勇心酒造の研究者の皆さんの手はことごとく綺麗だった。
日本で唯一の皮膚水分保持能(水分を保持する能力のこと)の改善が認められたライスパワーNo.11。この成分を配合した医薬部外品のボディクリーム「アトピスマイルクリーム」はアトピー性皮膚炎や、冬場の乾燥肌、子供の肌荒れにも良いと口コミが広がり、現在は累計販売数100万本を突破する人気商品となっています。皮膚機能の健全化はもちろん、日本のお米と醸造発酵で作られた天然エキスだから安全性が高く、副作用の心配がないことも支持されるポイントなんだそう。
そんなライスパワーNo.11を初めてメンズスキンケアに使った「DISM PLUS」の開発者が後編のビギニンです。
今回のビギニン
佐藤光徳さん
1980年生まれ。勇心酒造株式会社商品開発グループ、グループ長。入社15年目。「DISM PLUS」を始め、女性用スキンケアシリーズの「ナチュラブルプラス」、ライスパワーNo.11を限界濃度配合した「ライースリペアプレミアムクリーム」を手掛ける。趣味は堤防からの海釣り。休日には家族でファミリーフィッシングに出かけるそう。
Struggle:
開発者泣かせの天然素材ライスパワーエキス
アンファーは予防医学の啓発&普及を掲げ、大学病院や各分野の専門医と共同研究を行いエイジングケア商品の開発に取り組む会社。育毛シャンプー「スカルプD」シリーズをはじめ、最新の臨床情報から得られた知見を製品に活用しています。そんなアンファーが勇心酒造とタッグを組みました。
「アンファーさんからメンズ向けのエイジングケアコスメを作りたいとお話を頂いて、男性も乾燥肌に悩んでいる方が多いというリサーチから、ライスパワーNo.11を配合することになりました」
「すごく良いものができたと思っても、時間経過に耐えられず品質や使用感が悪くなったりしてアララ…というのが開発者あるあるです」と佐藤さん。
「女性に比べ男性はスキンケアに慣れていない方も多いと考え、手軽に使っていただけるよう必要な機能を一つに凝縮したオールインワン設計のクリームから開発をはじめました」
DISM PLUSの「薬用クリーム」は化粧水・乳液・美容液・クリーム・マスクと5つの機能を備えています。ライスパワーNo.11に、ビタミンC誘導体が加わりメラニンの生成を抑えシミを防ぐ効果もプラスされています。
「ライスパワーNo.11と美白の有効成分であるビタミンC誘導体をダブルで配合したのは初の試みで、開発には1年以上かかりました。ライスパワーNo.11は素晴らしい効果を持っているのですが、天然成分で取り扱いの難しさは化粧品素材の中でもトップクラスなんです。そこにビタミンC誘導体を混ぜてどうバランスを取るかで試行錯誤しました」
自分の体で効果や使い心地をチェックします。
スキンケアクリームの開発において、安定性と使用感はトレードオフの関係にあります。安定性を向上させると長期間にわたって使用可能な状態を保ちますが、肌に塗った際、崩れにくく(塗布しにくく)なったりと使用感が下がります。逆に使用感を良くすると今度は保存が効かなくなります。このジレンマを乗り越え、安定性と使用感を両立させるのが開発者の腕の見せどころだといいます。
「ライスパワーNo.11は、長期的に使っていただくほど、より肌の保湿や乾燥肌を改善する効果が期待できます。長期的に使っていただくためには、塗った直後の「心地よい使用感」や「効果実感」が実はとても大切なんです。たとえば、肌に吸い付く成分を添加してあげることで、すぐ効いているなと思ってもらう。そういった演出を加えたほうが、続けて使用していただけるんです。「もっと使いたい!」「効きそう!」とお客様に感じてもらえるよう、ライスパワーNo.11とその他成分の組み合わせにはかなり気を使っています」
DISM PLUSは佐藤さんが技術者として培った知識と経験を男性向けにフル活用して作られた。
