ガンジーニットの元祖とされているのが、1976年スタートのガンジーウーレンズ。極寒の海上でも耐えられるように、油分たっぷりのウールをぎゅっと編んだ、直線的なシルエットが特徴。アームホールや裾の独特な模様は、船の梯子や縄、波などを表している。
【現代】時代に合わせてモダナイズ
最新の英国ニットアイテム
現代の英国ニットは、もはや寒さを凌ぐヘビーデューティなだけじゃない! 重くて、脂くさくて、ゴワゴワする――そんな昔の印象は、そろそろ脱ぎ捨てるべき。伝統をベースにしながらも、軽やかで、スタイリッシュで、柔らか〜く進化。まさに、マイルドワラント化しているんですね。
肩の力を抜いて着られるのに、きちんと品があるところは、香り高い英国紅茶で淹れたミルクティーのよう。クラシックでモダンなこうした一着があれば、ヘビロテできること請け合い。なかでも注目&お馴染みブランドから、ビギン読者にぴったりな5着をセレクトしました!
ジョン スメドレー
狙い目は24Gのモダンフィット

ニュージーランドの農場で、羊にやさしい方法で採取した、極上のエクストラファインメリノウールを採用。程よい厚みで3シーズン活躍する24ゲージや、すっきり見えるモダンフィットもうれしい。ボタンを閉めて上品に、1サイズアップしてスウェット感覚で着るのもおすすめ。6万9300円(リーミルズ エージェンシー)
ペレグリン
今日的なアランカーディガン

ブランドの代表作といえば、悪天候で働く漁師のためのアランニット。そのカーディガン版は、英国認定農場のブリティッシュウールを100%使用していて、空気を含んで暖かくやわらかい着心地。ケーブル編みのクラシックなルックスとは裏腹に、旬のサイズ感で着こなしやすいのも買い。4万6200円(真下商事)
オールドダービー・ニットウェア
ゆるっとバランスが最旬

真っ白なラインが爽やかなチルデンニットベスト。伝統のケーブル編みを取り入れながらも、ゆるっとした今どきのサイズバランスだから、シャツやカットソーとの重ね着も楽勝。定番のネイビーベースで、なおかつ英国ブランドながら手に取りやすいプライスも、このご時世に魅力的。1万8700円(セムインターナショナル)
ブラックシープ
黒羊のあったかさはピカイチ

古きよきアランニットがお好みならこちら。ブラックシープの毛を100%使用し、職人が手編みしたカーディガンは、余分な脱脂をしていないため、雨や水に強いところが頼もしい。なにより羊に包まれるような抜群の暖かさが唯一無二。くるみボタンも雰囲気たっぷり。7万1500円(アソシエイテッド・インターナショナル)
ガンジーウーレンズ
海の漢ニットをモダナイズ

1960〜70年代のデザインをベースに、カレドアーがガンジーニットをモダナイズした一枚。ロールネックで首元に熱がこもりにくいところが、暖房で汗をかくこともある昨今にどんぴしゃり。ぎっちりではなく抜け感のあるメリノウールの編み地やストライプの柄、裾のスリットもモダン。3万6300円(カレドアー)
※表示価格は税込み
[ビギン2026年1月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。
