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蕎麦スス流 SOBA Su Su Ryu

Vol.90

二俣川相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店

春菊天そば 540円

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店の春菊天そば

昨今は少子高齢化と人口減少の趨勢にある我が国だが、首都圏に限ってみれば人口減で混雑の具合が緩和されたという実感はない。相変わらず朝晩の通勤電車は混んでいるし、幹線道路の渋滞は激しい。昭和の昔であれば鉄道や道路の建設で混雑緩和と経済成長を狙おうとのしたものだが、令和の時代となってはそういった動きは消極的だ。

とはいえ、やはり交通は人々の生活の基盤だし、鉄道や道路の発達なくしては文化の発展もないだろう。もちろん立ち食いそばだってそうだ。

そんななかで嬉しいニュースは相鉄線の延伸。久々の大型鉄道案件といえる。相鉄本線を分岐させ、新横浜経由で東急線への直結路線を新規に建設するもので、神奈川県央から都心へのアクセスの利便を飛躍的に高めることを狙ったものだ。

従来であれば横浜駅経由でJR京浜東北線で品川方面へ向かうところだが、この新線によって渋谷・新宿・池袋、あるいは目黒・四谷・大手町といった繁華街やビジネス街へ、さらには埼玉まで一直線につながることとなった。

そして、立ち食いそばの観点からして重要なことは、逆方向、つまり都心方面から神奈川中央部のお店に行きやすくなったことだ。あそこ“らへん(注:神奈川の言葉)”は、これまでどちらかといえば足の向かなかったエリアではなかろうか。探訪のリストからはずれた未踏の路麺ゾーンであった立ち食いそばファンもいるだろう。

相鉄線二俣川駅

今回やってきたのは二俣川駅。相鉄本線と支線(いずみ野線)の分岐点であり、神奈川県民には運転免許センターが近くにあることでも有名だ。相鉄線のなかでも重要な位置を担う駅であり、また1990年にできた北口の複合ビル「相鉄ライフ」は多くのお店で賑わう地域の拠点となっている(2023年6月現在は改修工事中)。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店ば

この相鉄ライフ2階の外側、広いデッキ通路に面したお店が相州蕎麦。ビルは改修中だがお店は営業している。相州そばは相鉄線の駅と周辺に展開する小規模なチェーン店で、本店は横浜関内にある。チェーン名称はひらがなの「そば」なのだが、二俣川店は漢字の「蕎麦」であり、かつ「蕎麦と汁 BAR」とサブタイトルがつくことから、支店のなかでもやや格上な存在であることがうかがえる。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店の春菊天そば

■そば:生めん茹でたて、注文の都度茹でる。薄茶色ぽい。四角断面でつるつるとした茹で加減。
 
■つゆ:昆布と鰹節のマイルドなだし、甘さ控えめの上品めなカエシ。香りよく、ごくごく飲めるうまさ。
 
■天ぷら:店内で揚げる。薄めの衣にかっちりみっちりしたパンケーキ型。香りよくサクサクとした揚げ具合。美しく鮮やかな緑色。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店の春菊天そば

店内は立ち席はなく、丸椅子とカウンターあるいはテーブル。デッキに面した明るいカウンターで気持ちよくいただくことができる。店員さんの接客は明るく丁寧で申し分ない。

値段は540円と以前より少し値上げされていたものの、その理由はひとくち食べればすぐにわかった。筆者の記憶していた味よりも格段にうまくなっていた。5年ほど前に食べた時の印象は、ごく普通の駅そばプラスアルファ的なものだったので、その変化に本当に驚いた。単なる値上げではない実質をともなったありがたさ。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店の春菊天そば

うまさの秘訣はやはりつゆの品質向上にある。だしは香りよく、カエシはきりっと醤油の香ばしさのあるもの。サブタイトルに「蕎麦と汁 BAR」と名乗るだけのことはある。これを食べるためだけの目的で相鉄線に乗ってはるばる行く価値は大いにあるといえる。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店のメニュー

カレーライス、天丼、カツ丼といったご飯物が充実しているのも嬉しい。また、さらに嬉しいことには全国各地のカップ酒(日本酒)を置いていることだ。うまい蕎麦をすすりながらの日本酒は実にいいものだ。あいにくこの日は筆者は飲まなかったのだが、次回訪問のためにぜひ押さえておきたいポイントだ。

相州蕎麦 相鉄ライフ二俣川店の日本酒メニュー

■DATA
住所:横浜市旭区二俣川1-3-2 相鉄ライフ二俣川 2F
アクセス:相鉄線二俣川駅 徒歩1分
営業時間:7:00〜22:00
定休日:不定休
評価:3点 ☆☆☆

※本記事は取材当時の情報です(取材日:2023/1/13)

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写真・文/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食いそば店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食いそばチェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。

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