特集・連載
原宿キャシディ 八木沢博幸さんをめぐる、これからのシン・スタンダードとは #011
100人をめぐる、これからのシン・スタンダード モノを持たない風潮の今、本当に価値のあるモノってなんだろう? 身の丈に合わないモノはいらないし、ファストな使い捨てモノなんてもっといらない! とはいえ一切無駄を省いた生活もなんだか味気ないような……。大切なのは、何を所有するかよりも、どう向き合うかという視点。モノ選びの賢人たちは今、何を選び、どんなライフスタイルを志向するのか? 100人への取材を通じて、これからのスタンダードを探ります。 この記事は特集・連載「100人をめぐる、これからのシン・スタンダード」#11です。
「“薄手”のビーントートは歴史を超えた発明だ!」
原宿キャシディ 店長 八木沢博幸さん
ヘビーデューティブームの頃から愛用しているエル・エル・ビーンの傑作厚手バッグ、通称「ビーントート」。アメカジ好きにとっては思い入れが深く、僕自身、あちこち擦り切れてもビクともしない40年選手を学生時代から使っています。
だから、より薄くて軽いキャンバス製のグローサリー・トートには、やや懐疑的なところもありました。でも、レジ袋が有料化された今あらためて思うのは、エコバッグとしての実用性が発明級だということ。
薄軽でありながら、底を三角に折って縫い上げるエル・エル・ビーンお得意の作りによって、耐久性は十二分。大量の食材を買い込んで自炊することも多い時代のニーズに合っています。薄軽な分、畳んでコンパクトに持ち歩けるのもいい。2000円台というプライスも嬉しいですよね。
さらに、このモデルは内側がコーティングされており、野菜の汁などが染み出しても気になりません。むしろ、こまめに洗濯できるのが嬉しかったりね(笑)。洗うとパッカリングが目立って立体感が増すところも、エル・エル・ビーンならでは。
僕は服もバッグも使い込んで自分のモノになっていく過程が好きで、この写真のようにクチャクチャになった表情を愛でるのも、また楽しいんです。
L.L.Bean[エル・エル・ビーン]
グローサリー・トート
定番のビーントートが24オンスなのに対して、半分以下の11オンス。カラーバリエーションは全5色あり、「原宿キャシディ」でも一部取り扱いあり。約W45×H37×D17cm。2640円(L.L.Beanカスタマーサービスセンター)
原宿キャシディ 店長
八木沢博幸(やぎさわひろゆき)
1965年生まれ。セレクトショップ「原宿キャシディ」で接客や海外での買い付け、オリジナルデザインを手掛けて40年。幅広い知識と誠実な人柄で絶大な信頼を置かれる、トラッドの生き字引き的存在。
※表示価格は税込み
[ビギン2021年10月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。