シップス×Begin

蕎麦スス流 SOBA Su Su Ryu

Vol.66

東神奈川駅構内日栄軒

穴子天そば
550円

日栄軒の穴子天そば

今回は少し趣を変えて駅構内の立ち食い蕎麦屋、いわゆる「駅そば」を食べてみたい。

そもそも立ち食い蕎麦は鉄道の駅とは切っても切れない関係にある。駅での停車時間の合間にホームに降りて温かい蕎麦を食べるのは鉄道旅の楽しみだし、乗客でなくとも、仕事や移動の途中で駅の待合室にふらりと入って蕎麦を啜った。いわば元祖ファストフード感覚であったろう。蕎麦はそういう忙しい場面にうってつけの食べ物だ。

いっときは時代の流れに淘汰されそうな危機もあったが、やはり日本人の味覚は蕎麦を見捨てず、駅のホームや構内にしぶとく生き残り親しまれてきたのは嬉しい限りではあるのだが、良いことばかりではなくマニアにはやや残念な面もある。

かつては様々な店舗がそれぞれの味を主張していたものだが、いつしか各鉄道会社の系列のブランドに集約されていった。これには少しの寂しさを感じるのだ。

東神奈川駅のホーム

さて今回の日栄軒は、そんな時代のなかで昔からの個性的なスタイルを頑なに守る頼もしいお店。JR京浜東北線と横浜線の乗り入れる東神奈川駅のホーム上、階段の下という駅そばの定位置にあり、早朝から遅くまで駅のホームを煌々と照らしている。大正7年の創業時から変わらぬ自家製のつゆが自慢だ。

東神奈川駅の日栄軒

そして、日栄軒といえば立ち食い蕎麦ファンなら即座に思い浮かぶのが名物の「穴子天そば」。穴子一本の半身を豪快に揚げた姿、丼から大きく左右にはみ出た天ぷらの長さは30cm近くはあろう。

駅そば、いや立ち食い蕎麦ワールドにおいて、これほど圧巻なビジュアルを持った一杯にはなかなかお目にかかれない。実に個性的なお店が駅のホームに生き延びていてくれたことに驚きと感謝の気持ちが沸き起こる。

日栄軒の穴子天そば

■蕎麦:ゆでめん。断面四角く茶色っぽい。すべすべした食感とじんわりした甘味。食いである蕎麦。
■つゆ: だし濃厚。醤油の濃さとスッキリした甘味。そばと相性良く、天ぷらに負けないガッツリ感。歴史の厚みを感じさせる迫力あり。
■穴子天: 鮮度良く臭みのない素材。コロモはフリッター風でややぽってりだが味よく、中の穴子にはふんわり感あり。

穴子をつゆによーく浸して味が染みたところを見計らい、がぶりと食いつけば、プリプリとした食感に鮮度の良さが実感できる。季節にもよるが肉厚な穴子には上品な旨味あり。これはたまらない。

日栄軒の穴子天そば

ここでちょっとした情報。穴子天を食べるには時間を選ぶ必要あり。早朝開店のお店ではあるが、あまり早い時間には用意できていないことがある。また遅い時間には売り切れもあるようだ。

今回は朝10時訪問で無事にありつくことができた。実はいささかの不安もあって、10時でダメなら11時まで張り込もうと意欲満々で来たがその必要はなかった。おそらくもう少し早めでもあるんじゃないかと思うが、訪ねる際にはご注意ください。

東神奈川駅の日栄軒

おばちゃん店員さんの接客はきびきびとした中に朗らかさあり。駅の喧騒を一瞬忘れさせてくれる。

東神奈川駅の日栄軒

ひっきりなしに発着する電車を傍目にゆったりと穴子天そばを食う。たまらんじゃありませんか。ぜひ東神奈川まで足を伸ばしてみてください。

東神奈川駅の日栄軒

■DATA
住所:神奈川県横浜市神奈川区東神奈川1丁目
アクセス:JR東神奈川駅・京浜東北線上りホーム
営業時間:6:15〜22:00、(土祝)6:15〜21:00
定休日:当面の間、日曜休業とのこと(※2020年11月15日 取材時の情報)
評価:3点 ☆☆☆

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情報提供・監修/ケビン(平林啓一)
オートバイに乗って900軒の立ち食い蕎麦店を探訪。最盛期には年間300軒を食べ歩く。立ち食い蕎麦チェーン店・個人経営店にかかわらず食す。また、生めん・茹でめん・冷凍めんにこだわらず、どれも大好き。

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