「令和も通用する昭和の勝負服」
サーフ系からディスコ系まで。昭和の若者が熱狂した“横ノリ&縦ノリ”アイテム
西海岸のスポーツ文化が到来し、多様なスタイルが生まれた昭和後期。当時のカルチャーに精通するトロピカル松村さんのアーカイブと、いま買えるアイテムを合わせて魅力を紐解きます。

トロピカル松村さん
昭和63年生まれのライター。ページに載っている1970~80年代のサーフ&ファッションの物を揃えた博物館「さんかくなみ」を営む。
昼夜問わず熱狂した縦ノリと横ノリ
アメリカブームを象徴した最も羨まれた遊びとスタイル
1970年代にサーフィンが市民権を得ていった理由を、チェックメイトや、ポパイ、サーフマガジンといった雑誌の登場と挙げる人もいるが、78年に公開されたサーフィン映画の金字塔、『ビッグ ウェンズデー』が決定打だったと語る人も多い。まっさらな若者に映画館や大衆誌でサーフィンの植え付けがあったのは事実で、それがサーフファッションの大流行に繋がったわけです。
トップスはライトニングボルトに、タウン&カントリー、OPに、ハンテン。ジーンズはリーバイスのフレアタイプ「646」を穿いて、足元はアディダス オリジナルスのバックスキンスニーカー「タバコ」で。って改めて振り返ると、今も復刻や再燃で世間を賑わせている最前線のものばっかりじゃん!
ヒット作は他にもまだまだ。マジックテープ式のナイロンウォレット(通称:バリバリ財布)も大定番。ダイバーズウォッチのバンドを“バリバリ”に付け替えるのも流行し、さらに猛者は文字盤をガードするゴムのプロテクター(サーフボードと時計を傷つけないようにするもの)を装着していた。
さすがに現代でそこまですることはないけど、エッセンスとして取り入れるのは全然ありかも。ちなみにルックスはハワイのトップサーファー、ジェリー・ロペスを真似てマッシュルームヘアに口髭でね(笑)。
追い打ちをかけるように、映画「サタデーナイトフィーバー」が同年に上映されディスコの波もやってきた。日中は海に行き、夜はディスコへ。サーフファッションでディスコに集まる日本独自の文化が生まれ、東京では10階建てのディスコビル「スクエアビル」を有した六本木が彼らの聖地に。
ジーンズも良いが、夜の街にはファーラーのホップサックパンツがよく似合う。でもレインスプーナーのアロハシャツで海感も忘れない、ってそんな軟派な連中は“陸サーファー”と揶揄されたりしたというが、何はともあれ、今なおセレクトショップやご意見番が慕うアイテムをこれだけ並べると、今でも全然通用するのがよくわかりますよね。
Surf
①ノスタルジックな陰&陽のロゴが今見ると新鮮~
T&C SURF × INSP
STD LOGO UNISEX S/S TEE
もちろん現役のT&C。実は、東京ブランドINSPのクリエイティブディレクターが元T&Cのスタッフだったらしく、コラボが実現したという胸アツT。5500円(フリーダムプラス)
②フレアジーンズの金字塔 リーバイス®646
リーバイス®
517™ ブーツカット
なぜあんなに流行っていたのかわからないが(イーグルスなどの影響も強いかも)、サーファーはリーバイスの「646」、というのが鉄則だった。脚が長く見えるフレアシルエットが真骨頂で、サックスやバーガンディのカラーコーデュロイも人気を博した。今、同社でこの雰囲気のものを狙うなら「517」が◎。1万5400円(リーバイ・ストラウス ジャパン)
③なかなかお目にかかれない珍品、バンブーベルト!
レインボーオブカリフォルニア
カリフォルニアウォレット
濡れてもシミになりにくく、洗うこともできるナイロン財布も大流行。さまざまなサーフブランドのものがあり、今ならレインボーオブカリフォルニアのものがおすすめ。右の緑は完売。6380円(ビギンマーケット)
トレーニングシューズがカジュアル化した
④アディダス オリジナルスのタバコ
滑らかなバックスキンの足元を好むサーファーにとって「タバコ」は重宝する一足。すっきりシルエットで、フレアジーンズと合わさるとより脚が長く見えたのだ。今なら、あえて当時にない色を選んで楽しみたい。1万5400円(アディダスお客様相談室)
サーファーの必需品「セックスワックス」も昭和生まれ!
サーフボードに塗る滑り止めワックスの米・老舗メーカー、セックスワックス。エコな紙パッケージのものと、古き良きビニールパッケージのものが今も揃う。550円(マニューバーライン)
Disco
①裏地チェックが粋だった永世定番ジャケット
ディスコやサーフィンに明け暮れる若者の中で、特に都会の大学生らがこぞって街で着用していたのがバラクータのG9。ディテールはそのままフィットを現代風に。5万2800円(バラクータ カスタマーサービス)
②レインスプーナーのハワイアンクリスマス2024
当時はレーヨンではなくコットンアロハが全盛。当ブランドのラハイナセーラーや、小花柄が人気だったが、ツウは他で見かけない柄を好んだ。各1万9855円(Jalana本店)
③陸サーファーの制服 ファーラーのフレアパンツ
Lee AMERICAN RIDERS
ブーツカットツイルパンツ
リーバイスやリーのニットパンツも無論穿かれていたが、同じ類ではファーラーが頂点。東京のお洒落高校生なんかが学校にまで穿いて行くほど! リーで当時のフレア感を持つ逸品があるので、アロハと合わせて粋に穿きこなしたい。1万6500円(エドウイン・カスタマーサービス)
再燃を「ナウのれん」でも紹介
④足元は「ワラビー」がお約束
ちなみに女子はこんな感じだったね♡
男女ともこぞって手に入れた新たなダウン リバティベルのスキーダウン
六本木を騒がせた伝説のディスコ、キサナドゥ(中のシャツ)/エンゼルスフライトは女性版ファーラー(パンツ)
おなじみのシエラデザインズやキャンプ7などのアウトドアメーカーダウンブームの次なる刺客として登場したのが、スキーダウン。東のリバティベル、西のモンクレールあたりが特に人気で、日本のメーカーではフェニックスのリバーシブルを着ていた人も。ちなみにリバティベルは近年クラウドファウンディングで復刻しているとか。
80年代半ばからは、エアロビも絡んだギラギラ系にBIOのトップス
ジェーン・フォンダの影響で(ビリー・ブランクスより遥かに前)エアロビクスブームが到来した80年代の日本。ディスコブームが最高潮だった六本木の、かの有名なマハラジャの近所にフィットネスクラブとして開業されたのがBIOなのだ(のちディスコに転身)。多くの業界人も慕った伝説のBIOのアイテムが現在復刻中! 90年代に数多の裏原ブランドTを輩出した仕掛人が復活とは、さすがの目の付け所。8800円(BIO)
※表示価格は税込み
[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。