COOL Begin

オシャレのプロが選ぶ“私的傑作”トートバッグ7選

私的傑作

【ベーシックラバーが辿り着いた私的傑作トートバッグ】
種類も豊富で価格も比較的お手頃。そんな買い替えやすいトートの中でも長く付き合えるモノってどれ? ここではオシャレのプロに、選びのコツと思い出を聞いてみました。

「使い勝手も、佇まいもじつに理に適ったバッグです」

岡田哲哉さんグローブスペックス 代表
岡田哲哉さん

銀行員から眼鏡業界に転身し、1998年に東京・渋谷にて「グローブスペックス」をオープン。伊「MIDO」展にて、2017年から2年連続で「BESTOREAWARD」受賞。“世界一の眼鏡店”に輝く。

CECCHI DE ROSSI

CECCHI DE ROSSI[チェッキ デ ロッシ]
キャンバス製マーケットバッグ

岡田さん所有のLサイズは現在休売。Mサイズ W47 × H42 × D15cm。5万7200円※ハンドル部分はホースレザーに変更(セコンドショールーム)

このバッグ、じつは2代目で、最初に買ったのは6年前。展示会で見かけて即買いでした。いつもバタバタ仕事していますから、開けたり閉じたりが面倒な鞄は苦手なんです。とはいえトートのように口が開きっぱなしだと海外ではスリが怖い。
 
その点コイツは持ち手の磁石で口がピタッと閉じるから安心。肩ストラップで両手フリーにできるのも便利です。素朴なキャンバス生地なのに、持ち手のカーフレザーがアクセントになっているのか、米国トートにはないドレッシーさがあるのも気に入ってます
 
このあたりのバランスはさすがイタリア。なんでもない形に見えて、センスがいいんですよね。口の両脇のフックを使うと巾着型になるのも面白い。スーツを着る機会が減ったとはいえ、それでも商談相手と会うときはジャケットを着てキチンと見せたい。そんな時にぴったりな鞄です。シンプルなのに理に適い、時代の気分にも沿う……。今後もマイ定番であり続けるでしょうね。

「王道だけど王道じゃないひねくれ者のビーン・ショルダー」

中武康法さんマグニフ 店主
中武康法さん

神保町の古書店勤務を経て2009年、同すずらん通りに雑誌メインの古書店「マグニフ」をオープン(今年を以て移転予定)。メンズファッションに強く、ファッション関係者から厚い信頼を寄せられている。

L.L.Bean

L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
シリンダー・トート

定番デザインをもとに筒型のワンショルダーで仕上げた一品。終売。

みんなが持っているものには興味のない私が、エル・エル・ビーンを集め始めたのは15年ほど前。とあるお客様がきっかけでした。その初老の紳士は、デニムの上下に解れたハンドルを色とりどりの刺繍で繕ったボート・アンド・トートを携えており、中から取り出したのは服好きのバイブル『Made in USAカタログ』。エル・エル・ビーンの格好よさに開眼した瞬間でした。
 
シリンダー・トートは対角線上に備わるワンハンドルが抜群に肩掛けしやすく手ぶら派にとって理想的。シャツ一枚のような軽装によく合い、コンパクトなサイズ感も通勤に最適です。休日には晩酌セットを入れてキャンプに持参。筒型なのでウイスキーや故郷宮崎の芋焼酎・霧島、炭酸水メーカーがすっぽり収まり、中で倒れることもない。
 
直置きしたときに自立するのも助かります。いいものを愛着を持って使い続けたいけど、王道じゃ満足できない。そんなひねくれ者にとっては実にいい塩梅のトートなんです。

「USA製であり、日本人デザインである。このバランスは唯一無二」

木村 真さんロフトマン 代表取締役
木村 真さん

1996年、ロフトマンに入社。パタゴニアのフリースベストを街着として広めた陰の立役者として知られ、2015年より代表に着任。本号でもP38でモノ選びのコツを披露いただくなどビギンとの縁も深い。

