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オーベルジュ デザイナー 小林 学さん

世界に類を見ない考察力で、Gジャンの歴史を継承&進化させ続けてきた日の丸ブランドたち。日本人はなぜGジャンに魅了されるのか。今求められるGジャン像とは何なのか。レプリカとは一線を画すモノ作りで人気を博すオーベルジュの小林さんにお聞きしました。

オーベルジュ デザイナー 小林 学さん

オーベルジュ デザイナー
小林 学さん

岡山のデニム工場の企画生産等を経て、’98年にスロウガンを、2018年に男服の永世定番を再定義する人気ブランド、オーベルジュをスタート。ヴィンテージへの造詣も鬼深。

「当時店頭に並んでいたそのまんまのサイズ感が今の時代にベストマッチ」
―小林さん

AUBERGE オーベルジュのプルミエール
オーベルジュのプルミエール

「そもそも日本ほどGジャンを深く研究している国は他にないと思います」。アメリカ生まれのGジャンを、これまで星の数ほどの日の丸ブランドが、時に忠実に再現し、時に独自のアレンジを加えながら、その歴史を継承&更新し続けてきました。

かくいう小林さんのオーベルジュも、そうしたブランドのひとつ。市場に絶えず質の高い製品が並び、ヴィンテージに対する知識も浸透していった結果、いつしか日本人の脳内にGジャン=オシャレという式が、深く刷り込まれていったのではないか。小林さんはそう推察します。

Auberge オーベルジュ
(Auberge/オーベルジュ)

小中学生の男子がオシャレを意識し始めたとき、最初に憧れを抱く服。そして一旦は離れたとしても、年齢を重ねて結局また戻ってくる服……。アメカジが大好きな日本人にとって、Gジャンはそういうノスタルジックな魅力を感じるアイテムだと思っています」。

そう語る小林さんも、例に漏れずこの服好き日本男児の黄金ルートを通過。作り手側に回ってからも、各国のさまざまなGジャンを研究してきたそうですが、

「個人的に最も惹かれるのは、やはりリーバイスのファーストとセカンド。’60年代に登場したサード以降はファッションアイテムとして設計されているんですが、セカンドまでは肩の構造を見ても完全に作業着として作られているのがわかる」。

「ただこれが眺める分にはとてつもなくカッコいいんですが、いざ着ると変に着丈が短かったりして、どうにも不格好なんですよね」。

だからこそ、昨今多くのブランドがユルいシルエットに改良したGジャンを製作していますが、「オーベルジュ的には単に大きくするのではなく、根拠のあるゆったりサイズにしたかった」。と小林さん。

「思案を重ねていたある日、友人が未洗い状態のリーバイスのファーストを見せてくれたんです。それを見た瞬間、頭の中に往時のアメリカの店頭の光景が、ありありと浮かんできて(笑)」。

「これこそ今の時代に一番欲しいサイズ感じゃないか!と、すぐさまその縮むことを想定してあらかじめ大きく設計された、デッドストック状態のファーストの寸法を計測させてもらったんです」。

小林さんはその数値を元にパターンを製作しつつ、岡山県の機屋さんに生機仕上げのデニム生地を特注。

「未防縮なのに加え、毛焼き加工して表面も整えていない、いわば往時のファーストと同じような生地感のデニムを織り上げてもらいました。生機のデニムは製作過程で事故が起こりやすく、機屋さんは大抵嫌がる(苦笑)」。

「けれど洗った後の風合いは、現在主流の整理加工されたデニムに比べて抜群にいい。この特製デニムの縮率を計算し、製品洗いした後に前述のデッドストック寸法になるよう、逆算して設計→裁断→縫製→仕上げ加工という順で製作」。

「かなり重作業でしたが、おかげでつんつるてんな着丈とは無縁で今の時代に合致しつつ、ロマンもある。そんな狙い通りの根拠のあるオーバーサイズに仕立てられたと自負しています」。

“脱・つんつるてん”な幻のデッドストック寸法

AUBERGE オーベルジュのプルミエール

AUBERGE[オーベルジュ]
プルミエール

洗って縮む前のファーストの寸法になるように設計された、根拠のあるオーバーサイズに萌え♡ 秋冬からは待望のセカンド型も展開予定。型紙のベースになっているのは、リーバイスが’90年代に米国バレンシア工場で製作していた復刻セカンドの、超大型48サイズのデッドストック! ちなみに“ファースト”を意味する仏語“プルミエール”に対して、セカンド型は“ドゥーズィエム”と命名されてるそう。各5万2800円(オーベルジュ)
 

2nd型も!

AUBERGE オーベルジュのドゥーズィエム

 

オリジナルの1st型の“洗って縮む前”がBESTな着丈♪

AUBERGE オーベルジュのプルミエール

身幅はベストなんだけど着丈が短くて(涙)。なんてファーストあるあるを見事に解消♪ 正統なワーク顔なのに好バランスに見せられるなんて感涙もん。バトナー×ビームス プラスのニット2万8600円(ビームス プラス 原宿)ベルナール ザンスのパンツ4万4000円(シップス 渋谷店)

オリジン超え!? 意匠総点検!!

 

①岡山県井原市の実力派ファクトリーに生地を特注

AUBERGE オーベルジュのプルミエール

防縮加工や表面を整える毛焼き加工を行っていない、生機仕上げの13オンスデニムは、肉感があるのに極めてしなやか。ランダムに表出しているネップも渋みを増すスパイスに。洗って着込んだ後の経年変化も楽しみ~♪

 

②フレンチアンティークのボタンをランダムに配置

AUBERGE オーベルジュのプルミエール

「Gジャンを作るときに必ずブチ当たるのがボタン問題。オリジナルボタンだと“L”の文字違いみたいに見えちゃうから(苦笑)」と、第二次世界大戦前に作られた欧州古着のアンティークボタンを、アソートで装備している。

 

③生機仕上げのデニムが生むナチュラルギャザー

AUBERGE オーベルジュのプルミエール

生機仕上げデニムを使い、製品洗いを施すことで、強烈な縮みが発生。それによって胸の切り替え部分をはじめとする、生地が縦横交差する部位にギャザーが生まれ、クッキリとした陰影が。コクを増す要の意匠のひとつ。
 
※表示価格は税込み


[ビギン2022年5月号の記事を再構成]スタイリング/武内雅英(CODE) ヘアメイク/北村達彦 イラスト/TOMOYA その他のスタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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