いつもの照明の代わりに「AKARI」を灯せばそれでいい
インテリアを一気に模様替え! なんて、大金をかけて頑張る必要はありません。部屋をお洒落にしたいなら、独特の個性を持つ「和名作」を、いつもの部屋に「+ プラス」するだけ。そう、「和を“和”」すればいいのです! 日本人なら知っておきたいインテリ知識とともに“どう使う?”を解説しながら「和名作」をご紹介します♪
イサムノグチの「AKARI」
照明界の永世定番にはやっぱり敵いません!
インテリアをちょっとでもかじった人なら、インテリ和と聞いてまずこれを思い浮かべたのでは? AKARI。ローテーブルの名品、“ノグチテーブル”のデザインでも知られる彫刻家、イサムノグチを代表する傑作照明でありんす。
岐阜提灯との出会いがコレを生んだというなれそめについてはこの記事の下をご覧いただくとして、世界中にファンがいるド定番をなぜあらためて推すのか? 答えは「定番すぎて逆にスルーしてない?」という注意喚起と「やっぱイイ!」という純粋な理由に他なりません。
だって、写真を見てくださいよ――こうも自然に空間へ寄り添いながら存在感も満点の照明なんて、AKARIをおいてありますか? って話。タイトルどおり、いつもの照明の代わりにAKARIを灯せば、それだけで部屋は断然、垢抜ける。オリエンタルなモノへの単なる憧憬を超えて、世界中で愛されている所以もわかりますよね。
価格がこなれているのも特筆点ですが、和紙と竹ひごという身近な素材を使用しているからこその値段であって、決してチープな感じがしないのは大きな魅力。そして何より、和紙を通した光はどこまでも優しく、空間を心地よい明かりで満たしてくれる。これまたボクらに眠るニッポンの美意識に、実によくマッチするんですヨ♡
イサムノグチは岐阜提灯に出会いAKARIを思いついた
長良川の鵜飼いを見物するために岐阜へ寄ったイサムノグチは、そこで街の市長から提灯産業の活性化について助言を求められる。岐阜提灯に興味を持った彼は、現オゼキ(※)の提灯工場を見学。翌日の晩には、2つの提灯をデザインした。「AKARI」が生を受けた瞬間である。
※オゼキはAKARIの生産を手掛ける、岐阜提灯の老舗メーカー
イサムノグチのAKARI
イサムノグチ曰く、それは用を備えた「光の彫刻」である
彫刻家の製品ってことで楕円形のこんな形を選ぶのもツウ
和紙を通した光の優しさも、唯一無二の魅力。丸型シェード〈φ45cm〉8000円、ペンダント器具〈コード長100cm〉6800円、楕円型シェード〈φ45cm〉7000円、ペンダント器具〈コード長30cm〉6000円。(問)ディアンドデパートメント ☎︎03-5752-0120
【1】インスパイアされた岐阜提灯同様、美濃和紙と竹ひごからなるシンプルな作り。出荷時は平らに梱包されていて、引っ越しの際などにも同じように薄く畳める。
【2】日と月=明かりを表現した赤いマークと、イサムノグチのサインをプリント。
【3】細い鉄製の足が付いたスタンド型も人気。φ26×H42cm。1万7000円。(問)ヤマギワオンラインストア ☎︎03-5418-9022
イサムノグチ
詩人の野口米次郎を父に持つ、アメリカの彫刻家。広島の平和大橋と西平和大橋の欄干、北海道のモエレ沼公園などの公共デザインや、インテリアデザインも多彩に手掛けた。1904年LA生まれ。’88年没。
※表示価格は税抜き
[ビギン2018年3月号の記事を再構成]
写真/上野 敦(プルミエジュアン) 文/秦 大輔 安藤菜穂子 スタイリング/近藤有倫 イラスト/TOMOYA 取材協力/ジョー スズキ