特集・連載
ウエアハウス 藤木将己さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #020
100人をめぐる、これからのシン・スタンダード モノを持たない風潮の今、本当に価値のあるモノってなんだろう? 身の丈に合わないモノはいらないし、ファストな使い捨てモノなんてもっといらない! とはいえ一切無駄を省いた生活もなんだか味気ないような……。大切なのは、何を所有するかよりも、どう向き合うかという視点。モノ選びの賢人たちは今、何を選び、どんなライフスタイルを志向するのか? 100人への取材を通じて、これからのスタンダードを探ります。 この記事は特集・連載「100人をめぐる、これからのシン・スタンダード」#20です。
「ポテンヒットどころかホームラン!な国産野球帽」
ウエアハウス プレス 藤木将己さん
ベースボールキャップといえば、アメリカブランドが主流です。ところが近年作りが簡素化されてきていて、少し物足りない部分もあったんです。
そんなときに現れたのが「ポテン」。長年野球に打ち込んだ身としても馴染みが深く、それでいて今どきな雰囲気もある日本製の野球帽にグッときちゃったんですよね。
数多くの日本プロ野球チームのキャップを手掛けるファクトリーで作られたこのキャップは、実際に選手が被るのと作りが一緒なんです。内側を周回するテープ“スベリ”には、帽子専用の千鳥縫いが使われ、通気孔“穴かがり”の処理も超丁寧。極め付けにツバにはステッチが19本も!
米国のベースボールキャップにはない日本人の実直さを物語る作り込みは、脱帽モノですよね。19本のステッチは耐久性アップのためですが、使い込むとステッチの部分だけ色が残ってデニムみたいに経年変化が楽しめるのも面白い。作り手は狙ってはないでしょうけど(笑)。
作りは本格だけど、いろんな生地を柔軟に取り入れ、シルエットも程よく丸くて街向き。野球に打ち込んでいた学生時代、本物の野球帽は強豪校だけが被れる憧れの存在でした。そんな馴染みは深いけど遠かった存在を、「ポテン」はグッと身近にしてくれたんです。
POTEN[ポテン]
ベースボールキャップ
プロのための野球帽を手掛ける老舗ファクトリー謹製。本来の角張ったフォルムは程よく丸みが出るよう構築され、シルエットは街向きに。ワークウェアに使われるダック地を採用した。「WK CAP」7400円(タマニワ)
ウエアハウス プレス
藤木将己(ふじきまさき)
1974年生まれ。ヴィンテージデニムを研究&忠実再現する「ウエアハウス」の名物プレス。小学4年生から約13年間野球一筋を貫き、キャップはもちろんグローブも蒐集。キャップのツバはしっかり曲げる派。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。