wook vol.11

日本酒の製造工程

本間昭光

本間昭光

プロデューサーとして、アレンジャーとして、作曲家として、誰もが口ずさめるヒットソングを数多く生み出してきた本間さんは、大のモノ好き。興味を持ったらとことん!な性格から、あらゆるモノに深い思い入れがあります。そんな本間さんの愛するモノの中から、音にまつわるアイテムにフォーカス。その魅力&エピソードを語っていただく連載、♯06はMADE IN JAPANです!!

まさにマシュマロタッチな
ガーゼに包まれるシアワセ♡

UCHINOのマシュマロワッフルガーゼメンズスタンドカラーカーディガン

「UCHINO」のリラックスウェア「マシュマロワッフルガーゼメンズスタンドカラーカーディガン」。プレゼントとしていただき、名前どおりの身体を優しく包み込むマシュマロタッチに惚れ込んだ。「UCHINO」は1947年設立のタオルやライフスタイル商品を手掛ける日本ブランド。1万5950円(内野 ☎03-3661-7501  https://www.uchino.co.jp/

いつもお世話になっている渡辺美里さんに、誕生日プレゼントとしてガーゼの羽織りものをいただきました。「作業するときに着てくださいね」と、暗黙のプレッシャーもいただいたのはさておき(笑)、これがじつに着心地がよくてノンストレスを体現するもの。「UCHINO」というライフスタイルブランドの一着で、どこまでも優しく身を包んでくれるんです。

どんなにストレッチの効いたTシャツを着てもどこかしらに突っ張りを感じるものですが、この上着はストレッチがないのに着ていることを忘れるほど心地よい。付属のタグを見ると「マシュマロワッフルガーゼ」と素材の説明があり、なんでも、撚りの少ない糸を独自技術で4重に織りあげたガーゼ(特許取得済み)を用いているのだとか。マシュマロの例えは伊達じゃありません。

日本アトピー協会推薦品とも書かれているので、心地よさには肌への優しさも影響しているのでしょう。チクチクしがちな首裏のネームラベルがシールになっていて、剥がして着られるところも気が利いていますよね。

UCHINOのマシュマロワッフルガーゼメンズスタンドカラーカーディガン

音楽制作に限らず、ストレスは発想の敵! UCHINOの羽織りものは本当にありがたい贈り物でした。あまりに気持ちよくて、着ていると眠くなるのはご愛敬です。

“きっちり”と“曖昧さ”のバランスに
日本のモノづくりのよさがある

UCHINOのマシュマロワッフルガーゼメンズスタンドカラーカーディガン

染めの美しさや風合いも素晴らしくて、日本のモノづくりのレベルの高さを感じます。日本に木綿が普及したのは戦国時代以降とのことですが、外から入ってきたものを自分のものにする、日本化するのは、ニッポンの真骨頂かと。お茶だって鎌倉時代まではなかったといいますからね。

こと表面に浮かぶ凹凸の陰影の美しさは天下一品で、いかにも日本的な繊細な美意識を感じます。

ちょっと脱線しますが、日本の寺はあえて柱をまっすぐ作らず、ムラをつくることで、その季節や時刻の光の当たり方によって表情を変えるように作られていると聞いたことがあります。これを裏付けるように、鉄やコンクリートなんかの新しいお寺だと、どうにものっぺりとした印象に見えてつまらない。

桂離宮の石の配置も雨が降ったときに初めて色が滲んで陰影が生まれ、美しく見えるように計算されているといいます。何度見に行っても感動があるのは、歪みや曖昧さがあるからこそかもしれません。

桂離宮

日本のモノづくりは、きっちり作るのが上手だけれど……というニュアンスで表現されることが多いですが、ボクは“きっちり”と“曖昧さ”のバランスに日本のよさがあると思っています。一見気付きにくく、ともすると凡庸に見えたものが、季節の移ろいや心情によって、圧倒されることもあるからわからない。

かつて’80年代には、ギターなんかもマーチンやギブソンに比べ日本製のものは、音が味気ないと言われていました。でも、今になって’80年代に作られた日本製のギターの評価が上がってきた。カドがとれて、だんだんいい音が鳴るようになってきたといわれるんです。

木というものは成長します。経年によって目が詰まるとともに、いい響きを木が覚えて鳴りやすくなるというのは、クラシックの世界でも当たり前のように言われていること。ヴァイオリンに誰が所有していたかの「血統書」が存在するのはそのためで、ヘタな人が演奏すると楽器のキゲンも悪くなる。感覚的な話ですが、ボクも実体験として経験したことがあります(他人のヴァイオリンを弾いたら案の定、音のキゲンが悪くなって怒られました)。

