サイドゴアブーツの代名詞が進化した!? ブランドストーンのスベらない話
ブランドストーンと言えば、もとより“一足で事足りる力”に秀でた万能サイドゴアでお馴染み。・・・にもかかわらず、今季新たに投入されたシリーズには、わざわざ「ALL-TERRAIN(オールテレイン)」=“全地形対応”という名が冠されています。これはどう考えても自信の裏返しでしょっ!ってことで、ここでは洒落靴としても雨靴としてもスベらないマルチギアを欲していたモノ好き諸氏のため、その力量を解き明かしていきます。
【スベらない話①】
グリップ力UPで
アウトドア力もガツンとUP!!

ブランドストーンがオーストラリア南東部のタスマニア島で創業したのは、なんと1870年! 第二次世界大戦時にはオーストラリア軍に50万足ものブーツを供給するなど、自国では早くから“タフなワークブーツ”の象徴として信頼を勝ち得ていました。が、ファッションの素養が芽吹いたのは、意外にも1960年代に入ってから。永世定番である「ORIGINALS」シリーズの誕生が、ファン層拡大の契機になりました。両サイドにゴア(ゴム布)を、履き口にプルストラップを備えた同シリーズのブーツは、まず着脱がすこぶるイージー♪ 加えて油性仕上げ剤を使用して耐水性を向上させたレザーアッパーを採用しつつ、インジェクション製法でソールと結合させているため、縫い目がほぼなく、靴底からも水が侵入しにくい。でいてTPU素材のアウトソール自体も耐久性&グリップ力が高く、かかと部には高性能クッション材“XRD®”まで採用されてるから、足への負担も軽減してくれちゃう。な〜んてまさに実用的な機能のオンパレード! なのにこれがすこぶるベーシック顔で街履きにも馴染むという才色兼備ぶりで、洒落者たちの脳内に“ブランドストーン=サイドゴアの名門”という等式を深〜くインプリントすることになったんです。……が、なんと新シリーズの「ALL-TERRAIN」は、“全地形対応”という名前の通り、持ち前の万能力がより顕著に! キモはかのビブラム社と共同開発したオリジナルデザインのソールにあります。まず“滑りにくい”を突き詰めて調合されたラバー材を使うことで、雨だろうが油だろうが、どれだけスリッピーな環境下でもグリップ力を発揮。加えて底面に溝を縦横無尽に走らせることで、屈曲性を確保しつつ、泥落ちをよくするセルフクリーニング機能まで兼備してるんです。おかげで従来通りタウンユースはもちろん、キャンプやアウトドアシーンへの対応力もガツンとUP。パッと見「ORIGINALS」と「ALL-TERRAIN」の違いは微差。けどその持ち味はまったく別物。↓でこの永世定番と新定番の違いを比較してみるとしましょう。

ラストも製法も同じだけに顔つきはほぼほぼ一緒。ですがよ〜く見ると、まずヒール部分の仕様に違いあり。オリジナルスがヒールをステッチで補強し、ブーツ然とした見た目に繋げているのに対して、オールテレインはステッチを省くことで水への耐性を高めつつ、よりミニマル顔に。またソール形状も、クラシカルな趣の前者に対して、後者はよりデコラティブでスポーティな外観に設計されていることがわかる。
【スベらない話②】
細部に至るまで・・・
コンフォート&アクティブ




もちろんヒールやソール形状以外にも、オールテレインは“全地形対応”を目指して、随所に趣向が散りばめられています。少々の雨ならへっちゃら♪な、撥水加工済みのレザーアッパー。縫い目をなくして浸水を防ぐ、十八番のインジェクション製法。保温性&耐久性を向上させる、0.8mm厚のレザーライニング。足の負担を軽減するためにヒール部に設けた、高性能クッション材“XRD®”。オリジナルスから継承するところは継承しつつ、独自の機能も盛り込むことで、徹底してコンフォート&アクティブに履ける靴へと仕立てられてるんです。
color variation

