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2023年9月8日に開幕するラグビーワールドカップ2023フランス大会まで1年を切り、世界各国が過去最高の結果を求めて強化を進めている。日本代表も大分(日本代表候補として合宿)と宮崎を主な拠点としてハードな練習を重ね、まずは今秋のテストマッチ(国代表同士の公式戦)3試合に向けて日々準備を進めているところだ。

10月、さらなる強化を目的に行われてきたのが現在開催中の「アサヒスーパードライ JAPAN RUGBY CHALLENGE SERIES 2022」だ。来日したオーストラリア代表予備軍に当たるオーストラリアA代表を相手に、日本代表は「JAPAN XV」と名称を変えて(テストマッチには当たらないためチーム名を変更)国内での3連戦に臨んできた。

10月1日の第1戦(東京・秩父宮ラグビー場)は、WTBシオサイア・フィフィタとWTB松島幸太朗のトライなどで途中までリードしながら終盤に3連続トライを許し、22-34で敗戦。8日の第2戦(福岡・ベスト電器スタジアム)は2戦連続となるWTB松島幸太朗のトライで幕を開け、後半にはNO8リーチ マイケルが逆転トライを決めたことで終盤までリードし続けたが、ラストプレーで相手にトライとゴールを許し21-22で逆転負けを喫した。

JAPAN XVとの第2戦、ラストプレーで逆転勝利し歓喜するオーストラリアA代表

オーストラリアA代表にはこれから正代表を目指す若手に加えて、すでにオーストラリア代表を経験し返り咲きを狙うワールドクラスの名手も数多く選出されている、まさに精鋭揃いのチームだ。成長の途上にある日本代表にとっては腕を磨くのに打ってつけの相手であり、簡単に勝てるチームではない。むしろここまで好勝負を演じてきたことは日本代表(JAPAN XV)の強化につながっていることを表しており、プラスの面はたくさんある。

しかし3試合中2試合の敗戦で負け越しが決まり、第3戦も敗れると3連敗になる。オーストラリアA代表戦でいい結果が残せないままニュージーランド、イングランド、フランスという世界に冠たる強豪とのテストマッチ3試合を迎えるのはファンにとっても、またプロモーション面でも決していいこととは言えない。

課題は明らかだ。トライを獲り切るアタック力に関しては申し分ない反面、トライを獲った直後に相手にトライを許すパターンが目立つ。勝負所でペナルティが多発し失点を招いてしまい、今回のような逆転負けにつながった点も修正が必要だろう。ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチもペナルティを減らすことに加え「クリーンアウト(ラック周辺などで相手プレイヤーを排除しボールを出しやすくするプレー)やボールキャリーの精度を上げていく」ことの必要性を訴えている。

テストマッチとは違い非テストマッチはあくまで強化が目的であり、こうした課題をあぶり出し、修正を重ねていく作業の方が勝敗以上に重要だ。それがその後のテストマッチ、ひいては来年のワールドカップにつながるであろうことは十分理解できる。しかし自信を深めること、取り組んできたことが間違っていないと証明することは、やはり勝利でしか得られないものではないだろうか。

トライ、ボールキャリー、タックルと獅子奮迅の活躍を見せるリーチ マイケル

10月7日に34歳の誕生日を迎えながら年齢を感じさせない高いパフォーマンスを見せ続けている日本代表の顔の一人、リーチ マイケルはオーストラリアA代表戦第2戦の試合後にこのように語っている。

「個人としてもチームとしても、もっと仕上げないといけないところがあります。下を向かずに、修正して来週(第3戦)につなげたいです」

日本代表が世界に誇る百戦錬磨のバックローの言葉を信じて、第3戦の勝利を期待したい。

編集者兼ライター
齋藤龍太郎

《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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