ギターがいい音になってきたのはそもそもの作りがよかったからにほかならず、今これが評価されているのは喜ばしいことです。

日本酒新時代! 最先端は化学的分析を駆使した酒造り

日本酒の製造工程

酒をモノというかどうかはさておき、モノづくりといえば最近は「日本酒」造りもアツいです。昔は頑固一徹な杜氏さんが経験を元に味を決めて……というイメージがありましたが、今は温度から何から何まで化学的な分析に基づいて酒造りを行う若い杜氏や経営者の方が台頭してきた。ボクはこれも必然と思っています。

勢いと感覚、経験だけでモノづくりを行うには限界があります。分析や研究というものが絶対に必要で、それは音楽制作にも同じことが言えるのです。

コンプリート・アレンジング・メソッドの表紙

楽曲アレンジの教則本としてバイブルのように扱われる書籍「コンプリート・アレンジング・メソッド」。(ATN https://www.atn-inc.jp/products/detail13077.html)

アレンジメソッドのバイブルに、ネルソン・リドルというアメリカの編曲家が書いた「コンプリート・アレンジング・メソッド」という本があり、その中に以下のような記述があります。

フレンチホルンはユニゾン・パッセージやソロでも美しいが、高い音のくり返しを避けるように注意する必要がある。(中略)高い音を正しく出すことは非常に困難であるし、たとえ優れたホルン・プレイヤーでも、音が割れてしまいやすい。私は非常に優秀なホルン・セクションが、パーフェクト・テイクを録ろうとして、同じパッセージを何度も何度もくり返しているのを聞いたことがある。毎回いずれかのプレイヤーが音をはずしてしまう。だから、あなたの時間と腹立ちを節約するために(そしてホルン・プレイヤーが疲れ切ってしまわずに、次の日も戦えるように)、ホルン・パートを向こう見ずに高くしてはいけない。

これは、どんなにいいメロディだと思っても、演奏のしやすさにまで気を配らない譜面は成り立たないことを示唆しています。そこまで多角的に分析しなければ、いい楽曲は生まれないのです。

最近は演奏を前提としない楽曲もあり、それはそれで一ジャンルなので否定するつもりではないですが、楽器の仕組みを理解していることは大切だと感じます。一番キレイに演奏できるところを理解しているかしていないかで、完成度が違ってくる。

また脱線してしまいましたが、つまりは酒でも米のなんたるか、発酵の仕組みのなんたるかを分析・研究してこそ旨い日本酒が造れるということを、化学的分析を駆使する若い力の台頭が物語っている。

実際、彼らのつくるお酒は、昔のそれのようにそのときそのときで味にブレがありません。いつでもウマい酒が呑めるのは、幸せなことこのうえないですね。ちなみにボクのおすすめする日本酒は、

  • 会津・宮泉銘醸の「寫樂(しゃらく)」
  • 新潟・加茂錦酒造の「黄水仙」
  • 埼玉・神亀酒造の「純米酒」

これらが、じつにウマい。味の形容についてはプロフェッショナルに譲りますが、どれも若い杜氏さんや経営者の方が頑張って造っているお酒です。日本酒の世界はどんどん新しい人が出てくるから、目が離せません。

それからボクは、日本酒を大切な方へプレゼントするのが好きです。その年に飲んで一番ウマい!と思ったお酒をプレゼントすれば、毎年楽しみにしてくださると思うので。

渡辺美里さんには、毎年“一升瓶”で贈らせていただいてます(笑)。

本間昭光

本間昭光(ほんま あきみつ)
1964年大阪生まれ。’88年に「マイカ音楽研究所」に入学。松任谷正隆氏に師事し、作曲アレンジを学ぶ。’89年、上京とともに「ハーフトーンミュージック」に所属し、アレンジャーやサポートミュージシャンとしての音楽活動を開始。’96年に自身のプロダクション「bluesofa」を設立する。

’99年にak.homma名義でポルノグラフィティのトータルプロデュース・作曲を担当。「アポロ」や「サウダージ」等のヒット曲を数々生み出す。2009年には、いきものがかり「なくもんか」の編曲を担当し、その後も「ありがとう」など、多くの楽曲のサウンドプロデュースを担う。最近ではアレンジを手掛けた筒美京平先生のトリビュートアルバム『筒美京平SONG BOOK』が発売中。また2020年にバンダイナムコアーツとともに立ち上げた「Purple One Star」レーベルでは、レーベルプロデューサーを担当。80’sの世界観を完全に再現した第一弾アーティスト、降幡 愛が話題に。4月18日には、初の7インチシングルレコード「AXIOM」をリリース。同レコードにB面に収録されている「うしろ髪引かれて」のMVはこちら↓↓↓

降幡 愛オフィシャル YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCWfhLoV53Rwdc9WGw735IUg

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