【スベらない話③】
リラックスしたい休日を
最高に充実させてくれる
オ―ルテレインが定番好きに“絶対使える=スベらない”靴として響く理由は、なにもソールのグリップ力だけにあらず。ある時は街中で、ある時はアウトドアシーンで……。休日をどんな場所で、どんな服装で過ごしてもしっくり馴染んで、至福の時間に寄り添ってくれる。その見た目と機能、双方の万能力こそがスベり知らずたる最大の要因なのかも。




最近じゃ誰もが手軽にキャンプを楽しむようになった分、服装も極端にアウトドアテイストに振らず、街着の延長に。いつもよりコンフォートなアウターとパンツを着て、自然に囲まれながらじっくり過ごす、至福のコーヒータイム。ユルく過ごしたい時間には窮屈は大敵。歩きやすくて着脱しやすくてコンフォートな服にも馴染む・・・なんて想像しただけで、オールテレインをキャンプに帯同させたくなりません?



時間を忘れて没頭できる趣味の代表格と言えば、やっぱり読書。パーカの上にカバーオール羽織ってスウェパン履いて……なんてことさらシャレシャレにキメず、いつもの休日カジュアルに身を包んで、時間を忘れて読み耽る。これだけ肩の力を抜いた余暇なんですもん、コンフォートなサイドゴアはそら盤石ですよね。




もしかしたら一番贅沢な休日の過ごし方って、“何もしない”ことなのかも。最大の障害はスマホ。これを一切見ずに、ちょっとだけオシャレして、ただただボーッと考え事しながら水辺を歩く……なんて、平日しこたまバトルした大人にしか味わえないご褒美タイムじゃありません? ニット×シャツ×チノなんてクリーンな装いにもシンクロしてくれるのは、ご覧の通り。いやはや、オールテレイン恐るべし。
最後に・・・
ストーンと腑に落ちる
ブランドストーン4大SERIES解説
ブランドストーンはサイドゴアの名門。だからこそ、似た顔のモデルがあるわあるわ(焦)。モノ好きたる者、しっかり違いを見定められるよう、4つの旗艦シリーズの特徴を把握しておきましょ。
1960年代に誕生して以来、60年近くに渡って継続展開される、ブランドストーンの顔的存在。アイコニックなサイドゴアやグリップ力とクッション性に富んだソール、インジェクション製法などなど……、“どこでも履ける”という、ブランド哲学が反映された永世定番シリーズだ。甲の高さがもっとも低く、つま先部分が薄いラストも特徴。ローカットタイプの展開もあり。2万2000円。ブーツタイプは2万5300円。
アッパーやライニング素材に、動物由来の物質を含まないonmicro®マイクロファイバーを使用した、エコフレンドリーなシリーズ。ラストを含め、オリジナルスと基本設計は変わらないが、メンテナンスもイージーなうえ、ライナーには抗菌機能も備えるなど、デイリーユース向きな仕様に。2万3100円。
高機能クッション材“XRD®”をインソールにも採用するほか、レザーライナーも備えるなど、より履き心地を向上させるための工夫が凝らされたシリーズ。甲部分がオリジナルスよりも高く、つま先部分に厚みもあるので、存在感もアップ。2万7500円。
“水深11cmで4時間防水”を実現した、寒冷地向けの防水&防寒シリーズ。インソールにボア タイプのシープスキンを、アッパーの内側に断熱素材のシンサレートを採用するなど、保温性の確保にパロメーターを振っている。オリジナルスとクラシックと比べると、甲が一番高く、ボリューミーなフォルムが特徴。2万9700円。
問い合わせ先/シードコーポレーション ☎03-6709-9662 ブランドストーン公式ホームページ
写真/竹内一将(Ye) 文/黒澤正人 スタイリング/近藤有倫 ヘアメイク/HACHI(Bello) 編集/増井友則(e-begin)