超絶ミニマルな“10年デイパ”ができた。ただし……1日6〜8コしか作れませんが（汗）

機能美という言葉はこのデイパのためにある

意外にもゴールドウインはブランドとして初めてバックパックを手掛けました。いわゆるルーキー。ですが本作、社の技術力を結集→最高の完成度が追求されています。

目指したのはテクノロジーと都会的なデザインが融合し、雨をシャットアウトするデイパ。見ての通りハードシェルのような止水ファスナー、裏地には水の浸入を防ぐシームテープの処理がなされています。じつはこれが前代未聞！

はじめはバッグ工場にこうした作りを依頼するも「それはできない」とすべて断られたそう。てのも止水ファスナーやシームテープは直線的な造りが一般的で、デイパックの開口部や底部など、曲線で密封するバッグに施すことは例外。理由はとにかく技術的に難しいから！

ならば自分達でやろうと、自社の富山・テックラボにて挑戦。鞄専門工場がNGな作りを自慢の技術力で成しえ、ほぼ防水といっていい耐水仕様を実現しました。

またデイパなら10年は使えるものをと、強度と軽さ、美しさを備えた素材を開発し、デザインも至極ミニマルなそれに。こうしてできたデイパは、天候もスタイルも問わない機能と洗練さを持ち合わせ、長く飽きずに愛用できる！　これって究極のデイパじゃない？

驚異的な技術を前面に押し出さない
日本の審美性も感じられる逸品

GOLDWIN［ゴールドウイン］
テックパック

1日わずか6～8個しか作れず、初回生産分は全世界200個のみ。デイパのフロントポケは外に膨らんだ形になることが多いが、本作は内側に立体的なポケットを確保し、今までにないミニマル顔に仕上げた技も必見だ。W32×H48×D14cm。7万9200円。

全世界200個限定でシリアルナンバー入り！

15インチまでのPCを収納可能なスリーブ付き

ゴールドウインが誇る“富山の職人魂”が成した
高価な価格も至極納得できる優れた耐水性

①「シェルから生まれたの？」と思っちゃうシームテープ使い

熱圧着のシームテープ処理は、もともとシェルやジャケット向けの技術。密封するバッグ内部に曲線で施すことは困難で、職人が火傷覚悟で処理しているそう。ファスナーに直角にシームテープを貼ったのも、おそらく世界初だとか。
 

おそらく世界初！ 直角貼りのシームテープ

②「きっとゴアテックスでしょ？」とあさはかに思っちゃった自分が恥ずかしい強度＆防水＆軽さを極めた独自素材

防水性は求めるもののバッグだから透湿性はいらない。そこで透湿性の代わりに、バッグとしての強度と軽さを優先した耐水生地を開発。ターポリンなどと違い、ナチュラルで美しいテクスチャーを備えているのもお見事！
 

スマートだけど背負い心地も快適！

薄いハーネスもミニマルに見える要素の一つ。ただ立体的なパターンによって体にフィットし、アパレルで使われるフィルムをボンディング。背面は2枚のファブリックを重ね、快適な硬さとフィット感を確保して背負い心地も抜群だ。

③「これは“こだわりにこだわり抜いた”のだろう」とため息が出るほどの止水ファスナーの曲芸

シームテープと同様に、曲線の止水ファスナーも高度な技術。バッグに使われていることはあるが、ほとんどは直線的なもの。いわゆるカマボコ形の曲線の開口部に、綺麗に施すことは日本人らしい丁寧さが際立つ技術といえる。

④「マジで気が遠くなる……」と思っちゃう超緻密ステッチ

美しい止水ファスナーの仕上がりは超緻密ステッチがあってこそ。曲線の止水ファスナーを閉めた際にシワが寄らぬよう、縫い代をわずか3mmにして縫製。服だと1～1.5cmが一般的で、比較しても非常に緻密なことがわかる！

スキー板に着想を得たデザインの、美しく扱いやすい引手は20以上の試作を経て完成。

 
商品の問い合わせ先／ゴールドウイン丸ノ内
☎ 03-6268-0037
https://www.goldwin.co.jp/goldwin/

 
※表示価格は税込み

写真／若林武志　文／桐田政隆