コードバンはどうやってできるの? ってことで あのホーウィンレザー(米国シカゴ)へ行ってきた!!
コードバンの裏に刻印されるスタンプで、もはやブランド化。コードバンといえばの世界No.1タンナーのホーウィンレザー。価格高騰、品薄……と、いつもレザー界を賑わせるココって一体どんなとこなの? てなわけで、Begin編集部ミツキが、生の姿を探りにシカゴへとんだっ!!
意外と街中にある
馬尻革の聖地に来たよ~
オールデンに供給される特上コードバンは……
一枚作るのに
10か月もかかっていた〜!
旧式のなめし法”ピット槽”で4か月間もタンニンに浸すのだ!
今主流の、大量にそして早く皮をなめすことができるドラムに対し、ピット槽はプールのような旧式のなめし方。ホーウィンには25mプールくらいの大きさのピット槽が2つもある。コードバンはここで4か月もの間浸してじ~っくりとなめされる。皮の芯までタンニンを浸透させることで、唯一無二の表情へと仕上がっていく。
ホーウィンのコードバンができるまで
4か月もの間ピット槽でなめしたレザーは、その後の加工も多岐にわたる。コードバン層を出すためのシェービングや手塗りによる染色など、手間を惜しまず昔ながらの製法を守り続けている。コレが上質なコードバンが生まれる秘密なのだ。
前なめし
革剝き
コードバン層を削り出す
オイル浸け
手塗り着色
2週間自然乾燥
まず原皮から皮脂や毛を除く作業に始まり、4か月間タンニング。その後、2度にわたるコードバン層を出すためのシェービング作業→着色した後は色が均等に入るように行うスリーキング→革をソフトにするためのオイル浸けなど、完成までに10か月もの時間を要するのだ。
創業以来変わらない古きよき製法を堅持
旧式のマシンによる味わい深いデニムやふ〜っくらとした裏毛。ソレと同じように、ホーウィンコードバンも旧式の製法による温もりあるレザーでした。もちろん、機械化が当たり前の時代、農耕馬の減少による原皮の供給難ということもありますが、無機質なモノを大量生産するのではなく、昔ながらのピット槽でゆっくりなめす。一度になめすことができるのが1000枚、完成まで10か月の月日を要しますから、原皮の供給があったとしても生産数は限られてしまいますよね。
でもこの手法をやめ、生産至上主義に走った瞬間、オールデンの靴でソレとわかる唯一無二の〝鈍光〞は失われてしまうでしょう。今やコードバンを生産するのは世界でたった数社。しかも、古きよき製法を守り続ける姿勢に触れ、ホーウィンコードバンは希少というより貴重だ! と心から思ったのでありました。
History of HORWEEN LEATHER
1905年シカゴに創業。1913年にオイルドレザーの元祖クロムエクセルレザーを開発。コードバンも伝統的な製法で生産し続ける。’70年代に生産中止を検討したが、オールデンの救済により復活。以来、蜜月の関係を築く。
初心者のための
『コードバン』ってナニ?
農耕馬がどんどん減少=原皮の供給も年々減少
写真上は腰からお尻にかけての部分。牛は縦割り、馬は横割りにカットするのが基本らしい。カナダとフランスから仕入れを行っているが、カナダ産よりフランス産の原皮のほうが大きいらしい。写真左は社長の息子のニック・ホーウィン氏。
上の腰部分がホースハイドという革になり……
その下部分が”コードバン”。
メガネと呼ばれてます(笑)
こんな感じ♡
腰部分はコードバンではありません!
コードバンとは、いわばタコのようなお尻の奥に潜む硬い繊維質。そのレザーのダイヤモンドと呼ばれる層を丁寧に削り出す。見た目の形状から”メガネ”と呼ばれ、英語ではBUTTS。
[ビギン2012年10月号の記事を再構成]