「オールインワンの場合、1本でスキンケアが終わるので、さっぱりしすぎだと物足りないんです。かといって油分が強すぎると洗顔後に乗りにくい。なのでその中間、塗った時の適度な保湿感と、乾燥から保護されている感覚が長く続く配合を考えてできたのがDISM PLUS『薬用クリーム』です。また男性の場合、クリームは扱いづらいと思われる方もいらっしゃるので美容液としてDISM PLUS『薬用セラム』も同時開発しました。化粧水は水分を補うイメージですが、セラムは栄養分を肌に届けることを目的にしたもの。こちらもライスパワーNo.11を高濃度で配合しているので、クリームと使い分けていただけると思います」
Reach:
ワンアンドオンリーなオールインワンメンズスキンケアが完成
ディズムプラス薬用クリーム(左)と薬用セラム。リフレッシュ&リラックス感のあるウッディ調の香り。
「DISM」はアンファーが手掛けるスキンケアブランドです。Dはダンディ・ドクター・男性美容をサポートするDクリニックの頭文字、ISMは自分らしさを意味します。専門家の知見を取り入れて自分の美学を追求するというテーマで、オフィシャルサイトでは男性の肌トラブルや洗顔方法など百科事典的に網羅。スキンケア初心者は必読の内容となっています。
このようにメンズスキンケアをリードするDISMが、男性用クリーム/美容液として初めてライスパワーNo.11を配合したことで「DISM PLUS」と名付けられた本品からは、エイジングケアの切り札になるような意気込みを感じます。
さまざまな新商品を形にする開発系の社員からも「やっぱりライスパワーNo.11はすごい!」との声がよく上がるという。
「手前味噌になりますが、わたしたちも他社品と効果を比較することがあるんです。そうすると、翌日の肌感覚だったり、1ヵ月後を使ったときの肌質が全然違うので、やっぱりライスパワーNo.11はすごいなと思います。味噌や醤油を科学の力だけで作れといわれたら無理なのと同じ理屈で、ライスパワーエキスには人間の知識だけでは作りきれない神秘の力みたいなものを感じます。そのかわりと言ってはなんですが、処方を組むときは開発者泣かせなんですね(笑)。天然物なので仕上がりが多少ブレたり、栄養分がたっぷりなので腐りやすかったり。そこを、できる限り少ない成分の添加で使用感を高め、効果を上げるか。それが自分の仕事だと思っています。最近はDISM PLUSを通じて、男性の使用者が増えていてとても嬉しいです。女性の方は理解していただけると思うんですが、肌がきれいになると内面から自信がわいてくるんですね。若々しく見えるとビジネスシーンでも好印象を与えるという話もあります。今後も男性にスキンケアの大切さに気づいてもらえるような商品を開発していけたらと思います」
香川産の山田錦を使った清酒。右から「勇心純米吟醸14号」、「勇心純米吟醸9号」。ともに720ml 2200円(税込) / 1.8L 4400円(税込)。左は香川県宇多津町産の古代米を使った美容アルコール飲料「リセノワール」500ml 1320円(税込)
勇心酒造の売上は現在ライスパワーエキスが99%以上、日本酒は0.5%以下だといいます。それでもお酒を作りをやめないのは、世界でも類を見ない日本酒の高い醸造技術を継承するため。それを続けることがライスパワーエキスへ新たな知見をもたらすのだそう。2012年には新製品の清酒を販売し、かがわ県産品コンクールで県知事賞を受賞するなど日本酒好きからも愛されています。造り酒屋の原点を胸に研究開発企業として進化する勇心酒造。今や世界から注目される発酵の力を半世紀も前から信じ抜いたことに感服すると同時に、変化の激しい時代に働く私たちに必要なヒントが、そこに隠されているような気がしました。
(問)DISM PLUS
https://scalp-d.angfa-store.jp/brand/dism/
Begin Marketでも販売中
https://market.e-begin.jp/collections/dism_plus
写真/中島真美 文/森田哲徳