セプティズ 代表 玉木 朗さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #068
「雨の日に着ても惜しくないけどロマンも感じる復刻の“ファースト”」
セプティズ 代表 玉木 朗さん
気兼ねなく着られるんだけど、僕みたいなうるさ型が求める勘所もちゃんと押さえてくれている。そんなGジャンが欲しくなって目をつけたのが、復刻の通称“ファースト”モデル。
といっても現行のLVCではなくて、90年代から2002年頃まで、聖地サンフランシスコのバレンシア工場で作られていた俗に言う“次代のヴィンテージ”。今では価格も高騰していてデッドストックで入手するのはかなり難しかったんだけど、昔のツテを辿ってなんとかワードローブに加えられることに。
で、いざ着てみるとこれが想像以上にデキがいい。たしかに現行LVCも完成度はすごく高いんだけど、もう米国製ではなくなってしまっているし生地もコーンミルズ社製じゃないから、どうにもロマンを感じなくて。
その点、この頃の復刻モデルにはまだ米国の息吹を感じるし、再現度も素晴らしい。フロントのアクションプリーツやシンチバック、剝き出しのリベットや片面ビッグEタブ、ギャラ入りのレザーパッチや合わせが逆向きになっているカフスなどなど……。
僕らの世代が憧れていた“ファースト”像をしっかり形にしてくれていて、羽織ると気持ちが高揚するんですよね。でもやっぱりウン十万、ウン百万円するようなオリジナルじゃないから、雨の日に着ても惜しくない。デイリーに着回せるGジャンとしては、間違いなく最高峰だと思います。
LEVI’S VINTAGE CLOTHING[リーバイス ビンテージ クロージング]
デニムジャケット
1936年に誕生したデニムジャケットの元祖、“506XX”の復刻品。次代のヴィンテージと目される、米国・バレンシア工場製だ。相場はデッドストックで6万5000円前後。なお、セプティズでも数点販売中。(写真は本人私物)
セプティズ 代表
玉木 朗(たまきあきら)
1955年生まれ。三軒茶屋の人気店「セプティズ」のオーナー。アメトラ&アメカジに造詣が深く、服飾業界の先生的存在としても知られる。ギターからデニム製品まで、リアルに使えるヴィンテージが大好物。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。