仕事用の靴といえば、使用頻度が高いうえ悪天候でも履かざるを得ないなど、ある意味消耗品。高額なモデルは手が出ないけど、かといって妥協もしたくない……。そんなジレンマに応えてくれるのが、低価格でも優秀といわれる日本靴。その実力を、革靴賢人のお二人に検証してもらいました!

 

革靴賢人

(左)革靴賢人。ライター/エディター 山田純貴さん (右)ワールドフットウェアギャラリー ディレクター 日髙竜介さん

 

快適さにお墨付きの3品

 

01.
ザ・スーツカンパニーのターボフレックス キップレザーセミブローグシューズ

ザ・スーツカンパニーのターボフレックス キップレザーセミブローグシューズ

スニーカー並みの履きやすさで革靴初心者にも◎

キップレザーのアッパーに施されたアンティーク仕上げの陰影が、重厚な雰囲気を醸す。靴底にはターボフレックスを、中敷の踵部分には衝撃を吸収する低反発フォームを使用し、この見た目でいてスニーカー並みの履きやすさを実現。1万3000円。(ザ・スーツカンパニー新宿本店)

ザ・スーツカンパニーのターボフレックス キップレザーセミブローグシューズ

「ターボフレックス」搭載の高反発ソール

靴底にはクッション性と高反発性を兼ね備え、着地の衝撃を吸収する高機能シート、ターボフレックスを搭載。主にスポーツ靴に使用される素材で、ビジネスシューズに搭載したのはココが初だとか!

 

02.
リーガルの33PR

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ゴアテックス採用で靴中をドライに保つ!

足元がシャープに見えるロングノーズのスクエアトウ。ゴアテックス・サラウンド機能を搭載することで、アッパーだけでなくソールからも汗による水蒸気を逃がしてくれる。水にも強く、梅雨時でもムレ知らずで履き心地は快適だ。2万5000円。(リーガルコーポレーション)

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防水・透湿素材&通気ソールでムレ知らず

防水・透湿性の高さで知られるゴアテックスのファブリックを採用。ソールに開いた穴がゴアテックス・サラウンド機能の特徴で、ここから水蒸気を逃がす構造だ。もちろん穴から雨が入る心配もナシ。

 

03.
ファイバーグリップの2927BL

ファイバーグリップの2927BL

撥水革と防滑ソールで雨や雪の日にも活躍!

スタイリッシュな印象のストレートモンク。アッパーにはなめしの工程で撥水処理を施した上質な国産カーフを使用し、革の質感を損なわず高い撥水性を実現している。日本人の足に合わせた3Eウィズのゆったりした履き心地も魅力だ。3万円(スコッチグレイン銀座本店)

ファイバーグリップの2927BL

ビジネスマン感涙の滑りにくいソール

オリジナルのファイバーグリップソールには、硬質ゴムの表面にガラス繊維を剣山のように突き立たせた防滑ゴム「ハイドロストッパーGF」を使用。凍結路面や濡れた路面、大理石の上でも滑りにくい。

 

低価格でも機能や仕上げに妥協がないのが日本靴

山田さん(以下、敬称略) へぇ~、ここにある靴全部がU-3万円!?

日髙さん(以下、敬称略) スーツカンパニーなんて、驚きの1万円台ですよ。でも本革ですし、深みのあるアンティーク仕上げもいい。

山田 それにソールには、スポーツ靴に使われるターボフレックスを採用している。セメント製法だと思うけど、返りもすごくいいし、スニーカー慣れしている人でも履きやすいんじゃないかな。

日髙 革も柔らかい。

山田 今は楽チンにストレスなく履ける革靴が増えていますよね。

日髙 日本のブランドは、快適さをとことん追求したものが多い印象ですね。リーガルのゴアテックスを採用した製品もそのひとつ。

山田 U-3万円でゴアテックス・サラウンドを採用しているんですね。生産国表示はベトナムだ。日本製なら余裕で3万円超えです。ゴアは品質管理も厳しいですし。

日髙 靴底までメッシュ状なんだ。実際ムレないですか?

山田 ムレませんよ。靴の中が本当にドライで、汗冷えもしない。だから冬場は暖かく感じます。そのぶん真夏は少し暑いけど(笑)。

日髙 とはいえムレないし、梅雨時でも快適に履けるのは日本の気候に合ってますね。実用性という点では、ファイバーグリップも。これもソールに特徴があります。

山田 凍結路面でも滑りにくいファイバーグリップソールですね。アッパーは国産の撥水レザーです。

日髙 雨でも雪でもOKというのは、天候に関係なくスーツを着る人にはとても嬉しいですね。撥水レザーにしては表情もいい。

山田 なめしの段階で撥水加工を施しているからでしょうね。

日髙 木型はとてもトラッドな雰囲気で、足囲は3E。日本人は甲高幅広の人が多いし、助かる人は多いんじゃないですかね。

山田 実用性に特化しているぶん、若干色気には欠けるけど……。

日髙 でも今は日本のブランドも海外ブランドに負けないルックスになってきていますよ。

 

おせっかいな解説

☐ セメント製法

アッパーと表底に接着剤を塗り、加圧密着させる製法。縫い付けないので作りに制約が少なく、軽く屈曲性に富む。安価な靴作りに適しているが、ソールの交換は困難になる。

☐ 生産国表示

現在の規定だと、アッパーとソールを接合する「底付け」を行った国が生産国として表記される。それゆえ日本製と表記されていても、他の工程は他国で行っている場合もある。

☐ ゴアは品質管理も厳しい

ゴアテックスは、契約を結んだメーカーに対して厳しい品質管理を求めることで知られる。リーガルも自社に専用の設備を構えて製品のテストを行っており、性能はお墨付きだ。

☐ 3E(スリーイー)

JIS規格の足囲サイズのことで、親指の付け根から小指の付け根までの長さ。サイズはA~Gまでで、日本人の平均は2E。3Eはより甲高幅広の人向け。

 

日髙竜介さん

ワールドフットウェアギャラリー ディレクター
日髙竜介さん

高校時代、制服に合わせ紐靴を買ったときから靴に興味を持ち、大学時代の就職活動はオールデン、入社式はチャーチで臨んだという生粋の靴好き。他業種に就職するも、好きが高じて26歳から靴業界へ。

 

山田純貴さん

ライター/エディター
山田純貴さん

本誌の靴企画には欠かせない敏腕ライター。靴への目覚めは中学時代に買ったアシックスのバッシュ。約25年前(!)からビギンに関わり、本格的に革製品関連の取材をスタート。その知識は今や博士級!

 

※表示価格は税抜き


[ビギン2018年4月号の記事を再構成]
写真/上野 敦(プルミエジュアン) 野町修平 上仲正寿 斉藤遼子 文/秦 大輔 山田純貴 桐田政隆 トロピカル松村 伊藤美玲 礒村真介 今野 壘 スタイリング/武内雅英(CODE) 取材協力/中田商店

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