パタゴニア、海洋投棄された漁網から作ったダウンを新発売

リサイクルと高機能を両立させ、着心地よく＆暖かく

昨今はSDGsが世界的な関心事となっていますが、これよりはるか以前、どこよりも早くから環境問題に積極的に取り組んできたのがアウトドアブランドのパタゴニア（patagonia／本社：米国カリフォルニア州）です。たとえば、世界で初めてコットン製品の全てをオーガニックコットンに変更したり、他社に先駆けてリサイクルされたペットボトルでフリースを製作したり……と、地球環境を守る活動の最前線に立ってきました。

同ブランドは、海洋プラスチック汚染の大きな要因となっている漁網の海への廃棄量を抑制し、かつバージン・プラスチックの使用量を削減することにも努めています。米・カリフォルニアを拠点とするブレオ社とともに、南米（チリ、アルゼンチン、ペルー）の50以上の漁業共同体と提携を結び、廃棄された漁網を集めて洗浄・分類したのち、それらを原料にした100％リサイクル・ナイロン糸の「ネットプラス」を生産。それを帽子のつばに利用してきたほか、今年（2021年）秋冬からは、そのリサイクル糸で織り上げた生地で製作したアパレルの展開もスタートさせたのです。

ここに紹介する「ダウンドリフト・ジャケット」（トップ写真）もそのひとつで、シェルに「ネットプラス」のみからなるファイユ（経畝のある平織り生地の一種。しなやかでコシに富む）を使い、その生地に「PFCフリーDWR加工」（過フッ素化合物不使用の高耐久性撥水コーティング）を施すことで、小雨程度なら気おくれなく着用できるアウターに仕上がっています。ちなみにリサイクル生地とはいえ、バージン・プラスチックから作られた生地と比べても、耐久性や機能性でなんら劣る点がないことが客観的に証明されております。

また、裏地も「PFCフリーDWR加工」済みのリサイクル生地で、インサレーション（保温用中綿）のダウンもリサイクル…と、ほとんどの素材がリサイクルであり、縫製などはフェアトレード・サーティファイド（発展途上国における貧困層の生活改善と自立を支援する公正な取り引きであることの証明）によっており、要は、どこをとっても環境にも人にも配慮した一着となっています。ということで、この冬は「ダウンドリフト・ジャケット」を着て、カラダもココロも温かく過ごしましょう！

レトロ感あるデザインながら、シルエットはシャープでモダンな印象。裏地に、表地と同様に「PFCフリーDWR加工」が施された2.2オンス・リサイクル・ポリエステルのタフタ（タフタ＝細い経糸と太い緯糸で平織りした生地の一種。薄く柔らかいが、ハリに富む）を採用し、インサレーションにダウン製品からリサイクルされたダックダウン（アヒルの羽毛）やグースダウン（ガチョウの羽毛）を使用。フードは隠しドローコードによって調節ができ、取り外しも可能だ。左胸のインサイドジップポケットは貴重品収納に重宝する。フロントジッパーは上からでも下からでも開閉できるツーウェイ・タイプのYKK「ビスロン®」ジッパーで、風を防ぐ前立てにメタルスナップを設けて保温性を強化している。

表身頃の左右にあるパッチ型のウエストポケットは、それぞれが2か所からアクセスできる構造になっており、ハンドウォーマーとしても利用することができる（写真）。

4つのフラップポケットが1960年代の米軍遠征用ジャケット「M-65ジャケット」を彷彿させる、この「イスマス・パーカ」にも「ダウンドリフト・ジャケット」同様、表地に漁網をリサイクルした4プライ・4.2オンス・リサイクル・ナイロン・フェイユ「ネットプラス」（「PFCフリーDWR加工」済み）を使用。ボディ＆フードの裏地に8.7オンス・リサイクル・ポリエステルの6mm厚パイル・フリースを採用し、袖に吸湿発熱性をもつ60gポリエステル「サーモ グリーン」の中綿を仕込むことで高い保温性を実現している。フードは着脱可。全6サイズ。ミリタリーテイストのベイジン・グリーン（写真）のほか、インク・ブラック、クラシック・タン、ニュー・ネイビーもあり。ベトナム製。3万4100円

問い合わせ先／パタゴニア日本支社 カスタマーサービス
https://www.patagonia.jp/

※表示価格は税込

文／山田純貴