J.プレス&サンズ 黒野智也さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #063
「超楽ちんニットなのに王道シャツ並みにオーラがある」
J.プレス&サンズ バイヤー 黒野智也さん
仕事柄シャツは50~60枚愛用してるんですが、いわゆるイージーケア系の化繊ニットシャツは一枚も持ってなかったんです。便利なのはわかるけど、ジャージーなんてちょっと邪道じゃない? と、斜に構えてたところがあって。
でもベタなんですが、このシャツを手にした瞬間衝撃を受けちゃったんです。どう見ても正統派の布帛シャツじゃん!って。46Gという超ハイゲージで編み立てられた生地はハリと品が半端じゃなく、見た目はパリッとした質感が特徴のタイプライター生地そのもの。
シャツはハンガーに掛ける派なんですけど、吊るされてるときの佇まいなんて、手持ちの王道アメトラシャツに勝るとも劣らないオーラがあるんです。
聞けば国内有数の腕利きニットシャツ工場に縫製を依頼して、手間と技術を要する巻き伏せ本縫いなど、ドレスシャツ仕様で仕立ててるんだとか。だからこそニット生地なのに折り目正しく見えるのかもしれません。
でも実際に羽織ってみると、これが想像以上にイージー。ストレッチがグイングイン利いててまったくストレスを感じないし、着用時や洗濯後に生じるシワなんかの形態変化もほぼほぼない。お堅い見た目と柔らかな着用感のギャップには心底驚かされました。
ニットシャツでも“正統”を感じられるんだな、なんて凝り固まった自分のマインドまで柔らかくしてくれた、教科書的存在です。
KANEMASA[カネマサ]
ドレスニットシャツ
1964年に創業した和歌山の老舗ニッターのオリジナル。天然繊維と化繊を超高密度に編み立てることで、見た目カッチリにして着心地ソフトに♡ ’23年春夏には黒野さんの別注品も登場予定。2万6000円(カネマサ莫大小)
J.プレス&サンズ バイヤー
黒野智也(くろのともや)
1985年生まれ。実験的とも言える数々のアイテムを企画し、アメトラの枠組みを広げ続けるJ.プレス&サンズのバイヤー。青の濃度が異なるシャンブレーシャツだけでも数十着所有する好事家。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。