音楽のカリスマが愛用した昭和を彩るアイテムたち
昭和元年から数えると、2025年は昭和100年の年。流行りのアナログ回帰もあるいま、火力高めなこの時代を鮮やかに彩ったモノ、コト、ヒトをビギンの独断と偏見で一挙選抜。当時の輝きをふり返っちゃいます!
MUSICにまつわる昭和モノ
あの昭和歌謡もぺんてるがなければ生まれていない!?
阿久 悠
国民的フレーズを山ほど生み出した阿久 悠氏は、下書きなしでスラスラとペンを走らせ、原稿用紙にしたためていたんだそう。しかも使っていたのはかのサインペン!
氏がデビューした1960年代当時、作家たちの間では高価な万年筆を使うことがステータスとされていました。が、「地味な生活、派手な作品」をモットーとしていた氏は、1963年にこちらが発売されるとすぐ導入。2007年に亡くなるまで実に40年以上、愛用し続けたんだとか。
Pentel[ぺんてる]
サインペン
1963年に誕生した世界初の中綿式水性ペン。かすれも裏移りもない実用性に巨匠は心底惚れ込み、このペンで、歌謡曲やCMソングなど幅広いジャンルの歌詞を記した。110円(ぺんてる株式会社 お客様相談室)
カリスマのリーゼントは先輩とポマードの賜物
矢沢永吉(※右はジョニー大倉)
75歳を迎えた今でもロック界を牽引するYAZAWA。若い頃は革ジャン × リーゼントの王道ロックスタイルがお決まりでしたが、それを支えていたのが柳屋のポマードでした。
ひと足先にリーゼントデビューしていた盟友・ジョニー大倉氏が、若き日のカリスマにもリーゼントをゴリ押し。薬局で買ってきたこのポマードと櫛で御大の髪をセットしたのが、カリスマのリーゼントスタイルが確立された瞬間でした。
YANAGIYA[柳屋]
ポマード
1615年に創業した超老舗化粧品メーカーの代表作。日本人の硬い髪もビシッとキメるパワフルな整髪力で、100年超にわたってリピーターを獲得している、元祖男性用整髪料的存在だ。120g。935円(柳屋本店)
スター自らベルトを替えるほどベタ惚れ!
エルヴィス・プレスリー
キング・オブ・ロックンロールは、1961年の主演映画『ブルー・ハワイ』の衣装として使用されたベンチュラに一目惚れ! 以降、ベーシックなブラックレザーストラップのモデルに加え、コンビやゴールドなど複数を所有し、ファンからは「エルヴィス・ウォッチ」と呼ばれるようになりました。
特にお気に入りだったのは、自らレザーベルトを蛇腹ブレスレットに付け替えたミッドセンチュリーモダンなデザインのもの。
Hamilton[ハミルトン]
ベンチュラ
1957年に誕生した、世界初の電池式&前衛的三角形デザインの腕時計。こちらは伸縮自在の蛇腹ブレスを採用したもの。32.3 × 50.3mm。SSケース。13万4200円(ハミルトン/スウォッチグループ ジャパン)
その動きやすさもお眼鏡に適ったのかも?
ジョン・レノン
愛こそはすべてと、ラブ&ピースを全世界に向けて訴えたジョン。ビートルズ時代後半から着用し始めたのが、従来のGジャンよりも格段に動きやすいように工夫された1950年代のラングラー。シルエットもショート&タイトで唯一無二のコレを、公私問わず着倒しました。
Wrangler[ラングラー]
111MJ
背中にゴムを内蔵したアクションプリーツを施すなどした、Gジャンらしからぬ抜群の動きやすさを誇る一着。フロント・プリーツにはラングラー独自の「丸カン止め」が。3万9600円(エドウイン・カスタマーサービス)
ワンスターはロックスターも虜に
セックス・ピストルズ
誕生は1950年代。タフな作りでバイク乗りから信頼を獲得したワンスターは、図らずもその無骨な佇まいが、荒々しい音を鳴らすミュージシャンの心にもシンクロ。
まだロックが反逆の象徴だった当時、スターへと成り上がる姿を肩の星印に重ね合わせたのか、セックス・ピストルズをはじめとするロックスターがこぞって着用。音好きにも愛されたからこそ、ワンスターは永世定番たり得たのかも。
Schott[ショット]
ワンスター ライダース トール
半世紀以上にわたり基本デザインを変えない傑作。写真は1960年代当時のディテールを再現し着丈をやや長くした復刻版。丈夫なステアハイドを使用。14万8500円(ショット グランド ストア トーキョー)
※表示価格は税込み
[ビギン2025年2月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。