wook vol.11

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー

[フレンチBeginnerマスイの実況中継]
Q.究極のフレンチニットとは?
A.ハンドフレームタートルニット

オーベルジュ デザイナー 小林さん「さて、究極のフレンチニットといえば?」

ビギン編集部・マスイ「ん~。ぶっちゃけ天竺のバスクくらいしか思いつかないス……」

小林さん「僕にとっては、名画『大人は判ってくれない』のドワネル少年が着ていたニット一択!」

マスイ「えっ!? アゼ編みのタートルニットスか!?……よく見ると雰囲気ハンパない」

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー

小林さん「この道40年のニッターさんに編んでもらったんだ」

マスイ「まさにゴッドハンド! 編み機も年季入ってるスね」

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー

マスイ「師匠、またまた来ちゃいましたね!」

小林さん「福島・伊達市にあるタイムマシンのようなニット工場だよ」

小林 学さん

オーベルジュ デザイナー 小林 学さん

1966年生まれ。文化服装学院を卒業後、フランスに3年間遊学。帰国後、南仏に本社のあるブランドのデザイナーや、岡山のデニム工場の企画生産等を経て、’98年にスロウガンを、2018年にオーベルジュをスタート。

ストーリーを味わう[徹底レシピ解説]
たった一人の職人さんが編み立てるアートピース

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー

カバーオールや軍パンならいざ知らず、ニットの永世定番となると“フレンチ”と聞いてもピンと来ない人がほとんどなはず。ですがフレンチ賢人の間では、昔から“これぞ不朽の名作!”と崇められているニットが存在するんです。

’59年に公開されたフランスのモノクロ映画『大人は判ってくれない』の主人公、アントワーヌ・ドワネル少年が劇中で着用しているタートルニット。これ一択です!」

映画自体も傑作と謳われていますが、この12歳の少年がニットを鼻下まで覆った姿もまた、永遠のファッションアイコンとして語り継がれています。小林さんは彼が着たニットの全容を明らかにすべく、まず同作のデジタルリマスター版ブルーレイを購入(笑)。

「穴があくほど見るうちに、組成自体はごく普通の畦編みニットと判明しました。ただこれをそのままトレースしたのではつまらない。そこで同じく個人的に傑作認定している、英国の’60年製ニットの意匠を混ぜ込むことにしたんです」

かくしてベーシックなのによ〜く見ると随所に技巧が凝らされた、この独創タートルを創出しました。

「ただ思いついたはいいものの、これだけ複雑なニットを編むのは至難の業。自分が知るなかでは“丸幸ニット”さん以外に、これを形にできる工場はないなと。ここは半世紀以上前に作られたハンドフレーム機と、それを自在に扱える職人さんが在籍する、数少ないニット工場

「ハンドフレーム機は“手横編み機”とも呼ばれる通り、手動でハンドルを動かして編む超アナログマシン。細かなセッティングはもちろん、時には機械の修理まで、すべて人の手で行わなければならないため、扱うには相応の経験とスキルが求められるんです」

今作を担当してくださっている渡辺さんは、40年以上のキャリアを誇る、ニットの神様。使いたい糸とニットの仕様書を持ち込んで概要をお伝えすると、最適な糸の番手、引き揃える本数、各部位の編み地の数値などを瞬時に導き出してくださいました」

「渡辺さんがこの機械を駆使して、一点一点丁寧に編んでくださったおかげで、想像を遥かに超えるタートルニットが完成。ふっくら嵩高なのに加え、曲線部の減らし目がデザインに昇華され、無地なのにしっかり個性がある。渡辺さんがいなければ100%形にできなかった、工芸品とも呼べるニットなんです」(小林さん)
 

「希少なハンドフレーム機と人の手がなかったら……100%完成しなかった」

希少なハンドフレーム機

編み地をデザインに昇華させたモノクロ映画ニット

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー

AUBERGE[オーベルジュ]
TRUFFAUT(トリュフォー)

原毛時点で繊維の太さがカシミヤよりも細い、超上質なメリノウール糸を使っているから、チクチクとも無縁。ドワネル少年のようにピタらないよう、ほんのりユルめのシルエットに設計してくれてるのも特筆点。5万2800円。

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー
カシミヤよりスベスベ!?な最高級メリノウールを使用

AUBERGE オーベルジュ TRUFFAUT トリュフォー
数多の減らし目は職人技の賜物

わかると10倍ウマくなる![秘伝のスパイス講座]

《モノクロ映画の金字塔『大人は判ってくれない』》
巨匠フランソワ・トリュフォー監督の代表作。少年の繊細な心情を表すかのようなタートル姿は、なんとも言えず洒脱でファンも多い。

大人は判ってくれない

《減らし目の達人イエーガーのニット》
知る人ぞ知る英国ブランドの’60年代製ニット。袖パーツを中心に接合した変形ラグランを、減らし目を多用することで形にしている。

JAEGER イエーガー
(JAEGER/イエーガー)

丸幸ニット

《手の温もりが宿る「丸幸ニット」》
前身となる「丸幸メリヤス」時代から数えて60年以上の歴史を持つ、福島県伊達市の超実力派ニッター。渡辺さんは約40年にわたってハンドフレーム機を使い続けるレジェンド。他の職人さん曰く、「このタートルニットに関しても、同じ設計図をもらって同じ機械を使ったとしても、こんなに綺麗に雰囲気よく編めない」んだとか。まさにニットの神!

渡辺幸子さん
丸幸ニット ニット職人 渡辺幸子さん

 
※表示価格は税込み


[ビギン2022年4月号の記事を再構成]写真/上野 敦、ダリウス・コプランド(プルミエジュアン) 文/黒澤正人 スタイリング/佐々木 誠 イラスト/TOMOYA

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