特集・連載
癒やし求めてちょっくら寄り道♪ 銭湯の非日常感は“心の垢”も落としてくれる
知っておくべき基本&最強ツール ビギンが大切にしてきたのは「誰でも&簡単に、はじめられる!」ってなやさしいレクチャー。だって“Begin”ですもん。そこで本企画では、“新しいことはじめる!”をお題にさまざまな「ことはじめスタートダッシュマニュアル」を入魂作成。絶対に損しない、最良の道筋がココにあります。世界一やさしくアナタの背中を押しますよ♪ この記事は特集・連載「知っておくべき基本&最強ツール」#09です。
働き方が変わって自由時間が増えた今、昔から庶民が親しんできた娯楽に改めて目を向けるというのはどう? たとえば銭湯。身も心もサッパリ浄化される、最高の非日常空間が待ってますよ♪
富士山のペンキ絵にもちゃんと意味がある!
― 日本銭湯文化協会 理事 町田 忍さん・談
最近の、若い世代の銭湯ブームは嬉しいかぎりです。でも全国的に見ると、銭湯は減少の一途。最盛期の昭和43年には全国約1万8000軒、それが今では約3000軒と8割以上が姿を消してしまった。それに伴い失われた文化もいろいろあるんです。
“三助”もそう。男湯と女湯を行き来して、背中を流す男性のことですが、今はもう存在しません。ちなみにお願いしたい客は目印となる木札を持って三助を待ちました。昔は洗髪する人も別料金を取られたので、そのための木札もあったんですよ。皆さん、知らないでしょ?
町田さんが所有するレアな当時の木札!
だからこそ、未だ昔ながらの風情を残す銭湯は貴重だし、今のうちにどんどん訪れてほしい。建築物としても興味深いですよ。
東京に多い宮造りの銭湯は、関東大震災後に大衆を元気づけようと宮大工が建てた銭湯がルーツで、その多くが吹き抜けの格(ごう)天井のほか、庭園やペンキ絵など無駄に豪華な作りになっています。あれは精神を開放させる非日常空間だから。
ペンキ絵は富士山とともに海や川、湖が描かれることが多いのも、富士で清められた水に身をゆだねている気分に浸ってもらいたいから。つまり、禊(みそぎ)の思想が根底にあるんですね。
画/町田 忍(荒川区・雲翠泉)
地方では東京のような銭湯建築の定番は見られませんが、それはそれで面白い。僕は今まで全国3800軒ほど巡りましたが、なぜここの銭湯はこんなスタイルなのかを推理するのが楽しい。地域密着の文化だから、土地が持つ事情みたいなものが見えてくるんです。
いずれにしろどの地の銭湯も、体とともに心の垢も落とす場所として機能してきた。そんな日本人の美意識や宗教観が詰まった伝統の娯楽が、わずかワンコインで楽しめるんです。みんなで日本大衆文化の最後の砦を守りましょう!
日本銭湯文化協会 理事
町田 忍さん
エッセイスト、コメンテーター、写真家、庶民文化研究所所長と多彩に活躍。約40年にわたり銭湯の調査・研究を続け、関連著書も多数。
地域のギャップが楽しめる! オススメ銭湯3選
THE東京銭湯を楽しみたいならココ♪
築80年以上の立派な宮造り銭湯。日本一と言われる庭園と縁側は一見の価値あり! 入浴料470円。
住所. 東京都足立区千住元町27-1
☎ 03-3881-2660
営業時間. 15:00~23:00
定休日. 金曜
大正風情が残る京都のマジョリカ城
随所のマジョリカタイルがレトロな雰囲気。浴場への通路には石橋が。入浴料450円。
住所. 京都府京都市北区紫野南舟岡町82-1
☎ 075-441-3735
営業時間. 15:00~23:30(日曜8:00~)
沖縄唯一の銭湯はまさかのワンルーム!
脱衣場と浴場が一部屋。シャワー文化の沖縄は立って体を洗うためカランも高い位置。入浴料370円。
住所. 沖縄県沖縄市安慶田1-5-2
☎ 080-6494-8953
営業日・営業時間は要問合せ
※表示価格は税抜き
[ビギン2021年3月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。