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2019ワールドカップ日本大会で「ジャッカル」を連発した姫野和樹選手

2022年の新リーグ創設に向けて、今シーズンが最後の開催となるジャパンラグビートップリーグ(以下トップリーグ)が佳境を迎えている。プレーオフトーナメント準決勝の組み合わせは、トヨタ自動車vsパナソニック(5月15日・花園)、サントリーvsクボタ(5月16日・花園)となり、今シーズンその強さを見せてきた4チームが残る形となった。

一方で、ラグビーワールドカップ2019日本大会以来1年半ぶりに活動を始める日本代表の動向も徐々に見えてきた。

4月にはジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチが今シーズンのトップリーグを踏まえて選出した代表候補54選手が発表され(うち2選手は追加発表)、ここからさらに絞り込んだ35選手が下記の試合に臨むこととなる。

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【2021年度男子15人制日本代表候補選手】
※選手名、所属チーム名に続く数字はキャップ数(「-」はノンキャップ)。
※[RWC2019]はラグビーワールドカップ2019日本代表メンバー。

<FW>29名

■PR
淺岡 俊亮(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)  -
稲垣 啓太(パナソニック ワイルドナイツ)  34[RWC2019]
ヴァル アサエリ愛(パナソニック ワイルドナイツ)  14[RWC2019]
垣永 真之介(サントリーサンゴリアス)  9
北川 賢吾(クボタスピアーズ)  3
具 智元(HONDA HEAT)  13[RWC2019]
中島イシレリ(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)  8[RWC2019]
クレイグ・ミラー(パナソニック ワイルドナイツ)  -
森川 由起乙(サントリーサンゴリアス)  -

■HO
坂手 淳史(パナソニック ワイルドナイツ)  21[RWC2019]
中村 駿太(サントリーサンゴリアス)  -
彦坂 圭克(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)  -
堀越 康介(サントリーサンゴリアス)  2

■LO
マーク・アボット(宗像サニックスブルース)  -
ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ)  16[RWC2019]
長谷川 崚太(パナソニック ワイルドナイツ)  -
ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機ジュビロ)  16[RWC2019]
ジェームス・ムーア(宗像サニックスブルース)  8[RWC2019]
リアキ・モリ(日野レッドドルフィンズ)  -

■FL
小澤 直輝(サントリーサンゴリアス)  4
ベン・ガンター(パナソニック ワイルドナイツ)  -
ジャック・コーネルセン(パナソニック ワイルドナイツ)  -
松橋 周平(リコーブラックラムズ)  8
ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ)  8[RWC2019]
リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス)  68[RWC2019]

■NO8
テビタ・タタフ(サントリーサンゴリアス)  3
ナエアタ ルイ(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)  -
アマナキ・レレイ・マフィ(キヤノンイーグルス)  27[RWC2019]
姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ/ハイランダーズ)  17[RWC2019]

<BK>25名

■SH
荒井 康植(キヤノンイーグルス)  -
小山 大輝(パナソニック ワイルドナイツ)  -
齋藤 直人(サントリーサンゴリアス)  -
茂野 海人(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)  10[RWC2019]
中嶋 大希(NECグリーンロケッツ)  2

■SO
田村 優(キヤノンイーグルス)  63[RWC2019]
前田 土芽(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)  4
松田 力也(パナソニック ワイルドナイツ)  24[RWC2019]

■CTB
梶村 祐介(サントリーサンゴリアス)  1
シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)  -
中村 亮土(サントリーサンゴリアス)  24[RWC2019]
ディラン・ライリー(パナソニック ワイルドナイツ)  -
ラファエレ ティモシー(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)  23[RWC2019]

■WTB
江見 翔太(サントリーサンゴリアス)  -
ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス)  -
シオサイア・フィフィタ(近鉄ライナーズ)  -
セミシ・マシレワ(近鉄ライナーズ)  -
中野 将伍(サントリーサンゴリアス)  -
松島幸太朗(ASMクレルモン・オーヴェルニュ)  39[RWC2019]
アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)  4[RWC2019]
レメキ ロマノ ラヴァ(宗像サニックスブルース)  15[RWC2019]

■FB
尾﨑 晟也(サントリーサンゴリアス)  3
野口 竜司(パナソニック ワイルドナイツ)  13
ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタスピアーズ)  -
山中 亮平(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)  18[RWC2019]

【今後の予定】

・5月24日 合宿メンバー35選手(予定)発表
・5月26日~6月8日 合宿(大分県別府市)
・6月12日(土)日本代表強化試合 ※対戦相手未発表
 (静岡県・エコパスタジアム)
・6月26日(土)ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズvs日本代表
 (スコットランド・BTマレーフィールド)
・7月3日(土)アイルランド代表(アイルランドXV)vs日本代表
(アイルランド・アビバスタジアム)

