Apr-16-2024

【創業者に独占取材】Aerが本気で作ったスーツケース「Carry-On」が尋常じゃない!

ミニマルなデザイン&多彩な機能が魅力のバッグを展開するAer(エアー)は、2014年に米・サンフランシスコで誕生した新進気鋭ブランド! ここ日本でも、街中で見かける機会が年々多くなってきています。

と、そんな要注目ブランドが創業10周年となる2024年、ブランド初のスーツケースをリリースすることに。先んじてサンプルを拝見したところ、洗練されたデザインと独自の革新的機能を併せ持つ、これまた超絶スマートなプロダクトで……。

聞けば、商談のため、本スーツケースも直々に手掛けた創業者がはるばる米国から来日するとのこと。「このチャンス、逃すべからず」と判断したBeginは、急遽取材をすることに!

創業者・Choi兄弟に直撃取材!

都内某所のショールームを訪ねたBeginを迎えてくれたのは、創業者にしてCEO兼デザイン統括のアレン・チョイ(Allen Choi)さん(左)と、実弟で共同経営者のアンディ・チョイ(Andy Choi)さん(右)。

ロサンゼルス生まれで、現在38歳のアレンさんはUCバークレー出身の建築学士であり、在学中に名門美術大学、アート・センター・カレッジ・オブ・デザインでプロダクトデザインも習得した秀才。そして3歳年下のアンディさんは、ハーバード大学卒業後にアマゾンなどの名だたる企業に勤務してきたというキャリアの持ち主。

超がつくほどのエリート兄弟を前にビビり倒していたBeginでしたが……、聞けば2人もBegin的な深掘り取材の経験がなく緊張しているとのこと(笑)。和気藹々とした雰囲気で取材が進行しました。

創業者に聞いた! Aerの“これまで”


せっかく創業者にお会いできたので、新作スーツケースの説明を拝聴する前段として、Aerの成り立ちについて話を伺いました。

「大学を卒業後、アップル社の公式パートナーとしても知られるバッグブランドIncase(インケース)に入社しました。デザインにファッション性を巧みに取り込んだ、すごくクールなブランドで、そこに魅かれたからです。同社で約6年間、おもにパッケージのデザインに取り組んだのですが、そうした経験が独立後、バッグ製品のデザインで大いに役立ちましたね」

かねてよりアーティスティック指向であったアレンさんは、次第に「大きい組織だと、自分らしいデザインが世に出せない」との思いを強くします。そんな折、サンフランシスコのベイエリアで、オフィス用とジム用のバッグを2個持ちしているビジネスマンたちをしばしば目にし、それらを1つにして快適に持ち運べるバッグを着想。

意を決し独立し、クラウドファンディングで集めた原資をもとに、2014年にAerを立ち上げたのでした。

最初のモデルは「ダッフルパック」

こうして誕生したのが「ダッフルパック」でした。ラップトップ用スリーブなどのオフィス用と、ボトムのシューズ用コンパートメントなどのジム用の、それぞれの収納物を別々に効率よく収めることができるハイブリッド仕様が特長です。

「2個持ちなどせず、これ1つでジムからオフィスへと、あるいはオフィスからジムへと軽快に移動することができます。リリースすると『こういうバッグが欲しかった』という声が寄せられ、多くの方々に支持していただけました」

ちなみに現在でもオンラインを介し、こうしたユーザーからの声が直接アレンさんたちに届くようになっていて、それらを参考にし、たゆまず製品のバージョンアップを図っているのだとか。それは「ダッフルパック」も例外ではなく、過去2回の改良を経て「ダッフルパック3」(写真上)へと進化を遂げています。

「Move Smarter」をテーマに、数多くのモデルを展開

Aerは、シンプルで調和のとれたデザインと、都会生活に適した機能を有するミニマリストバッグを探求し続けています。

「Aerのブランドコンセプトは『Move Smarter』。当社のデザインには、人々の旅を可能な限りスムーズかつシームレスにするためのディテールや機能が組み込まれています」

この姿勢は「ダッフルパック」から今日まで揺らぐことはなく、リュックやトート、ポーチなど、バラエティ豊かに展開されているアイテムの全てに、このテーマが貫かれています。

創業者に聞いた! Aer渾身のスーツケース「Carry-On」とは?

