特集・連載
プロジェクトe〜電動の挑戦者たち〜
あの名車がEV化できるって知ってた? オズモーターズが手掛けるコンバートEV
ハイテク自動車からテスラまで! e-乗りもの大全 これからしばらく“密”はダメです。これからずっと地球温暖化は困ります。どうなっちゃうの~?僕らの未来……。そんな時代をスィ~~~と乗り切るひとつの最適解がe-乗りもの。すなわち、電気の力で走るモビリティです。事実、ここ数年、とくにコロナ禍以降、日本でも電動アシスト自転車や電気自動車の市場が急成長というニュースはよく耳にしますよね? 各メーカーから驚きのテクノロジーを搭載したマシンが続々登場し、一部のモデルは「欲しい!」と思ってもすぐに買えないほどの人気っぷりです。だからこそ今欲しい、e-乗りものを全方位的にご紹介します。 この記事は特集・連載「ハイテク自動車からテスラまで! e-乗りもの大全」#20です。
古いビートルやミニに憧れてはいるものの、クルマに詳しくないし、維持も大変そう……。そんな方々にとって光明と言えるのがオズモーターズの行う旧車のEV化です。なぜこんな夢のようなプロジェクトに取り組んだのか? 代表の古川さんにお聞きしました。
RROJECT e[Vol.2 OZ MOTORS]
名車を後世に残す究極の策がここに!
旧車からエンジンと燃料タンクを取り外し、モーターとバッテリーを搭載したエコカーとして再生。オズモーターズが手掛けるコンバートEVについて簡単に説明するとこうなります。
旧車の新たな楽しみ方として注目されていますが、同社がこの事業を始めた12年前はクルマ好きからの反応は今ひとつだったと古川さんは語ります。
「旧車はオリジナル状態こそエライという考え方が根強く、その命にあたるエンジンを外すなんてとんでもない!という声をよく聞きましたね」
しかしここ最近はユーザーの環境意識が急速に高まり、旧車のEV化について興味を感じる人が増えてきたそう。
「今の時代、排ガス臭くて音がうるさいクルマにはよほど心臓が強くないと乗りづらい。そして何より旧車は維持が大変なんですよ。突然故障するし、日々の整備や車検を通すのも一苦労。そうした手間がEV化によって一気に解消するメリットは大きい。ちなみにエコカー減税も受けられます」
さらにモーターやバッテリーの進化も、旧車EV化をリアルに検討する人が増えた要因でしょう。30kWhのリチウムイオン電池を搭載した下の写真のビートルの場合、実質航続距離は150km。これなら十分実用に値します。
「ノーマルビートルとは比べものにならないくらい速いのも魅力。出そうと思えば時速150kmくらい軽く出るので、高速道路も余裕で走行できます」
もちろん小さな工房が独力でコンバートEV技術をモノにするまでには、数多の苦労があった模様。
たとえば日本のサプライヤーは大手自動車メーカー以外を相手にしないため、部品はほぼ海外から調達。また今主流のリチウムイオン電池は扱いが難しく、制御技術の確立にも相当時間を費やしたそう。
「実を言うと、今も日々進化する技術についていくのが大変(笑)。でも古いクルマはカッコいいし、味があるじゃないですか。今、若者のクルマ離れが進んでいるのは、乗りたくなるクルマがないからなのかなと。だからこの事業を続ける意義は大きい。」
「そもそもガソリン車のままだったら寿命が尽きる旧車も、EV化すればあと100年は寿命が延びる。名車を後世に残す、最も有効な手段だと信じています」
オズモーターズ 代表 古川 治さん
合法にこだわった自動車カスタムに長年携わり、2010年に旧車のEV化事業に着手。2011年、同事業でグッドデザイン賞金賞を受賞。
「旧車特有の手間がなくなってストレスフリーで楽しめます」―オズモーターズ 古川 治さん
OZ MOTORS[オズモーターズ]
日本のコンバートEVを牽引する同社。EV化費用は500万円~(ベース車別)。車両持ち込みにも対応。人気車種についてはキット化も検討中だ。
住所.神奈川県横浜市都筑区大熊町224-5
https://www.o-z.co.jp
フロントにバッテリーを。
リアにはモーターを搭載。
3DスキャナやCADを駆使してパーツを専用設計
充電方法は一般的なEVカーと同じ
レトロな内装はできる限りそのまま
※表示価格は税込み
[ビギン2022年4月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。