“再現”別注はここまで本気だ。別注で蘇った「幻のGジャン」とは?
レプリカでモノをいうのは、再現の忠実度。顧客の目利きも凄まじく、パーツに到るまで微に入り細を穿つ再現が求められます。ウエアハウスに名店ジャンキースタイルが別注した幻のGジャンを見本に、そのこだわりを覗いてみましょう。
忠実再現。それは歴史を後世へと伝える仕事である
「213」とは何か。説明できる人は、服好きの中でも少ないはず。というのも「213」は、いわゆるファーストタイプのGジャンの廉価版として元祖ジーンズブランドが販売していた、幻のロット。
1900年代からあったといわれますが、レアすぎて価格もウン百万はくだらないので(廉価版なのに!)、有識者は極少。時代の流れとともに風化していくことは、ある種避けられないことなのかもしれません。
しかし。歴史に空白を作ってなるものか。魅力を現代へ伝えてみせようじゃないか。そんな思いから、レプリカという形で再現することに使命を感じる人たちがいます。ご存じウエアハウスと、アメカジ名店、ジャンキースタイルの両者です。
写真は、1930年代製のヴィンテージを基に後者の別注で作られたもの。シルエットに始まり、鉄製のボタンといったパーツから、バックシンチの針受けの窪みの形状まで再現するというから、脱帽するよりほかありません。
しかし「見える部分を再現するのは当たり前で、難しいのは風合いなど見えない部分」というのはジャンキースタイル代表の藤村さん。これを糸から作って再現する技術と見識があるからこそ、ウエアハウスを頼るのだ──とも。かくして蘇った幻のGジャン。そこに歴史的な価値があるといっても、過言ではありません。
ヴィンテージ価格ウン百万! 幻の傑作を徹底再現
①リネン地のタグ
「213」の布製パッチをウエアハウスネームで表現。“No.2”や、Tバック仕様のみに追記される“E”など、細かい箇所も意識している。
②No.2デニム
高価なXXデニムに代わり採用されていた“No.2”デニムは、色がやや淡く、ライトオンスだった。というわけで糸から徹底再現。
③左右非対称ポケット
ファーストタイプの特徴である左胸のポケットは、サンプルに倣いいびつな形に。アメリカ製品特有の鷹揚さまで表現しているのだ。
④黒ラッカーボタン
コスト削減を狙って用いられていたと見られる鉄製ドーナツボタンには、錆止めのラッカー塗装が施されていた。ここもしっかり再現。
⑤Tバック
44以上の大きめサイズは背中にT字形の継ぎが入る。当時はデニムの幅が足りなかったという理由ゆえだが、今となるとソソる意匠!
⑥バックシンチ
バックル部分にはオリジナル同様“SOLIDE”の刻印入り。サンプル同様に滑り止めを施さず、針受けの三角形の窪みまで再現している。
WAREHOUS×JUNKY STYLE[ウエアハウス×ジャンキースタイル]
2013JS
「213」のディテールを、シルエットからボタンの素材、バックルの刻印に到るまで再現。同じ風合いを目指して糸から作り上げた、約12オンスの“No.2デニム”も必見だ。限定100着生産で、既に在庫僅少。グッときた人はお急ぎあれ。3万7400円(ジャンキースタイル)
※表示価格は税込み
[ビギン2023年5月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。