string(38) "https://www.e-begin.jp/article/364797/"
int(1)
int(1)
  

仕事用の靴といえば、使用頻度が高いうえ悪天候でも履かざるを得ないなど、ある意味消耗品。高額なモデルは手が出ないけど、かといって妥協もしたくない……。そんなジレンマに応えてくれるのが、低価格でも優秀といわれる日本靴。その実力を、革靴賢人のお二人に検証してもらいました!

 

革靴賢人

(左)革靴賢人。ライター/エディター 山田純貴さん (右)ワールドフットウェアギャラリー ディレクター 日髙竜介さん

 

造形美にお墨付きの3品

 

01.
トレーディングポストのSTTP 1006

トレーディングポストのSTTP 1006

スマートな顔つきで品よく履ける定番的一足

国内生産のオリジナル。ビジネスシーンの定番である内羽根式のストレートチップは、細身のフォルムとラウンドトウのバランス感が絶妙。アッパーはしなやかなキップレザーで、マッケイ製法のため軽くて柔らかく足馴染みも良好だ。2万7000円。(トレーディングポスト銀座店)

トレーディングポストのSTTP 1006

グッとくびれたウエストの流麗フォルム

土踏まずを包み込むようにグッと絞り込まれたウエストは、丁寧な仕事の賜物。内振りぎみの木型で足にフィットしやすいのはもちろん、スマートなルックスにも寄与しドレッシーな足元を演出する。

 

02.
マドラスのM360

マドラスのM360

日本らしい丁寧な作りとイタリア的な色気を兼備

コバを抑えたスマートなルックスやレザーソール仕様により、ドレッシーに履けるタッセルローファー。イタリア的な色気を備えつつも、タッセルのフリンジが広がらないよう切り込みに工夫をするなど日本ブランドらしい丁寧な仕事も光る。2万5000円。(マドラスお客様相談室)

マドラスのM360

繊細な技術でラウンドチップをUチップに

2枚の革をU字に切り替える通常のモカ縫いとは異なり、プレーントウのアッパーに芯材を入れ細やかなピッチで縫い上げることでUチップのようなルックスに。作りの丁寧さが映えるディテールだ。

 

03.
ストラチッタのダブルモンクストラップシューズ

ストラチッタのダブルモンクストラップシューズ

高級靴の仕様を採用した風格のある佇まいが魅力

グッドイヤーウェルト製法によるダブルモンク。アッパーには上質なカーフを採用しつつ、トラ目の入った部分を使うことで低価格を実現。ピッチドヒールやロールウエストなど、高級靴の仕様で上品に仕上げている。2万6500円。(ワールド フットウェア ギャラリー 神宮前本店)

ストラチッタのダブルモンクストラップシューズ

ソールのステッチを隠す“伏せ縫い”

グッドイヤーウェルト製法では本来靴底部分に現れてしまう縫い目を、レザーソールで目隠しすることでドレッシーなルックスに。手間と技術が求められるため、主に高級靴に採用される仕様だ。

 

海外ブランドにも劣らない美しいデザイン

山田さん(以下、敬称略)  トレーディングポストのストレートチップは、細身でいてラウンドトウなのが今っぽいね。

日髙さん(以下、敬称略) これはマッケイ製法ですね。中敷を全面に敷いて縫い目を隠しているから足当たりもいい。

山田 これウエストをすごく絞ってますね。この価格では珍しい。

日髙 ウエストを細くしたり外側にカーブをつけたりするのは、それなりの手間がかかりますからね。

山田 手間といえば、マドラスもなかなか。元はプレーントウですが、芯材を仕込んで縫い上げることでUチップのように見せている。

日髙 ステッチも細かくて、とてもドレッシーな印象。色気もある。

山田 肌目もきれいだし高級靴のようですね。タッセルもかなりきっちり丁寧に作られていますよ。

日髙 フリンジの中央がつながっているから、バサッと広がらない。日本ブランドらしい細やかさが見栄えのよさにつながっています。

山田 仕上げの美しさという点では、日髙さんのところのストラチッタも。グッドイヤーウェルト製法でソールは伏せ縫いだし、ヒールをテーパードさせたピッチドヒールとか、高級靴並みの仕上げ。革の質感もいい。

日髙 ありがとうございます。これ上質なカーフ素材なんですが、トラ目といって血管の跡が残った革を使っているんです。

山田 でも、それは革をナチュラルに仕上げている証拠ですね。目を凝らしてもわからないですよ。

日髙 実際に革の機能としてはまったく問題ありません。

山田 これは本当にお値段以上。各社の企業努力がこれほどまでとは、いやはやお見それしました!

 

おせっかいな解説

☐ マッケイ製法

アッパーと中底、ソールをダイレクトに通し縫いする製法。軽量かつソールの返りに優れ、足馴染みもいい。コバを狭く抑えられるので、ドレッシーなフォルムが可能となる。

☐ グッドイヤーウェルト製法

中底につけられたリブとアッパーをすくい縫いした後、隙間にコルクなどの中物を詰めてからそのコバと本底を出し縫いで合わせる製法。ソールを複数回交換することができる。

☐ 伏せ縫い

レザーソールの周囲に薄く切れ込みを入れて蓋のようにし、ソールを縫い付けた後にその縫い目を隠すよう蓋を伏せて接着する加工のこと。ヒドゥンチャネル仕上げとも呼ぶ。

 

日髙竜介さん

ワールドフットウェアギャラリー ディレクター
日髙竜介さん

高校時代、制服に合わせ紐靴を買ったときから靴に興味を持ち、大学時代の就職活動はオールデン、入社式はチャーチで臨んだという生粋の靴好き。他業種に就職するも、好きが高じて26歳から靴業界へ。

 

山田純貴さん

ライター/エディター
山田純貴さん

本誌の靴企画には欠かせない敏腕ライター。靴への目覚めは中学時代に買ったアシックスのバッシュ。約25年前(!)からビギンに関わり、本格的に革製品関連の取材をスタート。その知識は今や博士級!

 

※表示価格は税抜き


[ビギン2018年4月号の記事を再構成]
写真/上野 敦(プルミエジュアン) 野町修平 上仲正寿 斉藤遼子 文/秦 大輔 山田純貴 桐田政隆 トロピカル松村 伊藤美玲 礒村真介 今野 壘 スタイリング/武内雅英(CODE) 取材協力/中田商店

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