ノーサンプトンの3ブランド

名門ブランドの注目作をお題に、4名の靴賢者+編集長イチカワがあーだこーだと本音で言いたい放談! じっくり読み込んでいただければ、今買うべき本格靴が見えてくる!?

4名の靴賢者+ビギン編集長

上段/左から、イラストレーター 綿谷 寛さん、ワールドフットウェア ギャラリー ディレクター 日髙竜介さん 下段/左から、スタイリスト 武内雅英さん、編集・ライター 小曽根 広光さん、ビギン編集長 イチカワ

質実剛健な持ち味そのまま時代のニーズに柔軟対応

市川 為替の影響もあってインポートの本格靴が軒並み値上げを敢行しましたよね。ワレワレ靴好きは今まで以上にコスパに敏感にならざるを得ない。

武内 だからこの3ブランドなのか。英国靴の聖地ノーサンプトンの名門の中でも比較的手頃な価格をキープ。

ョセフ チーニー、トリッカーズ、サンダース
左から、ジョセフ チーニー、トリッカーズ、サンダース

小曽根 質実剛健な英国らしい靴を良心価格で提供し続けていますよね。多少値段は上がりましたが、末長く愛せる靴が欲しいなら間違いないです。

小曽根さん
小曽根さん「いつまでこの価格かわかんないすね」

綿谷 サンダースはこの3足の中でも極め付けに安くない? オレ、昔からホワイトバックスやダーティバックスが好きなんだけど、こういう普通のダービー(外羽根)のデザインってなかなかないんだよ。

SANDERS サンダースのオフィサーシューズ
①サンダース

綿谷さん
綿谷さん「今、本当にダーティバックス希少だからなぁ」

市川 錚々たるアメトラブランドの生産を請け負ってきた同社が、米国靴に着想を得て作ったモデルらしいです。

綿谷 レンガ色のラバーソールとしているのも憎いよね。デニムやコーデュロイパンツに合わせて履きたいな。

レンガソール
アメトラにマストなレンガソール

小曽根 トリッカーズは傑作カントリー靴のアッパーを、ホーウィンのクロムエクセルに。定番のツヤツヤしたオレンジのシーシェイドレザー(※)よりぐっと高級感がアップした感じですね。

Trickers トリッカーズのバートン クロムエクセル
②トリッカーズ

フルグローブ
カントリーテイストを+する「フルグローブ」

日高 いやシーシェイドもとてもいい革なんですよ。あの綺麗な発色もじつは染料仕上げですし。でも確かにこっちのほうが大人っぽく履けそうですね。

市川 この革だとアイコンである大きな穴飾りが際立つのもいいな。昔、バブアーと501に合わせてた(笑)。

綿谷 その着こなし、正しいビギンくんだよな(笑)。

小曽根 チーニーもミリタリーシューズ出自の定番「ケンゴン」をクロムエクセルにしてますね。

JOSEPH CHEANEY ジョセフ チーニー ケンゴン H
③チーニー

市川 これはラストやソールを変更した「ケンゴン H」というモデルです。

日高 製法もベルトショーンからストームウェルトに変更しているのか。ともに雨に強い仕様ですが、よりすっきり見せたかったんでしょう。前のケンゴンも好きでしたが、仕事でも使うならミリタリー感が薄いこっちかな。細かい部分ですが、外ハトメを内ハトメにしたのもデカい。

綿谷 カントリーやミリタリーの専門性も魅力だけれど、今らしい汎用性を考えるとこうなるんだろうね。

市川 そういう柔軟性もノーサンプントンの良心なんですよ♪

日高さんと綿谷さん
日高さん「本格靴といえばノーサンプトン!」 綿谷さん「やはり間違いないね!」

[おせっかいな解説]
(※)オレンジのシーシェイドレザー
「トリッカーズといえば」「カントリーといえば」な、オレンジがかった薄茶色のレザー。元々は農業用に作られた色合いで、しっかりとクロムなめしが施されているため、高い撥水性を備える。デニムのブルーとのコントラストがたまらんのよ~(笑)。

