特集・連載
レミ レリーフ 後藤 豊さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #019
100人をめぐる、これからのシン・スタンダード モノを持たない風潮の今、本当に価値のあるモノってなんだろう? 身の丈に合わないモノはいらないし、ファストな使い捨てモノなんてもっといらない! とはいえ一切無駄を省いた生活もなんだか味気ないような……。大切なのは、何を所有するかよりも、どう向き合うかという視点。モノ選びの賢人たちは今、何を選び、どんなライフスタイルを志向するのか? 100人への取材を通じて、これからのスタンダードを探ります。 この記事は特集・連載「100人をめぐる、これからのシン・スタンダード」#19です。
「生活感がにじまないのに生活空間になじむ」
レミ レリーフ デザイナー 後藤 豊さん
観葉植物で癒やされたいのですが、鉢やら鉢受けやらが見えると、どうしても生活感が出ちゃうじゃないですか。姿形もどんどん変わるし、どう置いていいかわからない。だから置かずにいるんだけど、すると部屋が殺風景で……。
流木とアクリルを組み合わせて作られたブルーナチュールのオブジェは、そんな僕の悩みを晴らしてくれた運命の存在。フランスものらしく洗練されているんだけど、気泡が交じったりしていて雑然としたところがまたいい味を出している。自然が活きた、シンプルな美の表現に落ち着きます。
出会いは十数年前に覗いたロスの家具店。でもそのときは、欲しいけど当時住んでいた家に馴染む気がしなくて買わなかった。それが最近、やっと迎える準備ができたと感じまして。気づいたらリビングに3つ。時世で家にいる時間が増えたことにも背中を押されました。
オブジェには底にLEDを仕込んで、間接照明としても活用しています。流木の陰影が浮かびあがる様子がステキなんですよ。
正直、ほかの使い道はあまりないのですが、表面が冷たくて気持ちいいのか、日中にふと見るとよく猫のブリちゃんが乗っている。好きな猫と家具に囲まれ、コーヒーを飲みながら映画を観る──。最高のオフの過ごし方ですね。
Bleu nature[ブルーナチュール]
流木オブジェ
自然の素材をモダンに昇華する作風が評価される仏ブランドより。流木とアクリルでできたオブジェ&テーブルは、美術品を彷彿させる。テーブルは廃番。オブジェ:W15×H20×D15cm。6万6000円(アスプルンド恵比寿)
レミ レリーフ デザイナー
後藤 豊(ごとうゆたか)
1970年生まれ。2008年にレミレリーフを創立。染色や加工によってヴィンテージの味を表現したクロージングが、絶大な評価を得る。家具はヨーロッパのミッドセンチュリーものが好き。根っからの愛猫家。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。