前置きが長くなりましたが、ここから本題に。ソフトバッグを展開してきたAerですが、もっか最注目の「Carry-On(キャリーオン)」はブランド初のスーツケース。なぜここにきてスーツケースなのでしょうか。

「先にも述べた通りAerは『旅』に情熱をもつブランドなので、かねてよりスーツケースはコレクションに必要であるという思いがあったんです。創業から数年を経てブランドも軌道に乗ってきた中で、ついに製品開発に着手することにしたのです」

念願を果たすにあたって、アレンさんたちは決して手を抜くことはありませんでした。徹底して美しさと品質を追求し、開発にかかった時間はなんと3年。ようやく満足のいくクオリティとなり、今回のリリースと相成ったのです。

唯一無二の前身頃&コーナーデザイン

「Carry-On」の特徴的なポイントとして第一に挙げられるのは、やはりフラットな前身頃と、コーナー部分の4レーンのリブでしょう。

他社製のほとんどのスーツケースでは、前身頃を補強するものとしてリブが取り入れられています。一方、本モデルは、あえて前身頃はフラットに留め、それを囲む四方に、ギリシャの神殿の石柱のごときリブを施しているのです。

「ブランドのテーマを正面から体現するプロダクトを開発するわけですから、既存の他社製品と同じような仕様にするわけにはいきませんでした。結果として、画期的でありながらもAerらしいデザインにすることができたと思います。これによって耐久性が落ちるということもありません」

ちなみに、シェル素材はドイツの化学部材メーカー、コヴェストロ社のハウスブランド、マクロロン(Makrolon®)のポリカーボネート製。同社のポリカーボネートは非常に高い耐久性で定評があり、素材選定にも余念がありません。

美しさと実用性を両立するキャスター部分

「キャスターのトッププレートにもリブデザインを取り入れています。これをシェルのリブとひと続きにしたことで、両パーツの一体感を強調したかったんです。通常、こうしたパーツはメーカーの既製品を使うものですが、Aerは美しさにこだわり、オリジナルを使うことにしました」

こうした独自のパーツを製作するには金型から起こす必要があり、その分のコストを要するのですが、そこは完璧主義のアレンさん。美への探求に妥協はありません。さらにキャスターサイドの「Aer」ロゴも安価ですむプリントではなく、刻印……と、ここにも独自のこだわりが見て取れます。

また、そのキャスターは「日乃本錠前」によるもの。1932年に東京で創業した同社のキャスターは走行性、静音性、安全性、耐久性において世界的に高い評価を得ており、「Carry-On」には、その中でもメタルベアリングが仕込まれたトップグレードが使用されているのです。しかも、スーツケースの不用意な自走を防ぐためのブレーキシステムについても、

「日乃本錠前の高品質なモノを導入しています。じつを言いますと、メタルベアリングとこのシステムの組み合わせは、この『Carry-On』が世界初なんですよ!」

とのこと。こうしたスーツケースで、とりわけ重要なパーツとなるキャスター&ブレーキシステムにおいても信頼性と安全性への配慮を怠ることなく、つねに‟ベスト・オブ・ベスト”の追求を貫徹するAerの姿勢に、Beginは思わず「さすが!」と感心しました。

三角形のキャリーバーは使い勝手にも寄与

キャリーバーも独自設計によるオリジナルです。しかも、ユニークなのは三角形状(三角柱)である点です。アレンさんによれば、「三角形状はデザイン的にユニークなだけでなく、つかんだ際に手に心地良いうえ、円形や角型と比べて、走行時により高い安定感が得られる」のだそうです。

「また、バーとグリップ部両端の境界に段差をつけないことで、バッグを出し入れする際、セットアップスリーブがグリップ部に引っ掛からない工夫もしました」

との説明を受けて、思わずグリップ部両端に触れれば、そこには確かに段差がなく、試しにセットアップさせたソフトバッグを持ち上げてみたら、じつにスルッと滑らか&軽快に抜き取ることができました!

