string(38) "https://www.e-begin.jp/article/364012/"
int(1)
int(1)
  

SLOW FACTORY スロウファクトリーのSLU ケサ

近所のお出かけにも気が利いて見える!!

「ゆったりと時間と手間をかけて生まれる革靴」をブランドコンセプトに掲げ、ムーンスター(1873年創業。旧・月星化成。本社:福岡県久留米市)が2019年に立ち上げたスロウファクトリーから、ユニークなレザースリッポンが登場した(発売は2022年8月)という話題です。

「ちょっとそこまで」の外出にちょうどイイ靴のシリーズ「Yururi(ゆるり)」の第1弾である、このモデル。写真上からもすぐに分かるとおり、アッパー前部の革の切り替えがなんとも独特で、一見すると包帯を腕に巻き付けたかのごとく、帯状の革が重ね合わさってアッパーが出来上がっているかのようです。聞けば、このパターンは仏教僧侶が左肩から右脇下にかけて覆う布状の衣装である袈裟(けさ)をモチーフにしたものとかで、したがって、この靴には「ケサ」というモデル名が付されているのです。

そのアッパーでは、日本タンナーズ協会に認証されたジャパンレザーが厚口で使われており、これが履き込むほどに味わいUP。しかも、サスティナビリティの視点から素材を余すことなく使うべく、今までは廃棄していたトラ部分(原皮にあったシワや血筋などがなめし後、革の表面に筋となって現れた部位のこと)もあえて使用しており、それゆえに製品個体ごとに異なる革の表情が楽しめるものにもなっています。

底材は独自開発の特殊ポリウレタンからなる「ベステック」ソールで、底付けでは、このソールの成型とアッパーとの接着を同時に行うダイレクト・ウレタン・ソーリング(DUS)製法を採用。これにより、底はがれは起きにくく、しかもアッパーの革が内側に包み込むように成型&底付けされていることから、足裏に吸い付くような履き心地も実現されていて、とりわけ後足部では踵(かかと)にやさしくも、しっかりとフィットしていることが実感できます。一方、前・中足部ではこのダイレクト・ウレタン・ソーリングと、アウトドアブーツなどに多用されるステッチダウンの混合製法になっており、したがって後者がもたらすコバの張り出しと、そこに施されたアウトステッチの太糸が、この靴をプリミティブな姿にしているのです。

革靴らしいかしこまった雰囲気はありつつも、ほど良く「ゆるり」な見た目&履き心地ゆえに、大人の足元に似合うオフタイムシューズに仕上がった、このスリッポン。近所のコンビニまでという距離感を「1マイル」などと例えて、その際の履物にサンダルなどが紹介されることがあります。が、「ケサ」なら、それよりもう少し離れた場所にある、たとえば「カフェや図書館まで足を延ばそう」といったときに履きたくなる、いわば「2マイルシューズ」としてちょうどイイ(!)と思うのです。

SLOW FACTORY スロウファクトリーのSLU ケサ

写真左/ヒールカップはゆるっとしたフィット感。まるで履きなれた靴のような快適さだ。写真右/採用の「ベステック」ソールは、ポリウレタンの耐候性(加水分解などによる劣化に耐える度合い)の低さを大幅に改善したムーンスター独自の底材。軽く、グリップ性、防滑性にすぐれるうえ、ほどよい弾力性で足への負担を軽減する。

SLOW FACTORY スロウファクトリーのSLU ケサ

袈裟から着想を得たという革の切り替えはなんとも個性的だが、ライナーは施されず、履き口周りなどではあえて革の切り目を見せるなどし、靴全体をシンプルで素朴な印象にしているのも特徴だ。色バリは全3色。写真左から/ブラック、ライトブラウン、カーキ。

スロウファクトリーの
「SLU ケサ」

製法:ダイレクト・ウレタン・ソーリング×ステッチダウン
アッパー:天然皮革(ステア)
ソール:ポリウレタン「ベステック」
サイズ:22.0~28.0cm
カラー:ブラック、ライトブラウン、カーキ
価格:各1万7600円

問い合わせ先/ムーンスター カスタマーセンター ☎ 0800-800-1792
https://www.moonstar.co.jp/slowfactory/

※表示価格は税込


文/山田純貴

Begin Recommend

facebook facebook WEAR_ロゴ