WHCの意思を継ぐべく一人の青年実業家が創業した新ブランド
BEORMA[ベオーマ]
昨年いっぱいで全ての生産を終了し、約150年にわたる長い歴史に幕を引いた英国のホワイトハウスコックス(WHC)。深い喪失感に囚われ、一体これからどこの革小物を買えばいいのかと途方に暮れてる読者も多いんじゃないでしょうか。
そんな方々にとって、じつに嬉しいニュースが舞い込んでまいりました、まぁ、まずは上の写真のベルトをご覧あれ。こちらはユナイテッドアローズと福岡の直営店・フレームで先行発売されるもの。
編み方やディテールは微妙に異なるものの、いかにも長年の使用に耐えそうな上質レザー、丹念な手仕事が如実に伝わるギュッと締まった編み目、鏡面仕上げの真鍮製バックル……。これってWHCのタッチそのものだと思いません?
それもそのはず、このベルトを手がけた「ベオーマ」は、WHCの意思を継ぐべく一人の青年実業家が創業した新ブランド。
WHCと同じ英国の革聖地であるバーミンガム近郊のウォルソールに工場を建て、WHCにおいて長年生産の要を担った25名以上の熟練職人を招聘して技術を継承。そして使用するのは伝統のブライドルをはじめ、厳選された植物タンニンなめし革のみと、凄まじい情熱で名門の生産背景を再現してしまったんですよ!
本拠もWHCと同じ革聖地のウォルソール
でまた、真っ先にリリースしたのがメッシュベルトというのが泣かせるじゃないですか。というのも、かつてのWHCも日本上陸後の初のヒット作が、何を隠そうメッシュベルトでしたから。
見る限りベオーマ版もシーンやスタイルを問わない万能ぶりを受け継いでいるのは明白で、ここから快進撃が始まる予感ヒシヒシ。なおWHCは多くの製品に“HANDMADE IN ENGLAND”の文字を誇らしげに刻印していましたが、ベオーマもそれをキッチリ踏襲。
モノ好きだったらここもグッとくるポイントに違いなく、長年WHCの魅力を伝道し続けてきたビギン編集部一同も思わず目頭が熱くなってしまいました。あー、本当によかったなぁ……(感涙)。
文/吉田 巌(世界で一番WHCの原稿を書いてきた男)
ベオーマ創業者
アレックス・シンプソンさん
英国軍を経て革業界に転身。以前よりWHCの製品作りにシンパシーを感じており、その技術とDNAを受け継ぐためベオーマを創業。
BEORMA[ベオーマ]
メッシュベルト
肉厚カウハイドを職人が丁寧に編み込んだメッシュベルト。馬具の鎧のようなバックルと籠目模様の編み込みを組み合わせた28mm幅(写真中央)、スクエアバックルとヘリンボーン編みを組み合わせた34mm幅(写真左2本)、そして剣先まで細かく編み込まれた25mm幅(写真右2本)の3種あり。全て黒とダークブラウンの2色展開。各3万円(グリフィンインターナショナル)
ドレスシーンに合うソリッドベルトも!
BEORMA[ベオーマ]
ブライドルレザーベルト
ブライドルレザー製ベルトも各種展開。28mm幅のスタンダードタイプ(写真右)は各2万4000円。写真左の一枚革仕立てのタイプは28mm幅が各1万8000円、22mm幅が1万6000円(グリフィンインターナショナル)
※表示価格は税込み
[ビギン2023年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。