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ご覧の通り、54名中21名は前回ワールドカップを経験したメンバーだ(代表入りしたものの出場できなかった選手も含む)。上記の代表候補の発表に際して、男子15人制日本代表ナショナルチームディレクターの藤井雄一郎氏は「だいたい絞り込めてはいる」と、前回ワールドカップのメンバーが中心になることを示唆するとともに、「数名はこれからの(トップリーグでの)活躍も見て判断する」と代表経験が浅いながらもポテンシャルのある選手たちへの期待も口にした。

スーパーラグビーアオテアロア(NZ)で新人王を受賞し引き続き活躍中のNO8/FL姫野和樹

今回のセレクションポリシーについて、藤井チームディレクターは代表を選考するジョセフヘッドコーチに代わってこのように説明した。

「前回(ワールドカップ)同様、どれぐらい強度の高いプレッシャーの中でプレーできるか」

ワールドカップ以来一度も活動できていない日本代表は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの4協会が4年に1度だけ一体となり編成する代表チーム「ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ」(以下ライオンズ)といきなり対戦することとなる。

国内での厳しい合宿や強化試合を挟むとはいえ、シックス・ネーションズや欧州のリーグで鍛え上げられフィジカルも充実しているライオンズのメンバーとの最初で最後かもしれない特別な一戦に臨むにあたっては、強度の高いテストマッチの経験値は不可欠だ。準備期間も鑑みればワールドカップメンバー中心の構成になることは当然であり、特に、日本に帰国せず直接渡英する予定のハイランダーズ(ニュージーランド・スーパーラグビーアオテアロア)NO8/FL姫野和樹と、ASMクレルモン・オーヴェルニュ(フランス・TOP14)FB/WTB松島幸太朗は、その出色のパフォーマンスからも選出濃厚と言えるだろう。

TOP14(フランス)のクレルモンでよりランに磨きをかけトライを量産するFB/WTB松島幸太朗

代表になるにあたり3年居住などの条件をクリアする必要がある外国人選手については、藤井チームディレクターによれば今年10月に代表資格取得予定のCTBディラン・ライリーを除き、すでに代表候補全員が日本代表資格を有しているという。特にバックファイブと呼ばれるFW第2列と第3列、そしてBKのWTBはノンキャップの外国人選手が多く、新たな戦力として食い込んでくる可能性が高そうだ。

日本人を中心に多様なルーツを持つ選手たちが「ONE TEAM」となる日本代表をとりまとめるキャプテンは、引き続きリーチ マイケルとなる見込み。藤井チームディレクターは明言を避けたものの、経験値の高いリーチがスキッパーを務めることをうかがわせた。これも、短い準備期間でチームのパフォーマンスを最大化するための施策ということになろう。

2023年にフランスで開催されるワールドカップに向けて、このリスト外の選手が入る余地がないのかと言えば、そうではない。今後の台頭が期待される若手選手はもちろんだが、メンタル面のリフレッシュ等を理由に今回は代表を辞退したHO堀江翔太(パナソニック ワイルドナイツ)、SH流大(サントリーサンゴリアス)ら経験値の高い選手が後々代表に復帰する可能性も大いにある。彼らとポジションを争う現代表候補にとっては今のうちに定位置争いでリードし、アピールしていきたいところだろう。

藤井チームディレクターは「ワールドカップ後は何度か合宿や試合を試みた(が、コロナの影響で実現できなかった)。今回は必ず(日本代表の試合を)開催しないといけない」と、日本代表の活動再開に向けて強い意欲を示している。ライオンズ戦以降も国内外の両パターンでの開催を想定したマッチメークの協議が行われているようだが、いずれにしても無事にテストマッチが開催され、新星日本代表が第一歩を踏み出すことが今は最重要だ。

日本代表の合宿参加メンバー35名(予定)は、トップリーグ2021プレーオフトーナメント決勝の翌日、5月24日(月)に発表される。そして6月26日のライオンズ戦を前に、一日限りの復活となるサンウルブズと6月12日に強化試合を行う予定だ。

編集者兼ライター
齋藤龍太郎

《ワールドワイドにラグビーを取材中》
編集者として『ラグビー魂』をはじめとするムックや書籍を企画。2015年にフリーの編集者兼ライターとなり、トップリーグをはじめ日本代表の国内外のテストマッチ、ラグビーワールドカップを現地取材。フォトグラファーとしても活動。著書に『オールブラックス・プライド』(東邦出版)。

文・撮影/齋藤龍太郎

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