特注スライダー×ダブルコイルジップでピッキング対策も

日本国内での発生数は少ないものの、海外旅行で注意したいのがピッキング。小型の金属棒を使って錠前を壊さずに開錠する犯罪のことで、スーツケースに対しては、その道具をジッパーエレメント(務歯)に差し込むことで開装されてしまうものです。

「Carry-On」ではシェル周りに高品質なYKK製コイルジッパーが使われていて、しかも、ピッキングに対する強度がシングルジッパーの約2倍とされるダブルジッパーにすることで、より安全性を高めています。

そのうえで、ジッパースライダーをオリジナルに……。

「一般的なスライダーは『頭』と呼ばれる先端部がラウンド形状になっていますよね? でも、これだと2つのスライダーが頭合わせの状態になったとき、そこにできる隙間にピックを差し込まれてしまうんですよ。そこで私たちは、その頭のシルエットを直線に近づけることでピッキングされにくいものにしました。あと、このほうが見た目にもキレイですしね」

なるほど、ちょっとした工夫だけど、この細かい配慮には感謝感謝って感じです。

内部の仕様も抜かりなく充実

シェル内は一見して、ごく一般的な構造です。が、じつはライナー(裏地)がスーツケースでは普通、使われることのないコーデュラナイロンなのだとか! と、聞いて手で触れてみれば、一般的なライナーに比して肉厚で、とても頼もしく感じられて、「これなら摩耗や切り裂きを心配せず、安心して使用できそう」という印象。

前胴側に設けられた浅底の小ポケットにも注目。これは「AirTag」などのスマートトラッカー(GPSを利用した追跡感知機能のこと)を忍ばせるのに最適な浅底のポケットです。

「日本は比較的安全なのであまり必要ないのでしょうけれど、海外ではいまやスマートトラッカーは必須の旅行用品です。これを隠しポケットとして目立たぬよう、控えめに設けました」

一方、後胴側に備え付けられたガーメントストラップには、フィドロック(Fidlock®)のマグネットバックルが導入されています。フィドロックは医療やスポーツ、バッグ&ラゲッジ向けにマグネット式ジッパーなどを供給するメーカーで、ことにマグネットバックルはブランドの代名詞的存在とされているのです。これについては、

「ワンタッチで留められるのが便利。ですが、ロックした際に手に伝わってくる感覚が心地良くて、機能というよりは、扱うのが楽しくなるからという理由で取り入れました!」

と解説。耐久性やセキュリティへのきめ細やかな気配りを取り入れながらも、ちょっぴり遊び心ある仕掛けが仕込まれているのも「Carry-On」の魅力です。

こんなにこだわってるのに、グッドプライス!

以上、キャリーオンがいかにスマート&クールで革新的、かつ魅力がてんこ盛りのスーツケースであるかがご理解いただけたかと思います。とはいえ、「こんなにこだわった作りだと、お高いのでは?」ってなりますよね?

キャリーオンには本国アメリカでも展開される容量48ℓタイプに加え、日本の国内線持ち込みに対応する41ℓの日本別注「キャリーオンスモール」の2タイプが存在するのですが、前者は6万4900円、後者は5万9400円が予定価格となっています。

ここだけの話、生産工場からも「これはこだわりすぎでは……」と何度も指摘されたという本プロダクト……。しかしながら、妥協することなくひたむきに「美しさ」「使いやすさ」「堅牢性」を追い求めてきたエアー。その情熱と努力の表れであることを知れば、この6万円前後という価格設定は「なんてお値打ち!」と思いませんか?

「私たちにも、日本の代理店であるMSPCさん側にも、『たくさんの人たちに使ってほしいから、できるだけリーズナブルな価格設定に』という強い思いがあります。なので、企業努力をして、可能な限りプライスを抑えてご提供したいと考えています」と語るアレンさん。その言葉には、日本市場への期待が感じられます。ありがたやありがたや!

INFORMATION


写真は本国でも展開される「Carry-On」。カラーは(左から)フォグホワイト、ダークオリーブ、ブラック、セイフティオレンジ。淡いピンク系のペールモーヴも用意される。日本別注の「Carry-On Small」はブラックのみの展開予定。
「Carry-On」:W38×H57×D23㎝。48ℓ。3.81㎏。各6万4900円。
「Carry-On Small」:W35×H55×D23㎝。41ℓ。3.72㎏。5万9400円。

商品の問い合わせ先/MSPC☎06-6265-2677

※表示価格は税込みです


写真/平井俊作 文/山田純貴

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