BAGSINPROGRESS

BAGSINPROGRESS[バッグズインプログレス]
キャリーオール ビーチバッグ

W53.5 × H38 × D19cm。4万6530円(LOFTMAN TOKYO)

姿や所作に大人の色気が出る気がするのでとにかくトートが好きで。これまで300個以上のものを試してきましたが、こちらはその中でも個人的に名品に挙げたいですね。まず、アメリカ・ニューヨーク発のブランドで米国製にこだわっているのもあって、モノとしての雰囲気がとてもある
 
生地もザラっとしたタッチが独特なUSコーデュラナイロンで、使い込んでいくうちに湿気を吸ってエイジングしますし、ステッチワークの米国製らしい大雑把なところなんかも含めて、いい味わいがあるんですよね。それでいて、デザイナーが日本人の女性だからか、道具としても気が利いていて使いやすい。調節できるショートハンドルも珍しく、随所の大きなポケットも重宝します。
 
また、余計な装飾がないのも、スタイルや時代を問わずに使えていい。シンプルで使いやすく、経年変化も楽しめる。まさにニューベーシックになるアイテムの条件が揃った、新傑作のトートではないでしょうか。

「大きいサイズでこそタフネス&設計が活きる」

後藤 豊さんレミ レリーフ デザイナー
後藤 豊さん

2008年にレミレリーフを創立。染色やリアルすぎる加工によってヴィンテージの味を表現したクロージングが人気。柔らかな物腰&的確な表現力(&持ち前のナイスなキャラクター)で業界内外で愛される。

L.L.Bean

L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
ボート・アンド・トート

Lサイズ W43 × H38 × D19cm。1万2100円(エル・エル・ビーン カスタマーサービスセンター)

サイズは絶対Lを選んでます。手持ちしたときのバランスもイイですし、氷運搬用由来の丈夫さや、オープントップのモノをガンガン放り込める設計が活きますから! 汚れは気にせずラフに使って手放す頃にまた買う。そんな感じでいつでも手元にあると思います。

「日常も出張もゴルフも。モノリスなら全部イケちゃう」

土井地 博さんビームス シニア クリエイティブ ディレクター
土井地 博さん

ビームス入社後、大阪でショップスタッフとして勤務、その後15年以上プレスを務め、現在はビームス執行役員や社内唯一のコミュニケーションディレクター、出雲観光大使など、幅広い肩書きで活躍中。

MONOLITH

MONOLITH[モノリス]
トート スタンダードL

H37.4 × W63.4 × D20cm。3万800円(ビームス 六本木ヒルズ)

肩掛けしやすく、手持ちでも床につかないハンドル長だったり、ポケットの使い勝手だったり、何かと収まりが良い。2泊程度の出張なら全然行けちゃいます。側面のポケットはマグネット仕様で使い勝手が良く、天ファスナー付きなのでセキュリティ面も安心です。

「ガッツリ使い込んだ佇まいを求めて丸ごと漬けました」

いくら直幸さんライター
いくら直幸さん

ライター暦25年目を迎え、現在はウェブや雑誌、有名ブランド&ショップの広告を手掛ける。レッドウィングやリーバイスなど、アメカジの名品を独自法で育成する“魔の調教師”としてビギンにも度々登場。

DUCK DIGGER

DUCK DIGGER[ダックディガー]
キャンバストート

こちらは廃番だが綿であれば大抵どの鞄でも染まる(自己責任で!)。

ガシガシ使ったものの、ヘビーな素材なのでなかなか味が出ず……、強制エイジングしちゃいました(笑)。洗面台に大量のコーヒーを溜め、漬けたり揉んだり、コーヒーのカスを擦り付けたり。その結果、クッタリ&シミ汚れなど、コク深い表情に仕上がって大満足!

 
※表示価格は税込み


[ビギン2025年12月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

Begin 2025年12月号の表紙

Begin 2025年12月号

10年着られる正しい服

特別定価850円(税込)

詳しくはこちら

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