①SANDERS
サンダースのオフィサーシューズ

SANDERS サンダースのオフィサーシューズ

MOD(英国国防省)の公式サプライヤーである同社のアーカイブをもとに企画されたモデルにダーティバックスエードを与え、アメトラ風味に。羽根の3本ステッチも特徴的。5万2800円(グラストンベリーショールーム)

綿谷さん

英国ミリタリーシューズをアメトラ仕様にアレンジ(綿谷さん)

②Tricker’s
トリッカーズのバートン クロムエクセル

Trickers トリッカーズのバートン クロムエクセル

素材によっては10万円以下で買える定番カントリーシューズに、ホーウィン社のクロムエクセルをのせた限定モデル。同革は表面だけを染めているため、穴飾りが一層際立つのも魅力だ。11万2530円(トリッカーズ 青山店)

イチカワ

油分の多いしっとり革が存在感あるデザインにマッチ(イチカワ)

③JOSEPH CHEANEY
ジョセフ チーニーのケンゴン H

JOSEPH CHEANEY ジョセフ チーニー ケンゴン H

不動の人気の「ケンゴンⅡ R」をベースに、ドレカジ木型の175に換装。アッパーはクロムエクセル、ソールはダイナイトとし、ウェルトもストームウェルトに変更された。8万4700円(ブリティッシュメイド 銀座店)

武内さん

オンオフ兼用を意識したハイブリッドなケンゴン(武内さん)

 

ワールドフットウェア ギャラリー ディレクター 日髙竜介さん

ワールドフットウェア ギャラリー ディレクター
日髙竜介さん

[愛靴:WFG×オリエンタル ジョセフ Ⅱ]
靴好きが高じて製薬業界から転身。古今東西の名靴に足を通してきたが、最近のお気に入りは写真のモンク靴。「スリッポン感覚で気軽に履け、撥水スエード&ラバーソールで雨にも強い。デザイン的にも幅広い装いに合うので、気がつくとこればかり履いています」

編集・ライター 小曽根 広光さん

編集・ライター
小曽根 広光さん

[愛靴:ジェイエムウエストン ゴルフ]
兄弟誌「MEN’S EX(メンズ・エグゼクティブ)」のエースとして活躍するほか、多数の雑誌やWEBでも執筆。クラシックな装いと靴が好み。「じつは昔はモード好きでしたが、12年前にゴルフを買って徐々にクラシック志向に。“今のボク”を作った大切な靴です」

スタイリスト 武内雅英さん

スタイリスト
武内雅英さん

[愛靴:パラブーツ ワークブーツ]
ドレスにもカジュアルにも強く、全編集部員が頼りまくり。撮影現場ではいつもサンダル履きだが、名靴を多数所有し、とくにブーツのコレクションはかなりのもの。「このワークブーツは廃番となると知って慌てて購入。ワークブーツなのに革が柔らかで極上の履き心地です」

ビギン編集長 イチカワ

ビギン編集長
イチカワ

[愛靴:ブルックスブラザーズ タッセルローファー]
若い頃から給料の大半を靴に注ぎ込んできた靴バカ。このタッセルローファーはオールデンがブルックスのためにOEMしたもの。「日本ではモディファイドのVチップが人気ですが、本国ではこのアバディーンラストのタッセルも大定番。所有オールデンの中で一番思い入れがあります」

イラストレーター 綿谷 寛さん

イラストレーター
綿谷 寛さん

[愛靴:山陽山長 岸三郎]
ご存じ、日本で最も忙しいファッションイラストレーター。この日お持ちいただいた愛靴は、ご自身がデザインを担当し、3年前に50足限定で発売されたもの。「じつは古いロブ・ロンドンのカタログにあった靴から着想。ギリーのホワイトバックスって珍しいでしょ?」

 
※表示価格は税込み


[ビギン2022年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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