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2020年の日本シリーズはソフトバンクホークスがジャイアンツをくだし史上初となる2年連続の4連勝で日本一に

写真:朝日新聞社/ゲッティ

「4勝0敗」が巻き起こした議論

2020年のプロ野球日本シリーズは、4勝0敗で福岡ソフトバンクホークスが読売ジャイアンツ(巨人)を下し、史上初、2年連続の4連勝で日本一になった。
 その強さが圧倒的だったため、ファンの間で「セ・リーグはパ・リーグに、もう勝てないのではないか?」という議論が随所で起こった。
 本当にパ・リーグはセ・リーグよりはるかに強いのだろうか。
 ここでは、過去に行われた日本シリーズ全71回の勝敗の推移を振り返ることで、両リーグの力関係を推察してみようと思う。

初期の時代は水原巨人対三原西鉄の争い

 1950年に日本シリーズが初開催されて以来、1951年から1955年まではセ・リーグの球団がチャンピオンフラッグを堅守している。

プロ野球 日本シリーズ1950年から1959年のセ・パ戦績

 その中心は、戦前からプロ野球を牽引していた巨人だった。1951年から3年連続を含め4度日本一を奪取。「打撃の神様」川上哲治に、豪腕エースの別所毅彦らの猛者が揃い、水原 茂監督が颯爽と指揮する野球で揺るぎない地位を確立した。
 そこに待ったをかけたのが、福岡の西鉄ライオンズである。学生時代から水原監督のライバルだった三原 脩監督が、中西 太や豊田泰光、「鉄腕」稲尾和久らの若武者を大暴れさせる「三原マジック」により、1956年から3年連続で水原巨人を退け日本一となった。

一時代を築いた巨人V9時代の到来

 その後、両リーグは伯仲した状態が続いたが、突出してきたのが川上監督就任後の巨人だった。
 すでに名実ともに大スターだった「ミスタープロ野球」こと長嶋茂雄と、一本足打法で本塁打を量産していた王 貞治による「ON砲」を中軸に据え、ときには「非情」といわれながらも勝利に徹する川上監督の采配により、1965年から1973年まで9年連続日本一、いわゆる「V9」を達成した。

プロ野球 日本シリーズ1960年から1974年のセ・パ戦績

 その巨人がV10を逃すと、1974年にはロッテオリオンズが、翌1975年からはV9時代に5度日本シリーズで敗れていた阪急ブレーブスが3年連続で日本シリーズを制覇。だが、1978年に広岡達朗監督による管理野球でヤクルトスワローズが球団創設以来初の日本一をもぎ取ると、翌1979年からは赤ヘル旋風で台頭してきた広島カープも続いて「江夏の21球」などにより2連覇を成し遂げる。翌1981年には、江川 卓や中畑 清、原 辰徳など、V9体制から一新された次世代選手の躍進で巨人が日本一となり、セ・パの力関係は交互に綱を引き合う状態となった。

1980年代から西武の黄金時代に

プロ野球 日本シリーズ1975年から1992年のセ・パ戦績

 そのような折、新たに登場してきたのが西武ライオンズである。ヤクルトで実績を上げた広岡監督が1982年に西武の指揮を始めると、いきなり日本一に。翌1983年には、巨人との「盟主対決」を制して2連覇を成し遂げた。
 その後、1992年までの11年間でリーグ優勝を9度達成。阪神タイガースの猛打に屈した1985年を除いて8度日本一になっている。石毛宏典、秋山幸二、清原和博、辻 発彦、東尾 修、渡辺久信、工藤公康など、後に指導者としても実績を残す面々が活躍し、「パ・リーグ強し。西武強し」という一時代を築いた。

1990年代はセ優勢も2000年代からパ屈強へ

 1990年代に入って王者・西武の前に立ちはだかったのは、野村克也監督が提唱する「ID(インポート・データ)野球」で這い上がってきたヤクルトだった。
 1992年の日本シリーズは3勝4敗で西武に惜敗したが、翌1993年は4勝3敗で雪辱。以後、1年おきのリーグ優勝が続いて連覇はならぬも、ペナントレースでしのぎを削った巨人や、マシンガン打線で勢いにのる横浜ベイスターズが日本一を奪取。セ・リーグ優勢の流れをつくっている。
 ところが、2000年代に入ると再び時代の変化が訪れる。セ・リーグは、2002年に巨人が西武を相手に4勝0敗で圧勝したシーズンを最後に、リーグとしては連続で日本一になっていない。対するパ・リーグは、2003年以降、日本シリーズで敗退した年が3度しかなく、2013年に東北楽天ゴールデンイーグルスが日本一になってから8年連続でチャンピオンフラッグを保持している。

プロ野球 日本シリーズ1993年から2020年のセ・パ戦績

次にセ・パのパワーバランスが変化するときを待つ

 こうして日本シリーズの歴史からみても、やはり現在のパ・リーグは長きにわたりセ・リーグを凌駕しているといわざるを得ない。ましてや、過去前例のなかった2年連続のストレート勝ち。二度に及ぶ惨敗を喫したセ・リーグを擁護する材料は、もはや底をついたというのが本音だ。
 だが、昇った陽はいずれ沈むのが自然の摂理である。その強さが永遠に続くと思われたV9時代の巨人や、1980年代の西武も最後は終焉を迎えた。現状のスキを突くようにしてセ・リーグの球団が台頭してくることがあれば、状況は一変するに違いない。
 果たして、次にセ・パのパワーバランスが動くのはいつか? その日が来るまで見守り続けるのも、ファンとしてはまた一興だろう。

1950年~2020年までの日本シリーズ セ・リーグ ― パ・リーグ戦績

プロ野球1950年~2020年までの日本シリーズ セ・パ戦績

フリーライター
キビタキビオ

《野球をメインに媒体の枠を超えて活動》
2003年より専門誌『野球小僧』(現『野球太郎』)の編集部員を務める傍ら、様々なプレーのタイムを計測する「炎のストップウオッチャー」を連載。12年にフリーとなり、インタビュー、データ、野球史の記事や選手本の構成など幅広く担当。『球辞苑』(NHK-BS1)にも出演中。

文/キビタキビオ

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