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ラグビーリーグワンを制した埼玉ワイルドナイツのメンバーが日本代表でも輝くか 注目のフランス戦に挑む

ラグビーの日本最高峰リーグ「ジャパンラグビー リーグワン」。その初代王者に輝いたのは前身の「トップリーグ」最後の王者でもある埼玉ワイルドナイツだ。新型コロナウイルスの影響により開幕から2試合は不戦敗となったが、以降はプレーオフ決勝まで16連勝。新リーグへの移行という時代の節目に”連覇”を飾った名門の存在感が際立ったシーズンとなった。

5月にリーグワンのシーズンが終わるや否や6、7月のテストマッチ(国代表同士による正式な対戦)に向けた代表合宿が始まるという、例年のこととはいえ日本代表候補に選ばれた選手にとっては極めてハードなスケジュールとなったが、埼玉ワイルドナイツの選手たちは疲れを見せることなくテストマッチへの準備に臨んだ。

埼玉ワイルドナイツのキャプテンとして優勝に大きく貢献したHO(フッカー)坂手淳史は、今回新たに日本代表の共同主将となった(もう一人は東京サンゴリアスの流大。ただしコンディション不良のため代表を離脱)。主に先発の坂手から途中交代する形で埼玉ワイルドナイツに勝利をもたらし、リーグワン初代MVPとなったベテランHO堀江翔太も、リーグワンでの活躍が評価され3年ぶりに代表復帰を果たした。

また、「笑わない男」の異名を取る人気者で絶対的な存在でもあるPR(プロップ)稲垣啓太をはじめ、PRヴァル アサエリ愛、LO(ロック)ジャック・コーネルセン、FL(フランカー)ベン・ガンター、そしてリーグワン決勝での出色のパフォーマンスで評価を高め日本代表へ返り咲いたSO(スタンドオフ)山沢拓也、リーグワン初代トライ王のCTB(センター)ディラン・ライリー、正確なキックと判断の良さが持ち味のFB(フルバック)野口竜司など、リーグワン優勝に大いに貢献したメンバーが数多く代表に選出された。日本代表の浮沈に関わるキーマンを多数輩出した形となった。

ラグビーリーグワンの決勝でトライを決め優勝に貢献したパナソニックワイルドナイツのディラン・ライリー
リーグワン決勝でトライを決め優勝に大いに貢献したディラン・ライリー

日本代表キャプテンとしての初陣となった6月25日のウルグアイ戦終了後、坂手は43-7での圧勝に浮かれることなく収穫と課題を語った。

「合宿からずっと取り組んできたディフェンスは手応えがありました。前に出るディフェンスができたと感じています。コミュニケーションをさらに上げていけばもっとよくなると思いますし、ペナルティをもう少し減らしていけば相手にもっとプレッシャーをかけられたと思うので、これから修正していきたいと思います」

ベテランの域に入った稲垣は、新たな顔ぶれが増えた日本代表についてこのように評価した。

「今回(の日本代表)は昨秋から選手の入れ替わりが多くて、初キャップの選手も数多く若いチームになりましたが、早い段階でチームとしてまとまっていると感じています。これだけ人が変わるとコネクションを取る(連係・関係性を構築する)のに時間がかかるだろうと正直思っていたのですが、それが非常に早くできているのは、選手一人一人が何をしなければいけないかを理解しているからだと思います。もっとコネクションを取れる場を増やしていきたいと考えています」

パナソニックワイルドナイツの稲垣啓太はラグビーリーグワンの決勝でもプレーだけでなくその言葉で観客を魅了した
プレーだけでなく紡ぎ出す言葉からも力強さが感じられる稲垣啓太

まずはウルグアイを退けた日本代表は、これから大一番を迎える。昨秋ニュージーランドを圧倒し、今年は欧州6カ国対抗戦「シックス・ネーションズ」でグランドスラム(全勝優勝)を成し遂げた世界ランキング2位(7月1日現在)の強豪、フランスとの2連戦が待ち構えているのだ。

日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは、フランスとの対戦に向けて「期待しているのは一人一人が仕事すること。フランスはたくさんの困難を乗り越えて素晴らしいチームになったが、我々もハードワークしてきた」と語り、勝利への強い意欲と自信を見せた。

世界ランキング10位の日本代表の対フランス戦通算対戦成績は9敗1分けと、1973年の初対戦以来いまだに勝ち星がない。歴史的初勝利を目指す第1戦は7月2日に豊田スタジアムで行われるが(第2戦は9日に国立競技場で開催)、その直前に堀江、山沢、野口らが抗原検査で陽性となり、あえなく代表離脱(隔離)となった。

それでも「誰が出場してもスタンダードを下げないように準備してきた」(稲垣)という日本代表。リーグワンで見事なチーム力、組織力を見せつけた埼玉ワイルドナイツのメンバーを筆頭に、日本ラグビー界の粋を集めたメンバーで強豪フランスに挑む。

編集者兼ライター
齋藤龍太郎

《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

文・撮影/齋藤龍太郎(楕円銀河)

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