男ゴコロをくすぐる2大最強コンデジ! 直感派か、論理派か。あなたはどっち?
コンデジの、スマホよりも確実にエモい写真が撮れながら、一眼レフなんかよりも格段と扱いやすく、機動性に優れるところを、SNSユーザーたちが再評価。結果、中古を含めて市場はかなりの盛り上がりを見せており、ハイスペックな高級機もジャンジャン登場してるんですよ。“悦”な写真体験をしたいのなら、改めてコンデジに注目です!
男ゴコロをくすぐる
最高級コンデジ“悦”見!
まずは現行コンデジ界の頂点に立つ2モデルをご紹介。ともに作品性の高い写真が撮れますが、傾向はかなり異なり、そこが趣味性の高いプロダクトを求める男たちの心をくすぐるのです。
コンパクトデジタルカメラのこと。レンズ交換ができる一眼やミラーレス一眼とは異なり、レンズとカメラが一体式のため小型で持ち運びやすく、気軽に撮影できる。最近は高い描写力を誇る高級モデルも数多く登場している。
ライカたる所以をしっかり味わえる!
カメラに興味を持つと誰もが一度は憧れる名門中の名門ブランド、ライカ。ドイツの最高級光学製品らしい精密な作り、頑なにレンジファインダー式にこだわってきた独自の哲学、道具としての機能性を追求したがゆえのミニマルなデザイン、そして何よりも「空気まで切り撮った」と評される圧倒的な描写力により、いつの時代も熱烈なシンパを生み続けてきました。ロバート・キャパや木村伊兵衛をはじめ、歴代の有名写真家が愛用したことでも有名ですよね。
ライカQシリーズは、そんなライカが15年から展開するコンデジシリーズ。ここで紹介したのは2023年登場の3代目「ライカQ3」です。
もう少しお金を出せばライカの王道たるライカMシステムに届きますが、あちらはAF機能もつかず、正直、初心者には扱いづらい……。
その点QシリーズはAFを搭載し、操作系もシンプルと、初心者でも直感で撮れるユーザーフレンドリーな設計。それでいて専用設計されたズミルックスレンズにより、狙った被写体はクッキリ、それ以外の部分はきれいにボケる、ライカ独特の作品性の高い写真が簡単に撮れちゃうんですよ。
ズーム機能のない28mmの単焦点レンズながら、クロップ機能(画像の一部を切り取って拡大するデジタルズーム機能)により、35mm、50mm、75mm、90mmレンズと同じ画角で撮影できるのもいいところ。搭載するフルサイズ(35mm判)センサーは6000万画素のため、クロップしても写真は驚くほどきれいです。しかもこのレンズにはマクロ機能もあり、最低17cmまで接写が可能!
とまぁ、さすがライカだけあって性能的にまったく隙がないわけですが、さらにモノ好きの琴線をくすぐるポイントとなるのが、極上の操作感でしょう。油圧を感じるピントリングの動きや、ダイヤルのクリック感など、いちいち感性に訴えかけてくるんですよ。
ライカ≒ポルシェ!?
ビギン通巻27号(1991年)の記事。ライカとポルシェは、精密にしてある種の官能性を秘めたドイツ製プロダクトの代表であることを伝えた。
もちろん伝統の扁平楕円形ボディは手の中で収まりが良く、程よくズシリとした重さもいかにもドイツらしい質実剛健さを感じます。年季の入ったライカ好きが絶賛するのも納得な、至宝のコンデジがここにあります。
触れていたい
6000万画素。35mmフルサイズセンサー搭載。レンズ F1.7/28mm。W130 × H80.3 × D92.6mm。重さ約743g(バッテリー含)
LEICA[ライカ]
LEICA Q3
ライカの最高級コンパクトデジタルカメラ、Qシリーズの3代目。ライカMシステムを範とする基本デザインはそのままで、搭載レンズも初代のQや2代目のQ2とまったく同じながら、フルサイズセンサーの画素数が6000万画素(Qは2400万画素、Q2は4730万画素)にアップグレードしたことでより高精細な描写性能を獲得するなど、スペックは大幅進化している。背面モニターもチルト式となり、ハイアングルやローアングルでの撮影がよりしやすくなったのもポイント。最大8Kの高解像度の動画も撮影可能だ。101万2000円(ライカカメラ / ライカカスタマーケア)
名レンズがただ!?
Q3のライカ ズミルックス F1.7/ 28mm ASPHレンズは、Qシリーズのために専用開発されたものだが、もしMシリーズでズミルックス 28mmを使う場合、レンズだけで100万円超え。しかもQ3はクロップ機能で5つのレンズがあるかのように撮影できる。そう考えると、かなりお得かも?
