アーバンリサーチ

ヴィンテージ 珍妙ディテール

“何だこりゃ!”と最初は訝しんだものの、次第にその無二の味の虜になってしまう……。ヴィンテージ界には、そんな珍味にも似たアイテムがチラホラ存在します。いずれもその珍妙なディテールのおかげで、一発で“わかってる”をアピれる個性派ばかり。数多のブランドが惚れ込む世界の珍味は、一度知ればヤミツキ確定ですよ〜。

①メキシコ:メキシカンパーカ
ここがオリジン[首元の切れ込み]

メキシカンパーカ メキシコ

存在感は特大だけど肩肘張らずにユル〜く羽織れる。そんな無二の個性で多くのブランドから元ネタにされているのが、この総柄パーカ。

一説によると誕生は30年代。メキシコ最北のバハ・カリフォルニア州へとトリップした米国西海岸のサーファーたちが、現地の伝統的な“セラーピブランケット”にひと目惚れ♡ この生地、海上がりの素肌にちょうどいいじゃん♪と感動し、パーカ仕立てにして持ち帰ったのが起源なんだとか。

これが70年代に花開いたヒッピー文化の後押しによって、一気にマスへと浸透。以来サーフスタイルのアイコンとして定着し、日本においても柄や素材を変えてマイルド化したオマージュアイテムが数多く作られることになったのだ。相場価格は5000円前後。
 

西海岸のサーファー愛用というマリン文脈がウマい!

メキシカンパーカ メキシコ

②アメリカ:ダービージャケット
ここがオリジン[カップインショルダー]

ダービージャケット アメリカ

ワルに憧れちゃうのは世界共通。80年代に米国の不良少年の世界を席巻したこのジャケットもまた、各国のブランドから元ネタにされている。もともとは60年代に創業した“ダービー・オブ・サンフランシスコ”という紳士服店のオリジナルアイテムだったという説が有力。

最大の特徴は胸から肩にかけて一文字のステッチを施した“カップインショルダー”というディテール。これが動きやすくて見た目も雄々しいと、ワルに大ウケ! 80年代に入ってこの意匠をパクッたジャケットが乱立すると、“ダービージャケット”という総称が定着することに。

今ではこの切り替えが入ったジャケットを着ていれば、=ストリートカルチャーをわかってる奴と見なしてもらえることになったのだ。相場価格は2万円前後。
 

80sの西海岸の不良愛用というストリート要素がウマい!

ダービージャケット アメリカ

③オーストラリア:クージーの3Dニット
ここがオリジン[カラフル立体編み]

クージーの3Dニット オーストラリア

目立ってナンボのB-BOYから不朽の定番と目され、数々のストリートブランドからオマージュされてるのがこちら。手編み製法による立体的な編み柄と、ド派手なクレイジーカラーを特徴とするケーブルニット。

実はクージーというのは69年にオーストラリアのメルボルンでスタートしたブランドの名前。当時はこの迫力満点のニットを観光客向けに製作していたものの、伝説的ラッパー、ノートリアスB.I.G.が公私問わずに着用したことで、潮目が一変!

ラップの歌詞にも織り交ぜるなど、稀代のカリスマが全力でクージー愛を唱え続けた結果、世界中のB-BOYから知られる存在になったのだ。

今ではストリート以外のブランドも、この特徴的な編み柄&色使いを真似っこ。アメリカのそれとは趣の異なるオージーのネイティブ風味にも旨みを感じるよね~。相場価格は2万5000円前後。
 

ゴリゴリのB-BOY愛用という骨太背景がウマい!

クージーの3Dニット オーストラリア

④フランス:フレンチチャイナジャケット
ここがオリジン[チャイナボタン×3つポケット]

フレンチチャイナジャケット フランス

実は意外にもフランスは欧州最大の中国人在住国なんだとか。第一次世界大戦後に人手不足を解消するため、中国からの移民を受け入れはじめたらしいけど、これはそんなフランス在住の中国系移民が、フランス国内で着用するために生産したアイテム。

ウマいのは何と言っても中仏折衷とも呼ぶべきデザイン! フレンチワークの象徴であるベーシックな3つポケカバーオールに、アイコニックなチャイナボタンが採用されてて、なんとも言えずユーモラスな顔つきに。

数年前までは知る人ぞ知る存在だったところ、昨今のユーロヴィンテージ人気の受けてスポットを浴び、モチーフとするブランドも増加中! 相場価格は1万円前後。
 

中華系移民向けデザインだからこその文化ミックス具合がウマい!

フレンチチャイナジャケット フランス

⑤サハラ砂漠周辺:トゥアレグ族のシルバーアクセサリー
ここがオリジン[幾何学模様]

トゥアレグ族のシルバーアクセサリー サハラ砂漠周辺

アフリカ大陸のいち遊牧民にすぎなかったトゥアレグ族が、世界中の洒落者から注目されるキッカケとなったのが、彼らが作るシルバーアクセ。アメリカのネイティブアクセともキャラの異なる繊細な幾何学模様は、すこぶるモダン! アートな趣もあって、現代のファッションと合わせてもすんなり馴染んでくれる。

これをフランスの某雲上メゾンが見初め、90年代に彼らの技芸を取り入れたシルバーアクセを発表したことで、模倣品が急増することに。定番好きだけどカブるのは嫌!なんてワガママさんには、これ以上ジャストな珍味はないと思われ! 相場価格は2万円前後。
 

某高級メゾンを魅了した超絶技巧がウマい!

トゥアレグ族のシルバーアクセサリー サハラ砂漠周辺

⑥イギリス:ガンジーセーター
ここがオリジン[前後対称の作り]

ガンジーセーター イギリス

ベーシックで着回しやすいのに、他のニットにはない通好みな意匠を備え、多くのブランドからベンチマークされている、イギリスのガンジー島発のニット。一説によると、その起源はなんと17世紀にも遡るそう!

海のしぶきに耐えられるよう、厚手に編み上げられたウール生地に、各漁師の奥様たちが考案した無二の編み模様が配されているのが特徴。

さらに漁師たちが明かりの少ない船上でも前後間違えずに着用できるよう、前下がりと後ろ下がりをつけず、前後対称に編み上げているのも、ワークならではのディテールだ。これによって、見た目はフツーなのに着るとユニークな見た目になる、ガンジーセーター固有のウマ味を生み出してくれるってわけ。

19世紀になると英国海軍の制服としても広く普及し、ミリタリーの領域にも進出。今でこそファッションアイテムだけど、骨太背景を持っているのだ。相場価格は1万5000円前後。

 

イギリスの漁師に着用されていたというワーク要素がウマい!

ガンジーセーター イギリス

 
※相場価格は編集部調べです。
※表示価格は税込み


[ビギン2022年7月号の記事を再構成]文/黒澤正人 イラスト/TOMOYA

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