スティル バイ ハンド 柳 優介さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #061
「特殊繊維のゴア社製コードゆえいつも清潔に身に着けられる」
スティル バイ ハンド デザイナー 柳 優介さん
ここ数年は改めて、手仕事から生み出される、どこか不均一な仕上がりのモノに惹かれています。いい意味で個体差のある、作り手のパーソナリティを感じさせるプロダクトに。自分のブランドのクリエイションにもそういうアイテムが増えてきていて、きっと、完璧すぎないモノに魅力を感じているのだと思います。
このブレスをオーダーしたのも、新しい生活様式が叫ばれるようになって以降でした。ほんのり歪な形状のオーバルデザインから匂い立つ、ハンドクラフトの薫りに引き寄せられて。
クリアグレーのコードのほうは、本来はネックレスとして展開されているアイテム。でも、これを二重巻きにしてブレスにしたら面白いんじゃないかと。マルジェラが手掛けたエルメスの時計のように、ストラップを二重巻きにすることでこなれた雰囲気で着けられるんですよね。
コードにはゴア社による特殊繊維が用いられていて、濡れてもすぐ乾く。着用したままサーフィンできるようにという意図からの素材使いだそうですが、これが手洗いの機会が増えた今の生活習慣にもぴったり。
もともと頻繁に手を洗うほうで、デザインに煮詰まったときや考えをまとめたいとき、手を洗いながら思慮にふけるクセがあるんです(笑)。そんなときにもイチイチ外さずに済むという点も、今の自分にとっての新しいスタンダードなんです。
JILL PLATNER[ジルプラットナー]
ゴアコードブレスレット
NYの女性デザイナーが手掛ける、ハンドメイドのアクセブランド。紐部分はゴア社のテナラと呼ばれる特殊繊維製で、濡れてもすぐ乾き、ニオイもつかない。左3万3000円、右8万8000円(メイデンズショップ) ※注文販売。
スティル バイ ハンド デザイナー
柳 優介(やなぎゆうすけ)
1976年生まれ。無駄な装飾を排しつつもクラフト感を醸す服で国内外から評価の高い「スティル バイ ハンド」を手掛ける。アクセは基本腕時計のみ派で、このブレスは薄着シーズンのポイントとして着用。
※表示価格は税込み
[ビギン2022年7月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。