1億超えの画素数がマルチな撮影を支える!
総合写真メーカーとして蓄積する、高度な画像・光学技術を論理的に反映したデジタルカメラを作り続ける富士フイルム。その集大成的シリーズが、フルサイズ(35mm判)センサーの1・7倍となる中判サイズセンサー(ラージフォーマットとも呼ぶ)を搭載した「GFX」シリーズです。立体感や奥行きの表現に優れた圧倒的な描写力で、プロからハイアマチュアまで熱く支持されています。
ご覧の「GFX 100RF」は、同シリーズ初のレンズ一体型デジタルカメラとして2025年4月にデビューしたばかりのモデル。早くも大人気となっておりますが、その理由はまず、約1億200万画素(!)という驚異の画素数を誇るところにあるでしょう。
このモデルは切り替えレバーでデフォルトの35mm(35mm判換算28mm)から3段階に画角を変えることができるデジタルテレコン機能を搭載していますが、さすが1億超えの画素数だけあり、画角が狭くなっても全然画質が落ちないんですよ。
また今作は、9種類のアスペクト比(縦横比)から好みの比率をダイヤル操作で選べる機能も装備。こういう多彩な比率がきれいに撮れるのも、凄まじい画素数が背景にあるからでしょう。このほか、富士フイルムならではのフィルムシミュレーション機能により、写真の色味やコントラストをぐっとエモく変えられるのも大きなアドバンテージです。
正直いろいろできすぎて、初心者は戸惑いそうな気もしないではないですが、多彩な組み合わせをアレコレ試すうちに、確実に写真のスキルや知識が向上し、センスも磨かれるでしょう。往年のフィルムカメラのように、あえて物理的なレバーやダイヤルを多用しているのも特徴ですが、こうしたアナログな操作系も、カメラと一体化する撮影の悦びを改めて伝えてくれるはずです。
中判カメラならではの存在感や、軍艦部などをアルミ削り出しとしたソリッドなルックスも、所有欲を満たしますし、ディープなカメラ好きはもちろん、これから本格的にカメラ沼にハマりたい人にとっても、間違いなく最高の選択となる国産コンデジの新傑作です。
覗きたい
1億2000万画素。ラージフォーマットセンサー搭載。レンズF4/35mm(35mm判換算28mm相当)。W133.5 × H90.4 × D76.5mm。重さ約735g(メディア・バッテリー含)
FUJIFILM[富士フイルム]
GFX 100RF
ラージフォーマットセンサーを搭載した「GFXシリーズ」に初めて登場したコンデジ。約1億200万画素の高速センサー「GFX 102MP CMOS Ⅱ」と、最新の高速画像処理エンジン「X—Processor 5」を搭載。レンズや本体の設計も徹底的に見直されており、GFXシリーズでは最軽量の約735gを実現している。なお同社のデジカメとして初めて軍艦部をアルミからの切削加工のみで製造。レンズリングやダイヤル類などのアルミ部も同様の精密削り出し加工が施され、高級感満点だ。83万500円(富士フイルムデジタルカメラサポートセンター)
さらに進化した中判サイズセンサー
フィルム時代から中判カメラを手がける富士フイルムが実現させた、43.8 × 32.9mm、対角55mmのラージフォーマットイメージセンサーを搭載するGFXシリーズ。今作では約1億200万画素へと進化し、より優れた表現力を生み出す。
センスを引き出す16のフィルムシミュレーション
1934年にフィルムの開発・生産を始めて以来、絶えず色の研究を続け、膨大なノウハウを蓄積する富士フイルム。そのフィルム由来の多彩な色を、デジタルでの撮影に反映できるようにした機能がフィルムシミュレーションだ。写真を撮る楽しみが格段と広がる!
撮りたいアスペクト比で覗く
カメラ背面上部に、富士フイルムのカメラでは初となるアスペクト比の切り替えダイヤルを装備。同社が静止画や動画のフォーマットとして提供してきた9種のアスペクト比の中から好みのものに簡単に切り替えることができる。ファインダーをのぞいて撮影に集中したままでも操作は可能だ。
column
ファーストタッチでファーストショット!
お借りしたライカQ3とGFX 100RFを使って、今特集の担当カメラマンが初見で撮影。どちらもきれいにボケが出ているが、より大きな中判センサーを搭載するGFX 100RFのほうが焦点とボケ部分のコントラストが強い。一方ライカはコンストラストこそ弱いものの、そのグラデ具合に味があるような……。さてアナタはどっちが好み?
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[ビギン2025年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。