クリエイティブディレクター 南 貴之さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #018
「驚きました。絵付けがないとこんなにモダンなんだ!って」
クリエイティブディレクター 南 貴之さん
古い九谷焼はいくつか持っているのですが、正直、色数の多さがちょっとな……と感じることもあって。だから、このノウェムとの出逢いは衝撃的でした。九谷焼らしいレトロな形だけど、縁錆だけを残してあとは真っ白。最大の特徴である絵付けがないとこんなにモダンなんだ!って。
石川県を拠点にするノウェムのデザイナーが、以前、古い問屋さんに行ったら、そこに九谷焼の原型のような真っ白の器がたくさんあったそうです。おそらく絵付け前のものがデッドストックになっていたか、間違えて絵付けをせずに焼いたものが残っていたんでしょうね。
それを実際に製品化したのがノウェムの始まり。九谷焼の絵付けの技巧は素晴らしいけど、自分で使うならこのくらいモダンなほうが好みです。
元が和食器だから和洋中が混在する日本の食事に合うし、白磁のように洋風のテーブルにも合う。日本の生活様式も昔とは違うし、慣習に抗っている感じも面白い。何より絵付けの工程がないぶん、すごく安価です。
伝統を重んじる心は素敵だけど、一番大事なのは現代の人が使いやすく、その暮らしに馴染むことだと僕は思います。しらすに大根おろしをのせて、しょう油をちょっとかけて。これで食べたら、ますます美味しいだろうなぁ。
NOVEM[ノウェム]
九谷焼 縁錆皿
絵付けこそされていないものの、伝統の九谷焼と同じ陶石・陶土を使い、石川県で生産されている。電子レンジや食洗機もOK。小鉢1430円、菊皿(大)1980円、菊皿(中)1430円、モッコ皿(小)880円(カザハナ)
クリエイティブディレクター
南 貴之(みなみたかゆき)
1976年生まれ。現代の洗練された日常着を提案するグラフペーパーと、衣食住でグッドデザインや用の美を追求するフレッシュサービスのディレクター。その知識を活かした『Begin』での連載「古具のほそ道」も好評。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年11月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。