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BRAUN AUDIO PRODUCTS

「less but better」という考え方がすごく好き

僕が初めて手にしたディーター・ラムスという人のデザインは、昔、偶然選んだ電卓でした。それがきっかけで彼自身のことを知るようになったんです。

今回紹介しているブラウンのオーディオは、ほぼすべてがディーターによるデザイン。それを置いているモジュール式の棚も彼が手掛けたヴィツゥのもの。これ、正直音がすごくいいわけではないんです(笑)。

ただ、奇をてらったデザインではないけど、ON⇔OFFのスイッチとか機能的に重要な箇所は色を変えるなど、美意識が詰まってる。

当時としてもこのデザインは革新的だったみたいで、さほど売れず’80年代終盤にブラウンはオーディオから撤退してしまうんですが、それでもブラウンはずっとディーターに依頼し続けているんです。会社側も彼の哲学に共感していたんでしょうね、目先の利益に走らずに。そういうところが、ヴィンテージのブラウン製品の価値が今も上がり続けている理由なんだと思います。

ディーターの哲学を表す言葉で、「less but better」=「より少なく、よりよく」というものがあるんですが、僕はこの考え方がすごく好きで、グラフペーパーでもそれをテーマにコレクションを作りたいとずっと思っていました。

そのときはこのオーディオセットと一緒に見せようと。そしたら全部集めるのに2年もかかっちゃった(笑)。でも、こうして改めて見ても、残り続けてるデザインってやっぱりシンプルなものが多い気がするなぁ。(南 貴之)

「時経ちて ミニマルデザイン 残りけり」

BRAUN AUDIO PRODUCTS

BRAND:BRAUN
ITEM:AUDIO PRODUCTS
AGE:1950~’70s

ラジオ機能のついたレコードプレイヤー、“SK5”(下段中)を筆頭に、ステレオテープレコーダー、スピーカーなどいずれも引き算の美学が息づく。“SK5”32万円ほか、すべて要問い合わせ(グラフペーパー青山)

DETAIL

BRAUN AUDIO PRODUCTS

スイッチやボタンにオレンジやグリーンを用いるのはディーター・ラムスの仕事で散見されるアプローチ。上品な白基調の中に映える、トーンアームのフォルムが洒脱だ。

南 貴之

南 貴之

1976年生まれ。国内外のブランドのPR業をはじめ、型にはまらず活動。公私混同しながら世界中のマーケットを巡り、日々新たな良品を探している。

 


[ビギン2020年11月号の記事を再構成]写真/若林武志 文/今野 壘

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